【詩】はるふゆの(2月に寄せて)
おはよう、の前に
さむさとあたたかさの間で
溺れてしまったので
毛布の奥の海で踊ってみようと思ったのだ
冷たいトウシューズを履いて
かもめのいない冬の海だった
舞台は
毛布とはだの色の境界はもう見えない
全身が布になったみたいね
誰よりも涙を吸い込んで、なお
しろくさやけくはためくからだ
陽だまりに干される重みは
いのちか
呼吸の一音一音がわたしを揺らす
歩様の一足一足がわたしを刻む
生きている
さびしさもかなしさも押し込めて
滑らかに朝は来る
きよくただしくうつくしく
ただ春は来る
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