人の幸せの価値観なんてそれぞれ|『青のフラッグ』
水曜日ですね、今日のマンガは『青のフラッグ』です。
前回のマンガは『青のオーケストラ』でしたよね。それにまた高校が舞台なんです(笑)
『青のフラッグ』をはじめて読んだのは、ちょうどこのnoteを出して消耗していたときだったんですが、心にすっと染み込んでいくような作品でした。
2020年4月8日に完結している、全8巻のマンガなんですけど
なにがいいって、主人公の太一や二葉に華があるわけじゃないんですよ。
そこが、なんかいいんですよね。
また何度も話してしまうんですけど、高校生というのは36歳のおじさんにとって本当に眩しいんですよ。濁りがない。
以前、コアミックスの方に伺ったんですが、作者はご自身の年齢と近い人物を "描きたい" と思われることが多いそうなんです。例えば、ぼくが36歳のマンガ家だとしたら30代のことを描くようになるらしいと。
そう聞いていたので余計に、作者の方は どういう心境で高校生のマンガを描こうと思ったのかが気になりましたね。
ストーリーは二葉の片思いからはじまります。
相手はクラスの人気者トーマです。
そして、トーマと幼なじみの太一が、二葉の恋に協力することになります。
でも、トーマにはずっと影があるんです。
「どこに進学するの?」
「誰が好きなの?」
っていう高校生活でよくありそうな会話でも、トーマはどこか物悲しげな感じがします。
ふいに、こういう表情をしているんですよ。ほかにも、やたらと二葉を気にかける親友が、太一に近づくいてくるようになったりします。
マンガの表現として「なにかを言いたいけど、はっきりとは言わせない」みたいなことってありますよね。そういうときは読者に予想させておいて、後で覆すような展開が待っていたりします。
『青のフラッグ』でも7巻になると、文化祭でトーマが衝撃の「告白」をするんです。ここから広がった噂に、二葉と太一も混乱してしまいます。さらに、この影響は周囲にも広がり、傷を残していくんです。
そこから紆余曲折を経て、それぞれが折り合いをつけた8巻では「高校3年生の最後にみんなで海へ行って『好きだ』と叫び続ける」シーンを迎えるんです。いいですよね、そういうの。
ここに至るまでの全部が眩しかったです。
なんですけど、またこんなコマが出てきます。
そこは "また別問題なのね" と思いました。『溺れるナイフ』だと、別れのシーンも時間をかけて描いていましたよね。でも、あっさり。
ここでまた『秒速5センチメートル』を思い出しました。部屋の描写とかね。
このマンガを読んでいると、結局トーマはなにに悩んでいるんだろうと思うんですよね。それは周りにいる人も同じなんです。
トーマのお兄ちゃんもその1人です。7巻のここ。
お兄ちゃんからそんなことを言われて、トーマもドキッとするんですよね。そうだろうなと。
かっこいい。反対もするけど否定はしないって、それだけで最高です。この考え方は真理だとぼくは思いました。
こんな感じで『青のフラッグ』はリードとミスリードが折り込まれているんですけど、そのバランスが結構ぼくには分かりやすかったんですね。
なので、4巻くらいになってくると「これ絶対
----------------------------------ここからはネタバレを含んだ感想です。
同性が好きなんじゃない?」とぼくは気づきました。
4巻を読んでいると、もうその気持ちから逃げも隠れもできなくなっているなと思ったんです。
これは8巻のコマなんですけど、そのあたりから急に線が変わった気がします。それから、こうやって目を細める描写は、BLを連想させるんじゃないかとぼくは思いました。
そして、このマンガを読んでいた人たちはイチャイするシーンを期待していたわけじゃないと思います。ここをしっかり守ったんだなという感じがしました。
そもそも8巻になったときに、あれ?これ、8巻で終わっちゃうの?と思ったんですよね。読み進めていくうちに、大丈夫?この先になにがあるの?と。そう思って、kindleストアを見たら「ついに完結」と書いてあったんです。
8巻で終わるんだと思っていたら、本当に最終話に進んでいって、ここもすごいんですよ。
このコマで誰もが「その手の先は男性だ」と分かると思うんです。
それから、二葉に惹かれていたクラスメイトのその後も描かれているんですが、いい塩梅で終わったんじゃないかなと。メモにも書いたんですが、『青のフラッグ』が伝えたいことは、そういうことなんじゃないかなと思ったんです。
いいこと言ってんな俺(笑)。
最近も鈴木俊夫さんのラジオでお話させていただいたときに、なにが正しいんだろうね"という話になったんです。
例えば、ラピュタのバルスやラグビーのオリンピックなど分かりやすいものは、共通認識になりますよね。Twitterのトレンドになったりします。でも今はダイバーシティー化が進んでいて、みんなの関心が細分化していると思うんです。
『青のフラッグ』でテーマの1つにある、LGBTQ+について昔は知らない人も多かったかもしれないですが、今は違いますよね。それと同時に、なにが正しいって価値観はあってないようなものだと思います。
こういうときに、トーマのお兄ちゃんの言い方はその通りだなと。
「大変なこともあるだろうから反対はするけど、否定はしない」
世の中的にはまだマイノリティとされているのは間違いないだろうし、マイノリティであるという表現が差別的なのかは、また考えさせられるところですが。
今は「生きにくい」ということが知られてきた段階で、世の中もそれに合わせて変化はしているはずだけど、まだまだ整備が行き届いているわけではないとぼくは思っています。
だからこそ、「セクシャルマイノリティとして生きていくのってどうですか?」って聞かれたら、客観的な視点で「まだ整備が進んでいないことも多いから生きにくいかもしれない」けど「否定はしない」
この考え方は真理だなと思いました。
それではまた明日!
最後に。
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