四十代男のワクワクした箱
幼少期ワクワクした箱がある。
そんな箱はいくつかあるのですが、
その中で今回は、「ファミコンカセットの箱」。
思い出しただけでも、文字が滲んで見えてしまうくらいうるっとしてしまいます。
ファミコンの本体に差し込むカセットの箱で、精密基盤なので、プラスチックのブリスターのような物にビニール袋に入って収まっています。その上に、これまた素晴らしいサイズの説明書がホッチキスの中綴じで同封されています。TV画面ではドットで表現されるキャラクターのイラストが、二色印刷などで描かれており想像力をわかせてくれるのです。
外側の箱の話に戻りますが、カセットより少し大きくてツヤ加工のあるキャラメル箱。パリッとカクッとしていて子供には高級感もあり、なかなか買ってもらえなかった私にとってはキラキラと輝いて見えたものでした。デパートやファミコンショップで入れてくれる紙袋さえも嬉しかったことを覚えております。
とくに覚えている嬉しかった
カセットエピソードは二つ。
まずは「ドラゴンクエスト4」世間的にはドラクエ3のニュースが有名かもですが、私はドラクエ4です。
小学校高学年だったのですが、噂は広がっていたから早朝からゲームショップやデパートに出かけて行きました。これが全く手に入らなかったのです。東京の街とかだったら、列とかできていたのかもしれませんが、埼玉の田舎ではそんな気配はまるでありませんでした。それからようやく中古ショップに余っている情報を知り、小学生には少し怖い雰囲気の中古ショップに勇気を振り絞って向かい、購入出来た時の喜びは忘れられないものがあります。ドラクエに初めて挑んだのも4だったので私の冒険の始まりだったのかもしれません。
もう一つは、ファミコンを手に入れてまだまもない頃、ファミコンはあってもカセットがないのです。
どんなものが自分の好みなのかわからないのです。
1番初めに買ったのは「けっきょく北極大冒険」でした。ペンギンがアザラシを倒すゲームだと思って買ってもらったのですが、邪魔するアザラシをかわして急いでペンギンが駆け抜けたり飛んだりするゲームだったのです。このように、パッケージイラストでは内容が分かりにくいのもあって、何を買ったらよいかわからなかったのです。そんな私をみかねて、父がなんとカセットを二つも買ってきてくれたのです。父を尊敬したのはこの時だけだと思います。
「魔界村」と「じゃじゃ丸くんの大冒険」です。
今思うと、とにかく大冒険なんですね、私は。
この二つのカセットの箱がテレビの上に積んであったのです。子供には宝です。休みの日はまだ暗い時間から起きてきて、布団を被ってゲームをするのが好きだったのですが、朝起きたら箱が二つです。大変興奮したものです。
ファミコンの箱はスーパーファミコンになっても、ワクワクする箱のままでしたが、CDタイプのゲームソフトになるとワクワクが薄れてしまったように感じます。四十代のいまも、中身がファミコンでなくても、あの質感あのサイズの箱にはワクワクを感じてしまいます。