リブアーチ型石橋の所在地地区の歴史
リブアーチ型石橋は遠賀川本流の上流域、遠賀川源流地点に近い嘉麻市桑野字掛橋に所在し、 その名称や架設時期については明確でない。掛橋の石橋が所在する桑野地区は、江戸時代初頭においては筑前国嘉麻郡桑野村として福岡藩の統治下に置か れた。
藩主黒田長政の死後、独立支藩として秋月藩が設置されると、嘉麻郡は福岡本藩と秋月藩とに分割統治されることとなり、桑野村は他の八ヶ村とともに秋月藩へと編入された。
地理的には、桑野村は嘉麻郡の最南部にあたる山間部の集落で、筑前国上座郡・夜須郡のほか豊前国とも国境を接する。こうしたことから、国境警備等としての役目を担った郷足軽の配置があったことも史料に記されている。また、江戸幕府の天領として九州の政治経済の中心地となっ た豊後日田とは30kmほどの距離にあり、日田から八方に伸びる「日田往還」筋に位置するこ とも、当地の歴史文化を考慮するうえで重要である。
熊本大学名誉教授 山尾 敏孝氏レポートより抜粋
※現在この橋は見学できません。