【読書記録】まちづくり幻想
木下斉さん著の「まちづくり幻想」を読みました。学んだ8つのポイントを紹介します。
本書の概要はこちら
1. まちづくりの答えは自分で探す
同じまちはないので、まちづくりの正解もそのまちによって異なります。
他の地域の成功事例を真似すれば成功するというのは、幻想です。
「まちづくりは何をすればいいか?」という質問も、そこには正解があると勘違いしているわけです。
「これをすればうまいく」なんてものはなく、何度も失敗しながら答えを自分で見つけるしかありません。
2. 時間は資産である
そもそも何十年もかけて衰退してきたわけです。それを短期間で改善できるわけないし、狙っても大失敗するだけです。
日々の地道な努力を積み上げるしかないし、それには時間がかかります。
時間はコストではなく資産と考え、長期間をかけて「まちづくり」という大きな課題を解決していく必要があります。
3. 企業誘致には罠がある
企業誘致はあくまで手段であって、目的は内需のはずです。
雇用条件や生産内容などを細かくみていかないと、企業誘致が地域に貢献するかは分かりません。
たとえば、本社と異なる給与体系で非正規雇用なら内需にはつながらないわけです。
そもそも生産人口が減少している地方では、企業を誘致しても働き手が確保できない可能性が高いです。
4. 人口は関係がない
その地域だからできる独自の産業と生活スタイルがあれば、地域を豊かにすることができます。
そこに人口は関係ありません。
北海道の江丹別(人口250人)でチーズを生産している農家がいます。
元々は牛乳の生産がメイン
相場がリッター80円のため大規模酪農ではないと継続できないと判断
グラスフェッドで独自のブルーチーズを生産し、少量かつ高付加価値の生産に切り替える
少量かつ高付加価値の生産によって、リッター換算で1,000円の売上になる
このライフスタイルに共感した移住者がレストランやセラピーを始めるといった動きにもつながる
工業化しなくても、ローテクでも地域は豊かになるわけです。
5. 求職者に「やりたい」と思ってもらえる仕事をつくる
若者が減り、採用難の情勢では、いかに「その仕事をやりたい」と思ってもらえるかどうかです。
そして、そういう仕事は事業内容も職種名も見直してでも作る必要があります。
宮崎県日南市では、人材が流出する理由をデータで分析しました。
このように、働き手不足の社会では若者や女性の希望に合わせて事業体制を変える必要があります。
6. 外圧を利用する
何かと批判の多いまちづくり事業では、いかに説得するかが重要です。そして、説得は内容よりもキャスティングです。
同じ組織属性の人(成功している同業他社の人)
同じ階級の人(部長相手には、部長以上を用意)
外部評価を持つ人(分かりやすい実績)
相手に合わせた発言者の用意が大切です。
7. 商売は儲けるため
繁盛するエリアは、「ここに出店すれば儲かる」とみんなが思っている地域です。
そこに、空き店舗対策なんてありません。
事業は儲けるためにやるもので、地域の人は地元の事業を全力で応援・協力すべきです。
地域の店を積極的に利用する
口コミを広める
誰かが繁盛したら新たなお客さんが地元に来てくれて、集積メリットが生まれます。
8. 関係人口は引き寄せる
関係人口とは、「消費力」と「労働力」という2軸で地域に貢献してくれる人のことです。
という好循環こそが、関係人口のメリットです。
お祭りなどの無料イベントで注目を集めても意味がありません。
関係人口は追いかけるのではなく、そのまちの産業やライフスタイルに引き寄せるものです。
そのためには、まずは地元の人たちが仕事や産業に自然体でプライドを持つことです。