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薬剤師が考察するFFシリーズの『万能薬』の正体

冒険者の皆さん、こんにちは!
FINAL FANTASY XIV 非公式VTuber
光のVTuber、カルミアです✨

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カルミアはこう見えて、
日本の薬剤師免許を持っています💊
『光のVTuber』が本業なので、『薬剤師』は副業です。
今回は、以前から書きたかった、
FFシリーズの世界観を、薬学的な観点から説明する記事を投稿します✨

FFシリーズの『万能薬』

ファイナルファンタジーシリーズでは、
回復薬としてポーションやエリクサー、
そして状態異常回復に、様々な薬品が登場しますよね!

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毒消しや目薬、やまびこ薬など、
モンスターの放つ状態異常を治癒してくれるアイテムは、
白魔法の充実していない序盤では必須とも言えます。
そんな薬品たちの中で、ひときわ輝くアイテム!
それが万能薬です!

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アイテム/【万能薬】
Last-modified: 2021-09-29 (水) 11:05:30
複数種類のステータス異常回復アイテム。
毒・マヒ等、基本的なステータス異常はこれ1つで全て回復できることが多い。
FF5では調合することで使用できる。

FFシリーズではショップなど販売していて、
値段も高めに設定されている事が多いと思いますが、
これ一つで複数の状態異常をまとめて治癒できるため
とっても役に立つアイテムですよね!
でもこの万能薬って、一体なにでできてるのでしょうね?
そもそも私たちの住む現実の世界に、万能薬は存在するのでしょうか?

「万能薬」でGoogle検索してみると…?

万能薬(ばんのうやく、英: panacea、独: Panazee, Allheilmittel)とは、全ての、あるいは非常に広い範囲の病気や怪我に効果があると称される薬のこと。主に宣伝・広告の都合上の概念、また神話的・仮想的概念として用いられる。

「神話的・仮想的概念」という表現がちょっと胡散臭い印象ですが、
「非常に広い範囲の病気や怪我に効果がある」という表現は、
現実であてはまるモノがあるかも知れません。

「非常に広い範囲の病気や怪我に効果がある」薬は存在するの?

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結論から言うと、存在します。
例えば感染症治療・予防に用いられる抗生物質は従来、
退治したい菌に対して、相性の良い抗生物質を選ぶ必要がありましたが、
ここ最近では、多種多様な菌に対して効果を示す成分が発見され、
「これ一つ投与しておけば、だいたい大丈夫!」
みたいな開発されています。
(便利な一方で、乱用すると耐性菌の発生が問題となるため、
安易に用いないようにガイドライン化されています)
これも広義の『万能薬』に該当すると言えるでしょう。

ただ今回の場合、FFシリーズの万能薬は少なくとも、
『毒消し』、『目薬』、『やまびこ薬』などのアイテムを
全て包括した効果を持っているため、
多岐に渡る疾患に治療効果がなければなりません。

FFシリーズの万能薬は『ステロイド』

人体に起こる多種多様な状態異常に治療効果のある薬
それは『ステロイド』です。
一般に、ただ単にステロイドと言う単語を聞くと、
筋肉増強剤やドーピングをイメージされる人もいるかも知れません。
スポーツなどの薬物乱用問題で話題になるステロイドは
アナボリック(蛋白同化)ステロイドと呼ばれるもので、
医療用で治療に用いられるステロイドとは別の物質を指します。
病気の治療に使われる『ステロイド(ホルモン)』は、
副腎皮質ホルモンの糖質コルチコイド(以下、ステロイド)です。

この副腎皮質ステロイドは、

抗炎症作用
細胞増殖抑制作用
血管収縮作用
免疫抑制作用

を始めとした様々な効能効果を持ち、
アトピー性皮膚炎の治療から抗がん剤治療まで、
ありとあらゆる様々な疾患に有効な薬として知られています。

ステータス異常を現実の疾患と比較してみる

FFシリーズの状態異常に話を戻すと、
モンスターから受けた『毒』の状態異常には、『毒消し』を用いますよね。

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日本でも、ハチやアブなどの野外毒を受けた場合は、
清潔な水での洗浄や抗アレルギー剤、
そしてアナフィラキシーの二相性反応
(初期症状が改善した後に症状が再び出現する反応)
を抑える目的でステロイドを使用するのが
一般的な処置として知られています。
また、マムシのヘビ毒などに対しては、
ウマの血清を解毒剤として用いますが、
ウマの血清を体内に入れた後に起こるアレルギー炎症の抑制に
ステロイドを必要とします。
このように、ステロイドは他の解毒剤との併用も有効です。

また、『暗闇』のステータス異常は、
『目薬』というアイテムで治癒できることが多いですね。

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この暗闇は単純にインクジェットなど物理的に視界を遮るものから、
何らかの化学物質で目の周りに炎症を起こし、
視力を低下させるものまで原因が考えられます。
現実世界でも、目の周りで起きている過剰な炎症反応には、
ステロイド成分を含有する目薬が用いられる事があります。

また、『やまびこ薬』で回復できる『沈黙』のステータス状態は、
恐らく聴覚が一時的に麻痺する事で自身の発声を認識できずに、
うまく喋れなくなる状態異常だと考えます。

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魔法詠唱など精度の高いキャストを必要とする技は、
確かにこれをやられると詠唱中段するのも頷けますね。
実際の医療現場でも、突発性難聴を始めとした聴覚疾患に、
ステロイドが治療薬として用いられるのは珍しくありません。

『万能薬』が戦闘で有効な理由

ステロイドの投与は、
疾患の発生原因が不明な場合でも治療効果が期待できるので、
モンスターとの戦闘中に行う応急処置として
ステロイドは非常に有用な『万能薬』であることが伺えます。
ただ、万能であっても、副作用が出やすかったりするので、
ステロイドばっかり治療に使われるわけではありません。

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また、現実世界の戦場では、外傷による出血や痛みが主なダメージなので、
モルヒネなどの痛み止めが主な応急処置薬として
戦場系のゲームでも出てきますよね。昇圧剤も使うのかな?
現代では生物・化学兵器が国際条約で禁止されているため、
状態異常に巻き込まれる戦闘は
ファンタジー特有の世界観であるとも言えますが、
米国では神経ガスなどの兵器に対する対策は
今でも研究され続けているようです。

ちなみにFFシリーズには、『バイオ』という魔法があります。
FF3で初めて登場したときには、
細菌、つまり生物兵器をイメージしていたようですが、
FFシリーズでは代を追うごとに
細菌ではなく、毒っぽい演出に変化しています。
これは恐らく前述した国際条約の締結と共に
生物兵器に対するイメージが非常に悪くなっていったため、
少しずつ時代に合わせて演出が変化し、
最終的に、ただの毒攻撃という設定に落ち着いた結果だと思います。
それでも化学兵器自体もイメージが良いとは言えません。
FF6のエドガーが使う「きかい」や、FF14の機工士にも
『バイオブラスト』という武器がありますが、

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wikiを見るとFF6の発売年が1994となっていて、
その翌年の1995年には地下鉄サリン事件が発生したと記録があるので
その前後で、日本でも生物・化学兵器に対する認識が
大きく変わっているはずなんですよね。
もしFF6の発売時期が前後していたら、
実装されなかった可能性もあるのではないでしょうか。


さいごに

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薬学的な観点から、FF14の状態異常と
治療薬を説明できないか考えてみました!

余談ですが、FF14の世界には所々、
薬学的にマニアックな名称や設定が用いられている部分があって、
FF14開発チームの中に、詳しい人がいるのではないかと思っています。
いつか、そのお話も記事にできたらと思います。

さてさて皆さん、今回も読んで下さってありがとうございました。
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