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映画『春に散る』レビュー

沢木耕太郎が2015年から翌年にかけて朝日新聞で連載した小説の映画化。2時間にまとめるにあたり登場人物やエピソードを整理して、佐藤浩市と今をときめく横浜流星を起用して瀬々敬久監督が本腰を入れてボクシングと向き合った一本。横浜流星は、2020年の韓国映画リメイク『君の瞳が問いかけている』のキックボクサーに続いてのボクサー役で、思うところあったのか本年6月にプロテストC級に臨み合格している。
ここしばらくの邦画の動向を見ると、2014年に武正晴が足立紳の『百円の恋』、2017年に岸善幸が寺山修司の『あゝ荒野』、2020年に再び武正晴が足立紳と『アンダードッグ』、2021年に吉田恵輔がオリジナル脚本で『BLUE ブルー』、そして昨年は三宅唱が『ケイコ 目を澄ませて』と新鋭、ベテランのボクシング映画佳品が続いていて、この本作で、原作、監督とも真打ち登場の印象である。
個人的には、橋本環奈のキャラクター及び背景設定に納得のいかないものがあるが、山口智子、窪田正孝、片岡鶴太郎、相川翔、坂井真紀、小澤征悦と役者揃え良く見応えある仕上がり。ただ、邦画はボクシングを中軸にすえると、どうしても貧しい、というテイストが入り込み、芸術度を減じられてしまうのが、ステレオタイプめいていて気になる。
横浜流星のプロテスト合格は、クランクアップ後のようなので、いかに本格的に身体を鍛え、トレーニングに精進したかがうかがわれ、なるほど見どころのひとつとなっている。ボクシング先行作品での安藤サクラ、岸井ゆきのには感心させられたが、菅田将暉、森山未來、松山ケンイチといった名だたる将来の邦画を背負って立つ役者たちと横浜流星がどれほど比肩しうるか、その力量を江湖に問う作品でもある。より多くの劇場鑑賞を乞う。

映画『春に散る』のレビューを書きました! https://filmarks.com/movies/105771/reviews/159239042 #Filmarks #映画 #横浜流星

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