かけて欲しかった言葉
「障害児も健常児も変わらないよ」
いい言葉ふうに何度もそう声をかけられたことがある。
障害児を育てたことしかない私はそうなのかなと受け入れるしかなかったが、今思えばその人だって健常児しか育てたことがない人だ。
どれだけ愛情と時間をかけてもなかなか成長をしないカメコを前に、私は母親としての自信を失っていた。キラキラした母たちは仕事もこなし、趣味を謳歌し、子育ても頑張っているというのに、育児一本の私の方が子育ても満足にできず、子育てを楽しむこともできず母親として劣っていると感じていた。
現在2歳になるカメコの弟がいるが、わかったことは障害児と健常児の子育ては全く違うということだ。とはいえ障害の内容や程度によって違うので私の場合はである。
寝かしつけに何時間もかかり夜中に何度も起きるような子育てをしたことあるだろうか。将来が不安な気持ちがなくならない子育てをしたことがあるだろうか。ずっと不機嫌でずっと泣かれる子育てをしたことがあるだろうか。私のことが好きなのか、お母さんとわかっているか不安になるような子育てをしたことがあるだろうか。
私がかけて欲しかった言葉は「大変な障害児育児をよく頑張っているね」だ。
もしかしたら障害児を育て私のように自信を失っているお母さんがいるかもしれない。そんな人にも昔の私にも声をかけて抱きしめてあげたい。
あなたはすごいよ、こんなに未知の育児をしているんだから。誰にも真似できない。あなたしかできない。あなただからここまで育ててこれた。