日本人少年がU14バイエルン州代表としてベルリン州代表と試合をした日。
1、 練習試合から選抜対抗戦へ
そろそろミュンヘンの体育学校へのドライブも慣れてきました。
幸運か実力で勝ち取ったのか。ブンデス下部組織Rとの練習試合を終わった我々のもとにバイエルンサッカー協会からメールが届きました。
次男は18人のバイエルン州代表メンバーの一員に入りました。
おめでとう。
メールには月末にもう一度ミュンヘンで合宿を行うこと、また、今回の合宿はベルリン州代表メンバーと合同で行われることが記してありました。
そして予定には『試合』としかありません。しかも2日目と3日目の二度。
早速いつもの準備をして体育学校へ。
2、 ベルリン州代表戦 一回目
共有されたスケジュールに午後の練習の予定が入っていなかったので不思議に思っていたのですが、今回は対抗戦のみの合宿ということがわかりました。
1日目の夕方に練習。2日目と3日目の朝に試合をした後は4日目の早朝にベルリン州代表は帰宅、バイエルン州代表は朝練ののち昼食をとってから帰宅というスケジュールになっていました。
州対抗戦ということで、今までの合宿とは違って練習から揃いの練習着を着てグラウンドに集合です。バイエルンはネイビーと黒の縦縞、ベルリンは赤。
合同練習ということでもっと混ぜて何かやるのかな、と思っていたのですが、思った以上に試合前モードで完全に別れて各々練習をこなします。
今回は見かけないコーチがたくさんいるなあと思って見ていたところ、次男含め10人ほどの選手が別フィールドに呼ばれて若い女性コーチと一緒に別メニューを始めました。
1人のコーチがメニューを説明する間、もう1人のコーチは常にその様子を携帯で映像に収めている様子。さらには練習風景も定点カメラをセットして撮影しています。
最初は
え、なに?某tube?
とも思ったんですが、そういう感じでもない様子で、至って真面目にひたすらキーパーからのビルドアップの練習を繰り返していました。
のちに次男に聞いたところ、そのコーチたちはライセンス試験の一環で今回の練習に部分的に参加しており、自分たちの提出課題としてビルドアップ時の指導風景を撮影していたということでした。
前置きはさておき、試合です。
2日目の早朝、一発目の試合です。
次男は前回のRとの試合同様二本目からの出場。
一本目、DeくんとBくんのボランチコンビが先発、これもR戦と同じです。バイエルンはひたすら前からプレスをかけていくスタイルで相手のボールロストを誘います。
ベルリンはうまくそれをいなしながら短いパスをテンポよく繋いでいくスタイルで徐々にバイエルンの守備を崩していき、早々に抜け出しからの一点。30分の間にもう一点追加して二点先制します。バイエルンも相手のキック処理ミスから一点を取り返しますが、チームとして初めて追いかける形での二本目突入となりました。
二本目、ボランチコンビは次男とV君に交代。バイエルンは引き続き前からの守備の強度を上げます。前回のR戦でコツをつかんだのか、次男は相手中盤が後ろ向きでボールを受けた時のプレスがハマり、チビのくせにガンガン相手の邪魔をします。
するとプレスの中から相手のパスミスを誘い、バイエルンが一点を取り返して同点に追いつきます。ベルリンも前半のリズムを取り返そうとしますが、同じようなプレスからのパスミスをFWが叩き込んでバイエルンが逆転します。
それでもベルリンは一旦勢いに乗ると止まりません。一瞬のずれを見逃さず、一点を取り返して二本目は3−3とバイエルンが追いついた形で折り返しました。
三本目、バイエルンはポジションを少し変更しました。
次男はボランチではなく十番の位置で出場、ボランチにDe君とV君のコンビで挑みます。ところが開始数分プレーをしたところでアクシデントがあり、相手選手の指が味方選手の目に入ってしまったところで一旦試合が中断された際、コーチの指示で次男は十番の位置をDe君と交代し、ボランチに戻りました。
おそらくですが相手CB陣のサイズとスピードに次男が全然ついていけないと感じたのではないでしょうか。De君の方がサイズもありますし、戦えると判断したのだと予想します。
炎天下、試合は予想外の展開を迎えました。FWの選手が二点を取る活躍を見せて勝ち越すことになったのです。
特に、4−3から追いつこうと攻め上がるベルリンにセンターバックからカウンターで放り込んだボールに追いついて決めたシュートは印象的でした。
最終スコアは5−3、バイエルン勝利です。
試合後に次男から聞いたのですが、この試合には近隣のクラブチームのスカウトが大勢観に来ていたとか。確かに、ベルリンの選抜も見れるし一石二鳥ですしね。
3、 ベルリン州代表戦 二回目
一晩明けて二試合目です。
ベルリン州は昨日とは変わってネオンイエローのユニフォームで登場です。一本目、ボランチはDe君と次男のコンビ、10番ポジションにV君を入れて中盤の三角形を作ります。
試合が始まってすぐに気がついたのですが、明らかにバイエルンの守備が昨日ほどうまくハマらなくなっていました。
ベルリンは攻撃ではダイレクトプレーを多用してバイエルンの守備をズラし、守備では特に中盤のマークをきっちりついて中盤経由のボールを狙っているようでした。
次男は序盤そのプレッシャーに対応しきれていない印象でした。疲れが出ているのか、スタミナ不足なのか。こういう時はボールに関われないし、関わってもあまりいい動きはできません。
それでも要所で根性のプレスをかけ続けたバイエルンは、一瞬の空白に右のサイドハーフが思い切って放ったシュートがいいバウンドをし、一点をとりかえします。
均衡したまま一本目は1−1で折り返しました。
二本目は次男のチームメイトB君とDe君のボランチコンビ。次男はベンチです。
一進一退の攻防が続きますが、二本目はゲームは動かず、同点のまま三本目へ。
三本目はB君と次男のダブルボランチ。最初は曇っていた天気もだんだんと晴れてきて、前半から追いかける守備を繰り返している選手たちには疲労の色がみえます。
次男もヘロヘロになりながら最後まで役割を果たし続け、ラストワンプレーで放ったコーナーキックはぴたりと長身のセンターバックに合わせたのですが惜しくも決まらず。最終スコア1−1で終了です。
4、 試合を終えて
全て後々次男から聞いた話ですが。
▶︎ 試合後、双方のコーチが選手たちを労っていた際にベルリンのコーチに名前を呼ばれてナイスプレーと言われたそうです。
名前を覚えてもらえるようなプレーができていたとしたら嬉しいですね。
▶︎ 2日を通して戦ったベルリン州代表チームともそれなりにお近づきになれたようで、キャンプの間に色々と会話をしたようでした。
曰く、バイエルン州代表と異なりベルリン州代表はもうすでに地域のブンデス下部組織のプレーヤーも含めて選抜されているそうで、私でも知っているベルリンの強豪UやH所属の子がチームの八割ほどを占めていたそうです。
バイエルン州ではまだそこは混ぜて選抜はされていないので、驚きでした。その相手に一勝一引き分けは立派です。
▶︎ その日の夜にはコーチとの個人面談があったらしく、次男にも数点良い点と改善すべき点が伝えられていました。また改善に向けて努力あるのみ。
子供達がお互いに高いレベルで切磋琢磨できるという意味では、本当にいい環境でサッカーできていると感じます。
▶︎ 試合にはスカウトが観に来ているという話がありましたが、次男のチームメイト、フォワードのL君に早速一つのチームから連絡があり、練習参加に誘われたそうです。(本人に行く気は無いそうですが)
彼に限らず、選抜の友達はほとんどと言っていいほどかつて下部組織でプレーしていた経験や、有名なクラブの練習参加を経験している子ばかりです。
次男にもいい刺激になっていたと思います。今までなんとなく雲の上の存在のように感じていたブンデスのチームが、ここまで近づいてきてくれたわけですから。
これから年齢が上がるにつれてどういう形でサッカーを続けるのか、続けられるのか。選択を迫られることが増えると思います。
その時に慌ててヨーイドンで考えるのではなく、今からさまざまなことを見たり聞いたりできる今の環境は準備段階としてもとてもいい状況だと思います。
また州代表キャンプが11月に組まれるようですので、そこに選ばれるために頑張る次男を陰で支えようと思います。
読んでいただいてありがとうございました。