平日23時のBar、30代OLがひとり静かにお疲れ様会
先日、大きめの仕事が一区切りついた。
パーっと打ち上げ!といきたいところだったものの、チーム全体では後日改めてという形になってしまったため、ひとりでお疲れさま会を開くことにした。
最近の私なら食材を買い込んで料理しながら飲むことが多かったものの、その日は断念。身体的に疲れていて、自分の腕を振るうことはできなさそうだった。
そこで、適当に探したバーで開催を決めた。
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バーに行くのなんて、いつぶりだろう。転職前だから、、、コロナ前にまでさかのぼるかもしれない。4年前?あの頃の感覚を、だいぶ忘れ去っている。
当時のワクワクを思い出しながら、店のあたりをつけた。ただ、雑居ビルのエレベーターのボタンを押す頃には、久しぶりゆえの妙な不安も入り混じっていた。
ドアを引くと現れる、うす暗いエントランス。ガヤガヤ……と話し声からして、人でいっぱいのようだった。「金曜日の夜じゃ仕方ないか」と弱気になりかけた矢先、店員さんに促されてそそくさと中へ。
カウンター角にちょうど空いていた1席に通された。
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おひとり様の男性がお会計をしたタイミングだったので、入れ替わりで席へ。
見回すとペアのお客さんだらけだ。カップルというわけでもなく、仕事付き合い・女性のお友だち同士といった雰囲気。初めてのお店で落ち着いて飲むなんて難しいけど、あまり気を使わなくて良さそうだった。
見聞きしたことのあるウイスキーがちらほら見えるけど、銘柄指定じゃつまらないか。と、店員さんに好みを伝えてリクエスト。お一人で回しているバーテンダーさんでもある彼は、サッと一杯を差し出してくれた。
国産ウイスキーのソーダ割り。
ボトルを目の前に、う〜ん、これこれ……。と、喉をつたって身体に染み渡っていくのを感じる。
がんばったなぁ〜。
会社としても初挑戦のことが多く、手探りで進めるものばかりだった。意見の対立は起きるし、調整ごと続き。なんとか形にできたので、気を張っていた緊張がとれたせいか力が抜けた。
思いを巡らせていると、なんだか泣きそうになっていた。
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グラスがあと二口ほどで空きそうな頃、バーテンダーさんが話しかけてくれて、そこからは二、三、話をした。居心地の悪さは少しだけ感じていたので、ちょっとホッとする。
もう一杯いただこうかな、と柑橘のカクテルをリクエスト。
シェーカーにカットした果物の実を投じて、ゴリゴリと潰している。リキュールなのか、あれこれ調合していく。
差し出されたのは、カクテルグラスに入ったレモン色の一杯だった。
う〜ん、ほど良く甘くて締めの一杯にピッタリなヤツだ。聞けば、金柑なんだという。そうそう、丸ごと食べてもおいしいよね。
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2杯で済まし、店の外へ。「おやすみなさい」と見送ってくれる店員さん。うんうん、こんな感じ。普通に暮らしていると出くわさないよな。ほろ酔いで帰路についた。
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みんなでワイワイ騒ぐ打ち上げもいいけど、一人でしっぽり思いにふける打ち上げが好き。プロジェクトで走りきったら、また来れるといい。