〈練習問題⑧〉声の切り替え
問一:三人称限定視点を素早く切り替えること。六〇〇〜一二〇〇文字の短い語り。練習問題⑦で作った小品のひとつを用いてもよいし、同種の新しい情景を作り上げてもよい。同じ活動や出来事の関係者が数人必要。
複数のさまざまな視点人物(語り手を含む)を用いて三人称限定で、進行中に切り替えながら物語を綴ること。
空白行の挿入、セクション開始時に括弧入りの名を付すことなど好きな手法を使って、切り替え時に目印をつけること。
補足:人数は最低二人、視点移動は二回以上とすること
普段三人称視点で小説を書く時、視点人物をコロコロ切り替えながら進めるということをあまりやらないのでかなり実験的な課題作になった。目印を用意するように、という縛りなので視点が交錯するような複雑な物語ではなく、シンプルな構想で手堅く書くことが出来た。
ル=グウィン先生も三人称で視点をスイッチするなら相応の理由があるべきで、無理してギアを壊してはいけない、と本文中でも語っている。
なので今回は課題を逆手にとったオチがやりたくなったので3人のうち誰が撃ったのか? という謎を残す『藪の中』のようなリドルストーリーで締めた。
講評覚書
・ドアの内外、左右とドアだけで空間を三分割している、空間的なドラマの作り方が上手い、視点と空間の設定の妙。T字で分割された空間、文章的なイマジナリーラインの存在。
・課題を逆手にとったオチ、映像的な効果を文章で表現できている。
・『すでに応援は呼んだ、~』以降の区切りに句点「。」ではなく読点「、」を用いる理由→ツバキの中でのTo Doリストの箇条書きをイメージ、連続した思考を想定していたので句点でブツ切りにしたくなかった。
・『男に向けたツバキの銃は震えていた~』の段落はツバキの視点なのだが、『~とツバキは思った。』の登場がやや遅れるので誰の視点なのかを早めに提示した方が良かった。
・男と赤ん坊の体勢や状況がわかりづらい。銃口の向きなど。
領域展開『T字空間分割』!!!