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鎌田順也 追悼文集 【ブルー&スカイ】

 十数年前、知り合いから「ナカゴー」という面白い劇団があるから観に行こうと誘われて、笑いを目的とした芝居は世間にたくさんあるけれど、それまで観たことのない種類の可笑しさを目の当たりにして、滅茶苦茶笑っちゃうけどいろんなことがどういうつもりか分からない、これは何なんだ? と、鎌田さんの芝居初体験はとても衝撃的でした。そこで鎌田さんの存在を知ってから不思議でならなかったのは、この人は年中休みなく公演をやっているんじゃないか? そもそもどうしてそんな次々と作れるんだろう? と、鎌田さんの公演ペースの頻度はいったいどうなっているのかということでした。自分も作演出をやったりするけれど、到底真似できません。鎌田さんには一度、大倉孝二さんと僕でやっているジョンソン&ジャクソンというユニットの公演に役者として出演してもらったことがあります。稽古中の鎌田さんは、楽しんでいるようだったり、困っているようだったりして、ただとにかくその存在感は素晴らしく可笑しくて、役者としても唯一無二さを見せてくれました。その公演の本番中のある日、たまたま終演後に2人きりになったことがあり、流れで初めて2人きりで飲みに行ったことをよく覚えています。無口な2人飲みでした。僕は前から気になっていた、鎌田さんはいつも何でそこまでハイペースで公演をやっているのか(やれるのか)という質問をしましたが、はっきりした理由は聞けないまますぐに酔っぱらってしまいました。2人きりで飲んだのはそれが最初で最後となってしまいましたが、お互い無口でありながらも思い出ぶかい楽しい時間で、2ショットで自撮りもしました。多くの人を楽しませてきた鎌田さん、僕のこともたくさん楽しませてくれてありがとうございました。

ブルー&スカイ

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