Blabo!82歳コバケン、群響‼️ 群馬交響楽団、桂冠指揮者小林研一郎と30年ぶりのサントリーホール東京公演レビュー
本日はサントリーホールマチネ、小林研一郎指揮群馬交響楽団東京公演。30年ぶりだったそうです。前半は、すっかり大家ヴィルトゥオーソとなった神尾真由子の大大大好きなチャイコフスキー、ヴァイオリンコンチェルト。大感動の名演奏でした。好々爺となったコバケンさんの寄り添い方が神技で、第一楽章カデンツァパートでは指揮棒を左脇に挟んで、さぁどうぞと神尾真由子の独壇場を演出する心遣い。低音重厚、中音豊穣、高温繊細、終始夢見心地の体感演奏ぶりでごさいました。常套句だけど、感謝感激雨霰って、こういう時に使う言葉なんじゃないだろうか。ホント素晴らしかったです、ありがとう。第3楽章が終わって神尾さんの弓が天空に舞うように見えたとき思わずブラボーと叫びそうになった、今は厳禁がエチケットなんだけど。前の座席の婦人がブラボーと書いたタオルを振り上げ振り下げしてくれて、こうするのかと納得しながら、そうそう、そうですよね、と代弁に感謝してました。本当に素晴らしかった。休憩を挟んでの6番「悲愴」が楽しみ。なんたって今日の席は、コバケンさんを見るためのパイプオルガン下の、ちょっと音は悪いけど天井桟敷なんですから。
と、ここまで書いて、後半開始の前チャイム。
チャイコンで好々爺なんて書いてしまったコバケンさん、入場から別人になってて、なんと譜面台が片付けられていて、いつも通りの全暗譜、炎の指揮演奏開始。桂冠指揮者として群響の皆さんに尊敬され深い絆があるんだなというのが素人眼にも分かる一心同体ぶりで、席もいいのか、管楽器や打楽器への合図がこちらにも伝わり、一音一音、コバケンさんの指揮棒に吸い出されるように奏でられ融合して、会場全体を豊饒の海と化しているようで、この感動は、何年ぶりだろうと、ただただうっとり陶然とするばかりだった。コバケンさんも楽章を終えるたびに楽団員に頭を下げて思いを伝え、その相思相愛ぶりに胸揺すぶられ続けた。第4楽章の何度かある全休符部分は文字通り息を呑むばかりの見事さで、緩急自在、語彙の少なさが恥ずかしいけれど神がかった入魂の『悲愴』でした。コントラバスが静かに静かに全楽章を謳い終わっていく音色にじっと聴き入りながら、マエストロコバケンのタクトが中空に停止した瞬間は、喝采を捧げるより、嗚咽で胸が塞がるようだった。しばし全聴衆沈黙して、すぐさま嵐のような喝采。またしても前の婦人はブラボータオル。こちらは思わず涙を拭っていたら、隣の老婦人もハンカチを取り出して感涙のご様子。そうですよね、コバケンさん、群響さん、素晴らしかったですね。まさに炎のチャイコフスキーでした。この人類の遺産たるロシアの至宝を聴きづらくしている例のかの人よ、どうしてくれるのよ、とあらぬことまで頭を掠めていた。そしてそして各パートへの謝意喝采享受指示の後のアンコールがなんと弦楽器団員総出の「ロンドンデリーの歌」!なんというセンス、秀逸さだろう(これについて書き始めるとキリなく、別主題になってしまうから以下略)。心のうちで、泣きながら、Oh Danny boyと歌っちゃいました。演奏会での感動ばかりでなく最後には平和への希求ももたらしてくださり、小林研一郎さま、神尾真由子さま、群馬交響楽団さま、ありがとうございました。明日のホームグラウンド高崎公演も追っ掛けしたくなりますが、今の自分にはそれは叶わぬ贅沢。感涙感動にどっぷり浸りながら鎌倉へ帰ります、という思いのまま、これを書いてます。