漫画『君の膵臓をたべたい』
水曜日ですね、今日のマンガは『君の膵臓をたべたい』です。
今回は『火花』と似たパターンで、小説読まずに映画を観るでもなく、小説と映画を観ずに、さらにマンガを読みました。
まず、ここですよ。冒頭。
また、『ラストレター』パターンだなと。
「死んだ人の話とかをさ、繰り返してもさ」「物語としては、もう亡くなってしまっているんだからさ」「いい話だったとしてもさ」
っていう穿ったところからはいりました(笑)。
でも、葬儀にも出なかったことと、借りていた本をっていう表現がいい裏切り方を予感させてくれました。
このあとに、
このあたりから、心を掴んでくるなと思いました。
ストーリーとしては、高校生の男女の話ですよね。例えば、この図書館でのシーン。
読んでいて思ったのが、「男の子めっちゃ頭よくない?」「なんかまさに、『ミステリと言う勿れ』クラスの知識と教養を兼ね備えているんじゃないの?」って思って
なんか、こういうのいいなって。「俺も今から勉強したらなれんのかな?」って思っちゃったりしますよね。
―― そこが気になられたんですか。(聞き手:Erina)
頭良いこと言いたいじゃないですか。
ぼくは自分の言葉では語れるんですけど、世の中的に誰もがふーんと思うような言い方ができないことに対して、たまにそれが俺だよねというところに、落ち着いたりはするんですけど。
もしかしたら、違う道を歩んできていたら、もっと違った言い方ができたのかなと思ったりはしました。
―― いつも分かりやすい表現を心掛けてくださっているんだとばかり思っていました。
もっと傷つく一言じゃないですか(笑)。それしかボキャブラリーがないだけですよ。
――すみません、本当に驚いてしまって。あえてnoteにも書いてほしいです。
大丈夫ですよ。ぼくに隠したい事はないです。
気になる描写
この作品、ぼくは下巻になって気づいたんですけど、名前を呼ばないんですよね。
なんで名前を呼ばないんだろうっていうのが、ずっと気になっていて。
他にも「共病文庫」という桜良ちゃんの闘病日記のようなものがあるんですが
これもどう繋がっていくのか、気になりましたね。
ストーリーが進むと、男の子と桜良ちゃんはだんだん仲良くなっていきます。でも、下巻の最後の方までずっと桜良ちゃんは強がっているんです。
だから、この男の子からすると、本当にこの子は死ぬのかなって思ううくらい元気なんです。それから、男の子が桜良ちゃんに「本当に死ぬの?」って聞けるのも下巻くらいなんです。
このあたりを読んでいると、やっぱりこう「死はいずれ訪れるもの」なんでしょうけど。この若さでっていうのが、切なくなりましたね。
下巻になると、男の子に自我が生まれます。
ここですね。この頃になると、桜良ちゃんと男の子はだいぶ仲良くなっているんですが、それを快く思っていなかった桜良ちゃんの元彼が詰め寄るんです。
すると、
「こういう自我が生まれたのは、あの桜良ちゃんのお陰なんだよね」っていう部分は「ふーん」と思いながら読みながらも、
このシーンで桜良ちゃんが言う
ここは、可愛らしいって思いましたね。
「絶交だよ」とか、そういうあれじゃないんだなって。幼い感じがしますよね。世が世なら、賠償責任ですよ。殴られ損じゃないですか。
――以前も仰っていらっしゃいましたね。殴られたら訴えると。
そうですよ。恨みっていうのは怖いんですよ。ぼくは一生忘れないですからね。
――ある種のエネルギーになっているんですね。
そうです。
で、ここ!
あれを思い出さないですか?『プラダを着た悪魔』の最後、車のなかのシーンです。
仕方ないんじゃなくて、選んでいるんだよ。すべては自分の意思なんだよ。
それから、桜良ちゃんが入院するくだりになっていって
物語は進んでいくんだよねと思いながら、ここまでを通して夜9時から始まるドラマですか?と。命の尊さについて教えてくれたなと思いましたね。
「真実か挑戦か」
ストーリーは前後しますが、2人が福岡に泊まったときにしていたトランプゲームも印象的でした。真実を言うか、なにか挑戦しないといけないゲームです。このシーンが好きだったんですよ。
これまた、嘘つくの下手ですよね。どこまでいっても。
2人はピュアなわけですよ。
ここで、ピュアってなんにも染まってないから、なにに染まっても傷つくんだよねとぼくは思いました。まだ、その色が正しいかどうかも分からない状態ですよね。
最近noteで人生相談みたいなものを受けているなかで、将来への相談って多いんです。
つぎに多いのが、再婚した方が良いですかなんですけど、それ俺に聞くかなと(笑)。俺の恋愛価値観で大丈夫なのかなというのが、若干あったりするんですけど。
人生相談ですごく良いなと思っているのが、この「18歳の人生相談」と「28歳の人生相談」では全然意味が違ってくると思うんです。
なにも知らないところからの相談に答えるときに「傷つけてもいけないし、ぼくに染めてもいけないし」っていうのを考えながらやっていて
―― 人生相談のお返事はいつもとは違った伸びやかさがあって、とても好きだったんですが、理由が分かったような気がします。
そんなことやってんなら、仕事しろよって感じかもしれないですけどね(笑)。
でも、なんか今日も1つ答えたんですけど、めっちゃ文字数が多くなっちゃうんですよ。自分のメインのことよりも、こっちの方が文字数が多くなっちゃっていて。
最近はそんなことを考えているっていう話でした(笑)。
話を戻すと、下巻になり桜良ちゃんが入院してからのシーンです。
ここらへんですね。やっと、お互いに好きなんじゃないかってことを言いはじめます。
こういうのは、悪くないです。あながち。
でも、
あくまでも、未来に向かっているようで、終わりは決まっているんです。
「こんな悲しい話あるの?」と思わされるところですよ。
逆に言うと、先が決まっているから、限界が決まっているから楽しめるものなんじゃないかとも思いましたね。
で、男の子は
って言い始めちゃったりとか
って言われて、やっぱりお母さんってすごいなって思ったりしましたね。
本当に、これは良いセリフ。
作者の優しさ
最後の方になると、男の子と桜良ちゃんは何度目かデートをすることになります。待ち合わせをしている間、男の子はいろいろ考えて桜良ちゃんにメールを送ります。
こんな顔してこんな文章を送るやつ、この物語がなかったら変態ですよって思いつつ。でも、待ち合わせに桜良ちゃんは現れないんです。そこで、男の子は家に帰って物語は結末に向かうんですけど。
ここは「なんてことをするんだ」って考え方もあるだろうけど、
「これが優しさだったんじゃないか」というのも、ぼくは思っています。
なにを言いたいかというと
ーーーーーここからはラストのネタバレを含んだ感想です。
桜良ちゃんが病気で亡くなるという終わり方では、なかったんですよね。
最終的には、連続通り魔に刺されてしまいます。
本来の病気とは違った理由で、桜良いちゃんが亡くなる設定にした作者は、優しいなって思っちゃいました。
桜良の最後を連想したときに、知らないところで刺されて死んだということの方が、病気で亡くなるよりもショックが大きいのかもしれないけど、この男の子にとっては良かったかもしれないと思ったんです。
病に苦しむ最後の方が、見ていて辛いじゃないですか。絶対。どちらにせよ、死んでしまうのだとしたらっていう言い方も変ですけど。
でも「そういうことじゃないんだよ」って言い聞かせるために、
っていう表現をして、1つ終わらせてあるところ。
ここに、この物語全体にある作者の優しさを感じました。
そこから、いつか振り返って読めるんだろうなって思っていた「共病文庫」の話につながっていきます。男の子が桜良ちゃんの家に行くシーンですね。
ここで、お母さん側の気持ち共感したところがありました。
ここらへんは、やっぱりグッてくるものがありましたね。
親からすれば、自分が育てた子が、自分より若くして亡くなってしまうことは悲しかったとは思うんです。
もう1つあるのが、最後にあてた文章が仮に両親宛でもそれはそれで嬉しいかもしれないですけど。
桜良ちゃんは両親ではなく、第三者に向けた文章を残して亡くなったわけじゃないですか。
このことで、嫌だって感情じゃないにしろ、別の人宛のものだったっていうのを、両親はどういう感情で知るのかまでは、
ぼくには分からなかったんですけど
このお母さんは、嬉しかったんだろうと思うんです。
でも、ここでも、まだ男の子の名前が出てこないんですよ。
ずーっと出てこない。
でも「共病文庫」には桜良ちゃんが強がっていたところとか、自分が弱いなって思っていたところも書いていてくれて、
ぼくは「この共病文庫はすごい良いな」って思いました。
あと、ここですね。
この感動的なシーンは、なぜかぼくはそんなに入ってこなかったですね。
ここの描き方は、言ったもん勝ちな部分がめっちゃ強いと思うんですよね。世の中の大半は「君じゃなくて桜良に憧れてたでしょ」と思っちゃうんですよね。だからこそ「君に憧れていたの」と、ループしていくような考え方もあると思うんですけど。
なんかそれは、言い方次第だなと思っていて、ぼくがビジネス書を読まないのを正当化する理由に「大体答えが一緒」というのがあるんですけど。ただ、それをどう分かりやすく書くだけかということだと思うんです。
適当な話ですけど、例えば証券会社の人がいたとして
というのと同じで、言い方でなんとでもできちゃうんじゃないかなと思っているんです。
だから、ぼくはこの物語を通して、感動的な言い方で伝えたかったんだろうなというのは思ったんですけど、やっぱりそこはあんまり入ってこなかったなと。
―― 後出しジャンケンに近いのでしょうか。
そうです、そうです。
あと、これは夢を壊すような言い方をしていたら申し訳ないんですけど、マンガって最初から全部決まっているってことはなくて、描きながら最終設定を決めていくことが多いんですよ。
小説はもしかしたら違うのかもしれないけど、こうやって見ていると、最後はどっちに転んでも良かったんだろうし、むしろ気になったのは、ここからでした。
こうやって最後に送ったメールが届いていて、開けていたってことは既読ですよね。ここで、これを知った何分後に桜良ちゃんは刺されたのかな、というのが気になって。
そのとき桜良ちゃんは、相当ルンルンだったと思うんですよ。
もちろん死ぬのが決まっている子だから、ルンルンっていうのは違うかもしれないんですけど。でもお互いに気持ちが通じ合って、自分が言ったセリフをメールしてきてくれて。憧れていた彼がですよ。
っていう最高潮のところで。人によってはそこを連想してしまうと思うんです。そこも含めて作者は描いたと思います。
で、最後は
泣きじゃくり
そんな小説家いたねと、思い返したりして。
そこから1年後、桜良ちゃんのお墓参りで親友の京子ちゃんとも仲良くなり始めて。
最後はセンチに終わるというよりも、墓参りを通じて主人公たちの未来に、希望を感じさせる終わり方だったんだろうなと思いました。
今日はこんなところで!
最後に。(やっぱり毎回言おうと思います)
読んで頂きありがとうございます!そして読んだということで「ハート」をポチってください。人間リアクションは大切です。
あと(追加!)、人生相談というnoteを書きました。ちゃんと回答していきたいと思うのでぜひあれば書き込んでみてください。
またnote内にサークルがあります。こちらもよければ。
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