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NEW EDUCATION EXPO2024参加記(3)

1)教育の情報化の現状と課題 東京学芸大学教職大学院教授 堀田龍也氏


土曜日だからか、それまでよりも混んでいました。教師の方が多いんだな、そして土曜に学びにいらっしゃるなんて真面目なんだなあと実感いたしました。

東京学芸大学の教授の方で、教育の情報化について幅広い視点のお話を聞くことができました。

GIGAスクール構想で、小中のICT化が進み、むしろ大学のほうがそれについては遅れているかも、他にやることも多いので・・・というお話が意外でした。

公立学校における、年代別の教師の数についてのグラフ。
59歳が多く、40代後半が少なく、20代30代は意外にも多いのですね。
就職氷河期世代にあたる40代後半の正社員が少ないのはどこの業界でも言われることですが、中堅層となるべきその世代が少ないことで、バトンを引き継げないという問題が起きているとの説明で、教師のお仕事は年月をかけて磨かれてゆくものなのだなという認識を新たにしました。それを裏付けるように、東北はベテラン教師が多く、それにより学力が保たれているのかもしれないという言葉が印象に残りました。

日本の高齢化、人手不足にも触れ、日本以外のルーツを持つ方にも住んでもらわないと国が成り立たないが、その際に日本語も英語も出来ない子供が学校に来る・・・そんな子供たちに対して、これまでの教育観を変える必要性があり、ICT端末を活かす方策についてのお話もありました。
子どもには毎日ICT機器を使ってほしい、わからないことがあれば「すぐ調べられる」ことが大事、という言葉は、10年ほど前に自分の勤務校(専門学校)では「スマホは机の上からしまうこと」と言っていたことを思えば隔世の感があります。

その際のキーワードとして自己調整学習 self regulated learningという言葉が印象に残りました。確かに、何をどう教えるかの手前に、勉強って楽しい・学びたい、という気持ちを持つこと、そして学びをコントロールするのは自分なのだという気持ちを持つことは大事ですね。

いよいよ「セカンド・ギガ」時代となるので、ICT機器を使いこなせるようになることの重要性や、情報を得ることの重要性、ネットワークの充実など、ハード面の重要性を訴えておられました。それは確かにすべての基盤となることで、オンライン講義を行うにあたり自分の事務所もそのように整備してきたなぁ・・と思い起こし、さらに設備投資を頑張ろうと思うのでした。


2)活動から立ち上がるキャリア教育を目指して~ウェルビーイングの視座から~ 学校法人桐蔭学園理事長 溝上慎一氏


この日は忙しかったのですが、遅刻してもこの講演を聞きに行ったのは、わたしが桐蔭学園の卒業生だからです。

その頃(昭和末期)の桐蔭学園は、鵜川理事長のもと、たいへん管理的な学校でした。受験に勝つこと、スポーツでも勝つこと、エリートになることを目的とした、厳格な詰め込み教育。校則も厳しく、わたしはさほど反抗的な生徒でもなかったのですが、忘れ物の多さが反抗的だと解釈され始末書を書かされたことがあります。そんなギスギスした雰囲気のことは「東京フリマ日記」に書きました。


あれから時は流れ、鵜川理事長も亡くなり、自分と世代の近い「学者」が理事長になりました。そのご講演は、あの桐蔭学園の理事長の話なのか?と思うほど前向きな雰囲気。学びの先にあるもの、学びを実現させうるもの(非認知能力など)を重視しておられ、学園も変わったんだな・・・と実感しました。

「将来のことを日常の学習に繋げてゆける子が最強」というお言葉があり、確かに高校の頃、日常の学びが将来につながってゆく感覚はなかったな・・・と反省させられます。学校に通い、宿題をこなし、目先の試験や受験のことで精いっぱいだったのですが、クラスメイトの中にはそれを超えた大きな視点で将来をとらえていた仲間もいたことを思い出します。

かつてはキャリア教育というものもなかったのですが、この講演では「未来を考え日常に繋げることは幼稚園から始まっている」とのことで、単なる職業教育を超えたキャリア教育の重要性を訴えておられました。

そのような学びを達成するものとして重要視されているのは非認知能力であり、OECDでも「目標達成」、「他者との協働」、「感情処理」を重視しているとのこと。いわゆる「マシュマロテスト」のお話もありました。

あの頃の桐蔭生にもそんな視点や働きかけがあったら良かったかもしれません・・・団体訓練で山登りなどをさせられ、個人個人を鍛えるという視点はあったように思いますが・・・。

この講演は、学生にとって「未来」が重要であり、その未来をどうイメージしてゆくか、それをどのようにお手伝いできるか、「未来」がキーワードだったように感じます。そしてその未来表象は、活動から立ち上がるものであるという実例を、桐蔭横浜大学における「ノートづくり」などから説明してくれました。

YouTubeチャンネルもお持ちで、見た目さわやかな理事長。新書も出されておられるとのこと、読んでみようと思います。

(※ここに書かれた学園の印象は、個人の印象であり、すべての桐蔭生を代表するものではありません。)

以上、NEWEDUCATIONEXPO2024の感想でした。
スタッフの皆様、ためになる会を、ありがとうございました。

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