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カヤックを言葉で届ける

尾鷲"海と森”コース/2回目/2020年12月19~20日
三重大学生物資源学部所属

どうも、かまざえもんです。先日某回転寿司チェーン店にて茶碗蒸しを頼んだところ、具が一切載っていないプリン同然の何かが運ばれてきました。なんでだよ。

今回は、自然環境リテラシーを学ぶプログラム・第2回の様子をお届けします。師走というクッソ寒い中カヤックで海に出るという狂気じみたことをしたわけですが、やっぱり様々なイベントがあったようで…?

第1回はこちらから~(概要も載ってるよ)​

乗り方&助け方を学ぶ

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第1回の集合場所は尾鷲駅だったのですが、第2回以降は1つ名古屋寄りの相賀(あいが)駅とのこと。特急南紀号は停まらないので必然的に普通列車になるわけで、新型(なお2015年誕生)車両キハ25系に約3時間揺られることとなりました。

ちなみにですが、この車両は架線から電気を貰って走る「電車」ではなくディーゼルエンジンを用いて自走する「気動車」になります。地元民からは「汽車」と呼ばれることも多く、まあ少なくとも都会からはそこそこ離れた場所であることがお分かりいただけるかと。

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到着後はお昼ご飯を食べたり荷物をまとめたりしつつ、いよいよプログラム開始。1日目の第一プロセスは「前回学んだカヤックの乗り方、他人に説明できるかな?」という、説明力に関するレクチャーでした。

皆さんは自転車の乗り方を”誰でも分かるように””言葉”で説明できますか?「んなもん簡単すぎて寝ながらでもできるわ」とせせら笑う…いやそれはただの寝言だと思いますが、試しに以下で説明してみようと思います。

①後ろのタイヤに引っ掛かっている金具を外し、三角形とは言い難い椅子のようなものに跨る。                         
②側面に飛び出ている足置き場のようなものに片足を載せ、体重を掛けながら勢いをつけて回す。                       
③同時にもう片足も同じ動作を行い、以降は前方のT字の物体でバランスを取りながら繰り返すことで前へと進んでいく。

…は?こいつ日本語知らんのか?と自分でもキレてまいそうな説明力の無さですね本当にありがとうございました。誰でも分かるようにするには「スタンド」「サドル」「ペダル」「ハンドル」等々も使えないのがもどかしいところではないでしょうか。「タイヤ」も危ういかもしれませんね。

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さすがに自転車の乗り方くらいはパパとママによるスパルt…じゃなくて熱血指導で教えてもらえるでしょうけど、カヤックともなると経験なしで想像するのは難しいでしょう。

自身の体験・実感を言葉で書き表すことがリテラシーである以上、その能力を身につけることはこのプログラムにおいて必要不可欠です。単に「自然はええなあ」で終わらせるのではなく、それを知らない誰かに伝えるための説明力ないし発信力も養う、これも目指すべき目標です。

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続いては「セルフ&グループレスキュープログラム体験」。海の上である以上やっぱり落っこちることはあるわけで、そこから元の体勢に復帰するための方法を学びました。

そのレクチャー方法がまた斬新でして。ガイドの森田さん(シーカヤックステーション小山ハウス)、野田さん(Verde大台ツーリズム)、さらに大学教員の山本先生がわざとひっくり返り、学生が実際に助けてあげるという何とも体を張った教え方でした。写真はまさに救出中、といったところです。

比較的暖かい太平洋側とは言え12月下旬、いくらなんでも水温が低いことは自明です。それでも伝えなければならない理由は、このレスキュー法がいかに大切であるかに関わってきます…まあもったいぶってもあれなのでさっさと伏線回収しにいきますか。

プチ緊迫な1分58秒

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事件は2日目、昼食休憩後の出発時に起こりました。この日は第1回から教わってきた技術や知識を用いてシーカヤックの旅を敢行、風は少々強いものの天気はそこそこ良いというコンディションでした。

しばらく漕ぎ進めていると後ろのほうで「…けて」という微かな声。振り返るとTake(note ID:takeoutdoor1)くんが文字通りひっくり返っているではありませんか。いや正確にはひっくり返されたのでしょうか、その辺は本人がそのうち語ってくれることでしょう(Takeくんを見ながら)。

すぐさまマツ(note ID:yuki_0426)くんが向かいまして、かまざえもんも続いて向かいます。ここで重要なのは「声かけ」、といってもそれは助ける側だけでなく助けられる側も必要で、前者は励ましの意味合い、後者は意思疎通の意味合いが含まれます。

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マツくんはTakeくんの、かまざえもんはマツくんのカヤックを押さえております。助ける側は安定性を保つ役割を果たし、その上で助けられる側であるTakeくんが落ち着きながらカヤックに跨ることで、ひとまずは海から救出されるというわけです。

さらに奥にはもう1人、ひられん(note ID:jsidvroahansid)くんですね。彼が合体した3艘のカヤックを押しながら誘導することで、岩への衝突や岸へ流されるといった事態を回避しております。

レスキューにはセルフ型(自分自身のみで復帰)とグループ型(仲間の助けを借りて復帰)の2種がありますが、当然人の手を借りたほうがスムーズです。しかも大人数であるほど安心と安全が保障され、と同時に助けられた側の不安や恐怖が解消できるという効果があります。

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定位置に戻ったTakeくんは、ビルジポンプを用いてコックピット内の排水作業を行います。このときも周り3人でカヤックを押さえつつ、マジで落ちるとは思わんだと笑いつつ、某氏からの謝罪大会が開かれつつ…と、アフターフォローも欠かさず。


そう、何が言いたいかというとこれらは前日の「セルフ&グループレスキュープログラム体験」で学んだことがそのまま活かされているということです。カヤックから復帰させる技術的な方法はもちろんのこと、その際は双方ともに声かけを忘れないこと、各自が適切な応援を行うこと、気持ちを落ち着かせようと努めること、全てが現場で役に立ちました。

一連の様子が記録された動画が1分58秒で実際はそれ以上だと思うのですが、それでも3分弱でスムーズに行えた事はなかなかファインプレーなのではないでしょうか。まあ自分はただサポートしていただけでドヤ顔する分際ではないので引っ込んどくとして、Takeくんはもとよりマツくんとひられんくんの行動に感服するばかりです。

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ガイド&教員の3人が極寒の海にダイブしてでも伝えたかったレスキュー方法、それは意思疎通と行動力の大切さを暗に教えているようにも感じました。困難を乗り越えるには「言葉」による連携、しかも「誰にでも分かる」ような方法で…このプログラムの本質が垣間見える瞬間でした。

で、それをこんな形で世に広めていくのがリテラシー学です。海に落ちた、それを目の当たりにした、こんな貴重な経験を「助かってよかったね、チャンチャン!(新喜劇)」だけで終わらせるようなこと、逆に申し訳ない…

最初のカヤックの乗り方説明も、レスキュー説明も、それらを知らない人に伝えようとすることで、きっとどこかで役に立つということがよく分かりました。それはいつになるか、はたまた直後か、全くの検討が付きません。少なくともこの記事をご覧になっている読者の方には届いていると思う(いやそうであってほしい)ので、今後もリテラシーの重要性を感じながら参加していきたいところです。

尾鷲の人と喋る

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最後に一つ小ネタを。プログラム中に尾鷲市民の方と喋ったよという話です。Takeくんが落ちる直前まで上陸していた大渡鹿(おおとうか)は無人浜で我々以外誰もいないはずなのですが、まさかの近くにお住まいだという先客がおりました。

その方は子どもと親戚を連れて山登りをしていたらしく、我々は海からアプローチしたのに対して山からアプローチしたことになります。見る限りガチキャンパーとかそういう類ではなくラフなピクニックの恰好だったもんですから、ふと「なぜ山登りを…?」と聞いてしまいました。すると…

「いやあ、子どもが行きたいって言ったもんでなんとなく?」

と返されました。地元住民からすればこういった自然物は当たり前の存在で、レクリエーションの場やら遊び場やらとして重宝されているようですね。その方の「なんとなく」という曖昧な答えは、日頃そういう環境にいない自分からすれば非常に魅力的に感じました。無知であるがゆえに無礼な態度、大変失礼いたしました…

次回はどんなイベントが

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第2回は「伝えることの大切さ」を、語彙力のない日本語で熱弁してみました。他人に伝えるにはまず自分の理解力を上げなければ話になりません。「何言ってんだこのドラ〇もんの亜種は」と思われようものなら、それはかまざえもんの理解不足でございます。あとドラえ〇んは全くの無関係です。

体験を誰かに伝える、それがいつ報われるかは分からないにしても、何かのきっかけになってくれれば幸いだーそんな思いで書いております。自身の備忘録、同じプログラム参加者との共有、お世話になった方への恩返し、そしてnote読者さんへの発信…タイピングはメモリーよりも強しってことでしょうか、違うねそうですね本当にありがとうごz(ry


第3回はどのようなイベントが起こるのか、そこで何を学ぶのか、今後の展開にご期待くださいと自らハードルを上げたところで締めくくりたいと思います。最後までご覧頂きありがとうございました。

~続きはこちらから(2021/05/28追記)~


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