部長はじめました
2019年10月1日付けでギャプライズという会社の「コンサルティング部 部長」に就任することになりました。
何を隠そうこの会社で部長になるのは2度目です。1度目は4年ほど前、自分から辞退しています。
部長を辞めてからは1年程プレイヤー(コンサルタント)として動き、そこから自社マーケティングとコンサルティングサービスの両方を担う「マーケティング&コンサルティングチーム」というものを立ち上げました。
そこのマネージャーを2年程やった上で、今回はコンサルティング事業が部として扱われることになりました。
そこで本日は特にチームとして変化が大きかったこの1年を振り返ると共に、2回目の部長に挑む上での心境とか大事にしたいと思っていることを徒然なるままに書き留めておこうと思います。
主に自社のスタッフに読んで欲しいと思って書いていますが、他の会社の方には100人ちょっとの会社に属しているマネージャー、いわゆる中間管理職とも言われている人間がどんなことを考えているのかという一つのサンプルとして見て頂けたら幸いです。
チームの業績と人数変化
まずはここ数年のチーム業績について簡単に振り返っておきます。僕のチームでは「既存顧客に対してのコンサルティングサービス売上」を数字としては追っているのですが、下記のような感じで推移してきました。
オフィシャルには公開してない会社なので具体的な数字は伏せますが、年々伸びては来ています。
2017年はチーム化する前、実質僕ともう1人、2人でコンサルティングサービスを提供していた時の参考値です。
そこから2018年にチーム化して当初は4人だったのですが、その後体制変更等があり現在は5人で運営しています。
YOY120%成長というのは数字だけ見れば悪くないかもしれませんが、いかんせん人数が少数なのでこれくらいの成長はして然るべきと捉えています。
ラクスルさんとかはあの規模で純利益1.4倍成長とかしてるからなー。焦ります。
1点、この数字を褒めてあげたい所として、僕らのチームには「営業」がいません。新規で受注した案件は僕らのチーム扱いではなく、あくまで「既存顧客」からのお仕事のみ計上されるという形にしています。
その中で数字が伸びているということは「既存のお客様に満足頂いて、追加/リピートのお仕事を頂けた」という一つの証です。
お金というものは「対価」であり、提供したバリューに対して報酬として頂くものと僕は考えています。そのバリューが年々増えているということはうれしいことであり誇っていいことではないかなと考えています。
とまあ数字はこんな感じだったのですが、実際この1年でチーム内ではいろんなことがありました。そこで今回は、
・チームとして取り組んだこと
・マネージャーとして取り組んだこと
・やめたこと
の3つに分けてご紹介していきたいと思います。
チームとして取り組んだこと
この1年でチームとして取り組んだトピックをあげると大きく以下5つが上げられます。
・チームビジョンの刷新
・週1回のアウトプット
・顧客アンケート
・ステッカーの作成
・ナレッジの蓄積
一つづつ解説していきます。
チームビジョンの刷新
この「チームビジョン刷新」によって起きた変化が今年度一番大きかったと個人的には感じていますので、まずはその変化について記しておきます。
実際にチームビジョンが決まったのは2019年4月のタイミングだったのですが、決まるまでに約1ヶ月、時間としては20時間程の時間を使って、チームメンバー全員参加のディスカッションによって策定しました。
全員参加には特にこだわりました。というのも
「自分の意見を出し、チームミッションづくりに参加した」
という気持ちを持つことが、後のビジョン浸透にとても重要だと考えていたからです。
また僕自身もいちメンバーとしてディスカッションに参加出来るように、ファシリテーションには社長である@kaipan_jpに全て入ってもらいました。
社長の時間を20時間拘束してるわけなので結構な投資ですが、それに付き合ってくれる社長も中々寛大な人です。
プライベートでももうすぐ5人の父親になるそうで公私共にビッグダディですね。
チームビジョンを決めるまでにはいろんなプロセスがあったのですが、それを説明してるとあと8,000文字くらい必要なので、そこは別の機会にするとして、結果以下のチームビジョンに決定しました。
【Team Vision】
関わる人々に行動の変革をもたらし続ける
またチームビジョンに合わせて行動指針も決めました。
【行動指針】
1.謙虚であれ
2.柔軟であれ
3.HUBであれ
さらに、常にチームビジョンを心に留めておけるよう、ステッカーに出来るキャッチーなワードを決めようということで、「THE REVOLUTIONIZER」というキャッチコピーを定めました。
ちなみに参考までに記載しておきますが、刷新する前のチームビジョンと行動指針は以下の通りでした。
【Team Vision】
日本で唯一無二のプロフェッショナルマーケティング集団たれ
【行動指針】
1.やってから考える
2.広がるを楽しむ
3.ワイルドサイドを歩く
こちらのチームビジョンはディスカッションではなくチーム立上げのタイミングで僕が決めたものですが、これを見た初期メンバーの反応は、
「なんかブラック企業ぽいすね」
だったのは今となってはいい思い出です。
1点だけ良かったのはこのビジョンに共感して入社してきた@yutatakeuchi06くんが今も活躍してくれていることくらいでしょうか。
今だから言いますが上記の中に「ワイルドサイドを歩く」ってのがありますが、これは僕が勝手に組織づくりのベンチマークにしているSmartHRさんから完全にインスパイアされたものです。@yutatakeuchi06くん、騙したわけじゃないんだけどなんかごめんなさい。
さて、このチームビジョンを策定したことで、必然的にこのチームビジョンを実現するためのアクションも決まってきました。それが以下のアクションです。
・週1回のアウトプット
・顧客アンケート
・ステッカーの作成
週1回のアウトプット
「関わる人に行動の変革を起こす」ために、まず自分たちから情報を発信し、行動を起こしていかんといかんだろうということで、「週1回チームから対外的にアウトプットを行う」と定めました。
アウトプットは以下のようにデータポータルで可視化しています。
以下はメンバーが自社メディア内で書いた記事の一例です。
皆元々記事を書いていたわけではなく、今回のビジョン刷新を経てアクションを決めた結果、出てきたアウトプットです。
またこういった取り組みをする中で、気づきもありました。
最初は皆、「記事」という形でアウトプットしていたのですが、進めていく中で、「記事」としてアウトプットするのが得意なメンバーもいれば、「勉強会」のように聴衆を想定してアウトプットするほうが向いているメンバーもいました。
アウトプット一つとっても、得意な形でアウトプットしてもらったほうが身にもなるしクオリティも上がります。
こういった各自の得意分野を見定めながらチームでアウトプット出来るようになった点は、週1回というルールを定めたことで気づけたポイントでした。
顧客アンケート
「行動の変革を起こせたのか?」というチームビジョンの達成度をはかるために最適な指標はなにか?と考えた時、「顧客に聞くのが最も適切であろう」ということで、クライアントへのアンケートをプロジェクトの節目で実施しました。アンケート項目はシンプルに変革が起こったのかをYes/Noで聞いています。
まだサンプル数は少ないですが、現段階では85.7%という結果になっています。
このアンケートによってビジョンに対する達成度合が測定できるようになったのはもちろんメリットなのですが、それ以上にNoと答えて頂いた顧客の声が我々のチームにとっては非常に貴重な声になりました。
チームとしてはこの数字を100%に近づけるために、日々精進しています。
プロジェクトステッカー
顧客に「行動の変革を起こす」ために、まずは我々自身が、顧客以上に深遠に顧客のことを考え、成果にコミットするチームでありたい。
そのために顧客のプロジェクト目標を常に意識したい、出来るようにするにはどうしたらいいか、ということをチームで考えた時にその場で生まれたアイデアが「プロジェクト名をステッカーにする」ということでした。
元々プロジェクトに名前をつけるというのはやっていたのですが、ステッカーにするとなるとクライアントも考えるのに熱が入るのか、非常にユニークなプロジェクト名がいくつも出来上がり、ノリで始めたんですがこれは結構いい施策だったなと感じています。
ちなみにこのステッカーデザインはすべてうちのデザイナーが有志でやってくれていて、こんな無茶振りに応えてくれたデザイナーの方にはこの場をかりてお礼を申し上げたいと思います。
4月から始めて現在10ステッカーほど作成したのですが、すでに貼る所がなくなってきてるのが悩みです。
ナレッジの蓄積
この1年でとにかくいろんなものがナレッジとして蓄積されていきました。これはひとえに若手メンバー2人がチームにジョインしてくれたことが大きかったと感じています。
というのもチーム立上げ当時のメンバーは比較的社歴も長く、経験値もあるメンバーで構成されていたので、正直ナレッジの共有とかは一切やってませんでした。
でチームの立上げから1年後、若手メンバーがジョインしてきて愕然とするわけです。「やべぇ、なんも残ってねぇ」と。
普通の若手ならそこで放棄してるかもしれません。が、うちの若手メンバーは「ないなら自分で作ろう」と、自身が蓄積されてないことで苦労したポイントやナレッジをどんどん蓄積してくれました。
以下はその一例ですが、推薦図書・必読資料・必須ツール・チームのローカルルールなど、次に入ってくる新入社員が困らない様に、monday.comというツールに社内ナレッジとして200以上蓄積してくれています。
また僕らのチームではABテストを軸にした実験によってWebサイトのパフォーマンスを上げて顧客の成長に貢献することを主業務にしているのですが、今までバラバラになっていたABテストの結果も一つに集約することで、統計的なデータも出すことが出来るようになりました。
今年度は1年でのべ1605回のABテストをチームで回すことが出来、その勝率は50.8%という結果でした。当然なのですが本数が多いほうがプロジェクト目標も達成しやすく成果も出やすいので、今期はこの実施施策本数にもこだわってプロジェクトを進めていきたいと考えています。
マネージャーとしてやったこと
ここまでがチームで取り組んできたことの一部です。で、ここからはマネージャーとしてやったことも少し触れておきます。
といっても、チームのマネージャーとして特に意識して取り組んだことというのは、実は以下2つくらいでした。
・メンバーとの1on1
・アウトプット
メンバーとの1on1
これだけはほぼ毎週欠かさずやってました。1人に対して最大30分の1on1を実施しています。何を話してたかというと基本的には以下の2点です。
・個人目標の進捗確認
・あなたのためになにか支援出来ることはあるか?
やり始めたころは毎週30分とってそんなに話すことあるかなー?とか思ってたんですが、やってみたら思いの外あるもんですね。
意識としては9割は話を聞くことにフォーカスすると決めて望んでいます。が結果的に自分ばっか話してることもちょこちょこあったので反省です。
毎週やっててよかったなーと思うこととしては、各自の強みと弱みがわかってきたことです。
これによって強い部分を伸ばして、弱い部分は得意なメンバーに補完してもらうという、サッカーで言うポジショニングの指示みたいな動きが前よりも出来るようになったかなと感じています。
アウトプット
チームとして週1回アウトプットしようぜってことを決めたのもあったのですが、元々「採用」については課題感を感じていました。
さらに半年前くらいのタイミングで、なにかのきっかけで、メルペイでご活躍されている@hik0107さんの記事を読みまして、採用を強化する上で、社外ブランディングをきっちりやっていかないとあかん、そのためにはまず発信を増やさないとあかんと考えるようになりました。
なので特にこの半期に関しては、10年間アカウントだけひらいて放置になっていたTwitterを再開したり、noteを書いたり、下記のようなイベントの登壇機会を頂いたりして、意識的に社外アウトプットを増やしました。
ただ実際結果につながったかというと、そこはまだまだかかりそうです。
採用に関しては焦ってうまくいくものでもないと思いますので、来るべき出会いに向けて、来期も着実にすすめていこうと考えています。
やめたこと
ここまでやってきたことを紹介してきましたが、その裏でやめたこともあります。その中でもおおきかったもの2つをご紹介しておきます。
・自社マーケティングとの兼任
・「仕切る」こと
特にこの半年は比較的いろんなことに取り組めた実感があるのですが、それは前提として上記の「やめること」を決めたからだと思います。
なにかを始める際にやめることを考えるのって本当に重要だなと実感しました。このやめたことについても少しご説明しておきます。
自社マーケティングとの兼任
冒頭にご紹介した通り、僕のチームは元々「マーケティング&コンサルティングチーム」という名称で自社マーケティングとクライアントワークであるコンサルティングを兼任していたのですが、この半年は名称も「コンサルティングチーム」にして兼任を辞めました。
自社マーケティングは「マーケティングチーム」として新たに立ち上がっています。
この兼任をやめるという判断に関しても実はきっかけは冒頭に取りあげた「チームビジョンの刷新」から生まれたものでした。
というのも兼任の状態でチームビジョンを決めるというのがどうにもしっくりこなかったのです。
でビジョンを決めるための初回MTG終了後、その時のチームメンバーであり、自社マーケティングを中心に見ていた@katsumi_martechさんから
「チーム分けたほうがよくないすかね?」
というチャットがあり、
「俺もそのほうがいいかなと思ってた」
くらいの会話を交わし、2時間後くらいに分けることが決まり、3日後くらいに実際にチームが分かれていました。
その判断が正しいかどうかなんてのはその時はわからないわけですが、「早い」ことは絶対的にいいことだと感じた瞬間でした。
その後チームを巣立った@katsumi_martechさんは自社マーケを一手に引き受ける傍らで、オウンドメディアMarTechLabの編集長として、これでもかというくらい赤裸々に自社の知見をメディアで公開するという、常人では考えられないような働きっぷりをされており、あの時の判断はよかったのかな。と勝手に感じています。
仕切ること
「決定」することはマネージャーの仕事だと考えているのですが、場を「仕切る」ことはマネージャーの仕事ではない、むしろマネージャーではないメンバーがやったほうがチーム全体が機能するのではと思ってやめました。
具体的な例をあげるとチームMTGの進行です。固定のアジェンダというのは基本なしにして、議題は前の週までに各自が投稿するというスタイルに変更しました。
実施前は「議題出んのかなー」とか少し不安に思ったりもしたのですが、今の所結構うまく回ってるのでしばらくこの形で続けてみようと思います。
というかこの判断によって、自分が勝手に抱えていた「マネージャーとしての業務」が格段に減った感覚がありました。マネージャーが勝手に自分の仕事だと思っているだけで、実は任せたら今以上にうまくいくものって沢山あるんだろうなーと実感しました。
部長2周目。大事にすること
ここまで1年間を振り返ってきて、あらためて大事にしたいと思っていることに大きく以下の5つがあります。
・人とのつながり
とくにこの1年は、過去一緒にお仕事をさせていただいたクライアントにもう一度声をかけて頂き、仕事をする機会に恵まれました。
そこで改めて僕らの仕事は人とのつながりで出来ていて、「いい仕事をすればまたつながることが出来る」と実感しました。この感情を大切に、常にベストを尽くしながら、顧客と繋がり続けることが出来る関係を構築していきたいと考えています。
・適材適所
メンバーも増えていくなかで、各メンバーの「強みを伸ばし、弱みを補完する」ことで一人一人のパフォーマンスはもっと向上出来るという実感を得ることが出来ました。
個性豊かなチームではありますが、個々が最大限の能力を発揮できるように適切な配置をすることは部長の努めかなと認識しておりますので、この適材適所は強く意識して進めていこうと考えています。
多様性を持つほうがチームが強くなるという点については南場さんのスピーチでわかりやすく語られていたのでリンクをはっておきます。
・透明性
SmartHRさんやFORCASさんなど僕が純粋に「いいな」と思う組織はもれなく透明性が高いので、いいものは取り入れようということで僕の部も極力透明性の高いチームにしていこうと考えています。
透明性を高くする目的に関しては、@yamotty3さんの記事にガッツリ言語化されてますのでこちらを参照ください。
・ファイナンス思考
ギャプライズは今上場を目指しているわけですが、その中でPL・事業計画に対する達成度合いをよりシビアに見られる環境になってきました。
これ自体は決して悪いことではないのですが、ちょっと気を抜くと目先のほうに行きがちな自分もちょこちょこ顔を出していましたので、自戒も込めてこのファイナンス思考は常に傍らに置いておこうと思います。ちなみに「ファイナンス思考」という単語の引用元は以下の書籍です。
・「失敗」を明確にする
「失敗」を「失敗した」ときっちり定義することは、リーダーとして非常に重要な仕事ではないかと考えています。というのもチャレンジ真っ只中のメンバーが自分で「失敗した」という判断を下すのはほぼ不可能に近いからです。
実はうちのチームでも今年新しいサービスを立上げようとして失敗に終わっています。ですがこれも「だめだこりゃ、つぎいってみよー」といかりや長介ばりの判断を下す人がなければ進めないわけです。メンバーのチャレンジは最大限支援し、やりきった上でダメなときはダメという勇気は常に持っておこうと思います。
最後に2回目の部長に臨むにあたってのスタンスですが、
「頑張るけど無理しない」
くらいの感じでいこうかなと考えてます。というのも1回目部長になったときは、まだ20代で正直全部自分で処理しようと考えてました。体調も決していいとはいえない状態でしたし、チームとしてベストパフォーマンスを出すには程遠い状態だったと記憶しています。
まあ今回は優秀なメンバーや部長陣もいるし、辛いときはつらいとぶっちゃけながら進めようかなーと考えてたら、まさにドンピシャな記事が新R25にあがっていたので、最後にリンクをはっておきます。
ということでこの1年の振り返りと来期への覚悟を持って、僕の2019年度(15期)は完了とさせていただきます。
最後にここまで読んでくれたあなたに少しだけお知らせです。
文中にも書きましたが、「採用」に関して力をいれています。この記事を見てちょっとうちのチームに興味を持ったという方は、TwitterのDMなどでご連絡いただければカジュアル面談からでもお待ちしておりますので、ぜひご連絡くださいね!
それではまた次回。
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