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小説「十二時」

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2020年11月の記事一覧

小説「十二時」 第一章「落下」

まただ。
また始まった。
何度も、何度も、繰り返される。
扉の向こう側で。
大きな声が聞こえた。
無意味と分かっていても相手を非難し続ける声が。
間違っていると分かっているのに自分を正当化する声が。
お父さんとお母さんは、また喧嘩を始めた。
大したことでもないのに。
二人は何で喧嘩するの?
お互いを愛し合って、違いを認め合って結婚し、一緒に住んでいるんじゃないの?
何かが壁に当たる音。
ガラスの何

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小説「十二時」 第二章「処刑と旅立ち」

僕は、柔らかいベットの上で寝ていたはずだ。
何故冷たい石の上で寝ているのか、全く分からない。
あれは夢だったのか…?
いや、どうやら違うらしい。
目を開けると、ぼんやりと黒い柵が見えた。
床から天井までまっすぐに伸びた柵だ。おそらく鉄製だろう。
その外に誰かが立っている。多分人間ではなさそうだ。
体を起こしてようやく状況が分かってきた。
どうやら僕は牢屋に入れられているらしい。
石の上で寝ていたか

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小説「十二時」 第三章「本」

最初に、ドライヤーの風のような熱い風を感じた。
その次に、体が汗で風呂上がりみたいにビシヨビショになっているのを感じた。
そして、自分がいつの間にか馬車の上で寝ていた事に気付いた。
顔を上げた。
その瞬間、視界が真っ暗になった。
そして真っ白になった。
立ち眩みだ。そう。それで前が見えないんだ。
ガラガラと音を立てながら、馬車は進む。
視界が戻ってきた。
目の前には、ひび割れた砂岩の地面と、砂色の

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小説「十二時」 第四章「夏の風物詩」

アープさんが曲がった机に大きな地図を広げた。
「これはライオンの王が住む城の地図だ。ここが入り口。ここが玉座。そしてこの玉座の真ん中にヘンゲウイルスが入ったカプセルが飾り付けをしておいてある。
他の部屋は…何の部屋かは知らない。」
ジルドさんが何かに撃たれたかのように突然のけぞって笑った。
「はァ!若造、お前さんは無計画すぎるぞい。そんな情報でよくあの城へはいれると思うがな。はァ!」
「ああ。彼女

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小説「十二時」 最終章「Continue」

僕は起きた。
まず、円盤型のモノが中で上下している柱が目に入った。
「やぁ。正悟。お目覚めかい?」
体を起こした。
ここは、アープさんの研究室だ。
僕は、長いソファの上に寝かされていた。
バーデリーさんは椅子に座ったまま寝ていて、
ジルドさんは甲羅の中に入っていた。
No.227とトースターは、全身真っ黒になっていて、あちこちから銅線が飛び出している。
「ひあそび…は…キ…キケン…」
と、No.2

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小説「十二時」

数年前に描いた小説の一気読み版です。

賞に出す予定だったけど、色々あって辞めたので、ここに奉納しますね。

「十二時」
まただ。
また始まった。
何度も、何度も、繰り返される。
扉の向こう側で。
大きな声が聞こえた。
無意味と分かっていても相手を非難し続ける声が。
間違っていると分かっているのに自分を正当化する声が。
お父さんとお母さんは、また喧嘩を始めた。
大したことでもないのに。
二人は何で

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