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二つの僕との日常②
水曜日。
酷く身体がだるくなり、仕事を早退した。
薬の影響なのか分からない。だが、家に帰ると、「ブレインクリニック」を母から紹介された。
駅近の病院で、飲み屋がいっぱい入ったビルの1フロアにあった。
通された待合室には、二人の間でしか分からない会話を交わすカップルしかいない。
僕は、ADHDの子どもの本をよんだ。
やがて通された狭い部屋には、安楽椅子が一つに、パソコンやら機械やら。
慇懃なスタッフさんの説明を聞きながら、頭にピンク色のネットに脱脂綿、クリームに水。
「壁の一点を見つめて下さい」と言われたので、10分くらいだろうか。そうしていた。
色んなことを思い出していた。
僕の性格に付き合いきれなくなって、別れた人たちのこと。
仕事で担当してきた子どもたちのこと。
ずっと僕のことを考えてくれてる家族のこと。
学校、バイト先、ボランティア先、色んな場所で受けてきた仲間外れと、人との摩擦と、自分への違和感。
BGMみたいにいつも脳内で流れている映像だから、別にこのときも普通に浮かんでいただけなんだけど。
「綺麗に脳波がとれています。そのままでお願いします。」
思えば家族と、一部の友人たちのおかげで、僕はなんとかここまできた。彼らに深く感謝している。愛している。だけど、若さゆえなのか、違う感情がずっとある。
明るく冒険したい。
平穏な日常が欲しい。
誰もやっていないことを、自分にしかできないことを、やりたい。
普通の人生を送りたい。
診断は、ADHDとASDの複合型。
その特性を、ある程度生活に生かせている、類いまれなケースらしい(誉められたのだろうが、ここまでの道のりを思うと、複雑な気持ちだ。)だから、障がいと言われる程ではなく、飽くまでグレーゾーンという訳だ。
先週、他の診療内科で双極性障害に間違われたときにさんざん落ち込み、そのせいで心の準備はできていたので、もう驚かなかった。
二つの僕は、また新しい形で、歩いていく。