愛されるプロダクトを作る秘訣!ユーザーになりきるコスプレUXとは?
この記事は「フルリモートデザインチーム Goodpatch Anywhere Advent Calendar 2020」の23日目の記事です。
ディップ株式会社 & Goodpatch Anywhereでプロダクトオーナー/UXデザイナーをしている”かめちゃん”です。
日本酒とゲームが大好きです。プロダクトオーナー、プロジェクトマネジメント、UXデザイナーを状況に応じてやっています。
今回は、ユーザーに利用されて愛されるプロダクトを作れるようになる、誰でもマネできるコスプレUXというスキルを紹介したいと思います!
ここに気付いたのは、私が新規事業の開発を5年以上やっていた時です。当時は、リーンスタートアップのマニュアル通りに何度も挑戦したけれど、プロダクトが利用されずに、苦悩と失敗を繰り返してしていました。そんな苦悩の中で見つけた、このコスプレUXという手法を試すと愛されるプロダクトが作れるようになったのです。新規事業に限らず、どんなプロダクトでも使えるやり方なので、ぜひ覚えていって下さい!
フレームワークの整理後にアクションができない
UXデザインという言葉も様々なところで目にするようになり、現場で活用されるようになってきましたね。特にUXデザインは、フレームワークが充実しているので、気軽にペルソナマッピングやカスタマージャーニーマップ、バリューポジションなど試す人が増えてきたと思います。しかし、UXデザインのフレームワークで情報を整理したものの、この後どうすればよいかわからないという声も多く聞きます。プロダクトの仕様書を作っていきたいわけですが、フレームワークで整理しても仕様を具現化できないことが起こるのです。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?
これは、プロダクトを作る作り手としての目線で作業をしているからだと思います。
フレームワークは大変便利なのですが、情報を整理していくことで満足してしまいます。どんなユーザーが、どんな課題を持っているのか整理していきますが、まあそうだよねと言った一般的なことにまとまることが多くなります。ユーザーの事を知れているようで、目で見えることしかまとめきれていないんだと思います。私が手法にこだわって新規事業で失敗していたのもここが原因でした。
そうならないために、対象のユーザーの気持ちになって考えると、「こんな細かいことに困っていたの?」、「ここにそんなにお金と時間を使っていたの!?」みたいなことに気付くことができるのです。
コスプレをして、ユーザになりきってみる
どのようにして、ユーザーの気持ちになればいいのか、とっておきのスキルをご紹介します!それは、コスプレイヤーがアニメキャラになりきるように、ユーザーになりきってみることです。
アニメのように特徴があるわけじゃないのにどうするの?と思う方も多いでしょう。でも、やることはとってもシンプルです。
たったコレだけ目線を変えて、実践してみると見えてくるユーザーの気持ちが全然違うはずです。
・同じ時間に行動をしてみる
・同じ場所に行ってみる
・同じ持ち物を持ってみる
・同じものを買ってみる
・同じ喜びと辛さを味わう
・同等のスキルを出来る限り勉強して、自分で出来るようになる
(↑ちょっと難しいかも)
インタビューやカスタマージャーニーをするだけで、ユーザを知った気になっていませんか?
いざやって見ようとすると面倒ですよね。これを予めやっておくとプロダクトを作ってから利用されない、不満が多いということがかなり減るはずです。お金を使う前に苦しむか、お金を使ってから苦しむかだと、前者の方が良いですよね。
このように、自分がユーザーと同じ環境に没入することで、ユーザー目線で課題を見つけることができるようになります。課題が見つかると必要な機能が絞られて、ユーザーに愛されるプロダクトへ繋がっていきます。
具体的なやり方を解説します。
まずは、同じ空間に行くことから始めてみよう
従来のコスプレと同じように、見た目から入ることも大事なのですが、アニメの世界観を知るように、対象とするユーザーと同じ空間に行ってみることが一番カンタンに始められるアクションです。例えば、ジムに向かうダイエットに励んでいるユーザーを対象とする場合には、自分でジムに通ってみましょう。
ジムに通うまで、お金を払っても良いのですが、体験会に紛れ込むことでユーザーを知ることができたりします。
その時に、どんなものを持っていて、どんな気持ちでトレーニングしているのか知ることで、より深いユーザー理解ができるようになるでしょう。
実際に自分も現場でトレーニングやりながらユーザーを観察すると、何が嬉しくて、何が辛いのかイメージが具体的になるでしょう。
その場に行く方こそ、匂いや空気でわかるものがあると思います。
もちろん、そのまま入会してトレーニングしてしまうことが1番ですね(笑)
このように、オフィスや自宅の机上でアイデアをまとめていては気付かないことが現場にはあります。インタビューで現場にいくことはあっても、プロダクトを作る側のバイアスが働いてしまい、中々ユーザーの気持ちになれていないのです。
ユーザーから信頼を得ると何でも協力してくれる
コスプレUXを活かした事例を1つ紹介します。
ユーザーを知る為に、現場に行き続けていると、ユーザーを知れるだけでなく、ユーザーの気持ちや行動すらも変えることができた事がありました。
私が所属しているディップは営業マンが約1,700人も所属している営業組織です。営業現場では、CRMやSFAといった営業効率を上げるツールがあるのですが、営業の度に結果を入力する手間が面倒などの理由で現場で浸透しないことが課題となっていました。そこで、現状を打開するため、私は営業効率を上げるための新プロダクトを検討することになりました。
もちろん、コスプレスキルを活かして、営業現場に足を運びます。
私は、営業経験がなく営業の気持ちも全然分からなかったので、毎日営業所に通い、隣で営業の業務を観察しました。時には営業を一緒にやってみることで、営業マンになりきることが出来るようになりました。
こうなるとプロダクトの価値はすぐに決まり、自らプロダクトを利用したい、開発に協力したいと申し出てくれるようになっていました。
1人の営業マンのなりきりから、今では1,700人が利用してくれるプロダクトにまで成長しています。
現場に足を運ばずに、オフィスでプロダクトの価値検証をしていたら、反発にあっていたのだろうなと思います。
ユーザーになりきるとアイデアが固まるだけでなく、まわりの人々の行動や感情までも変わる体験が出来た事例でした。
他人に興味を持つことが大事
最後に、コスプレスキルが自然にできるようになるコツを紹介します。
それは、散歩中や電車の移動中に人間観察してみることです。
私は、よく観察をしているのですが、「この人、何でこのカバンにキーホルダー付けてるんだろう?」「この髪型にした理由あるのかな」「今日は、このメイクと服装から、どんなイベントが控えているんだろう」みたいなイメージを膨らませています。
他人に興味を持っていると、自然とプロダクト開発のときにも、ユーザーを知りたくなってしまうものです。
みなさんもぜひ、コスプレUXに挑戦してみてください。
日頃から使っているUXデザインのフレームワークをより良いものにしてくれるはずですよ!