アートめぐり レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才
まだまだ開催中と思っていたら、あっという間に4月になってしまい駆け込みで行ってきました。
シーレは、触れれば切れそうな繊細さと不穏な感じがする絵が多く、個人的には家に飾ろうとは思わない作品が多いです。
けれど、シーレの代表作とも言える『ほおずきの実のある自画像』が来日すると聞き、絶対行きたかったのです。この絵は、本などで白黒のものしか見たことがありませんでした。
今回の展覧会はシーレだけではなく、レオポルド美術館所蔵のクリムト、ココシュカ、ゲルストルをはじめとする同時代作家たちの作品もあわせた約120点の作品が見れました。
展示品がたくさんあったため、気になった作品も多かったです。
●『装飾的な背景の前に置かれた様式化された花』 エゴン・シーレ
大きな紫の花もインパクトあり、目を引いてしまうのですが、背景を描いている筆跡が何かの模様のようで、とても独特な描き方です。
●『菊』 エゴン・シーレ
解説にアールヌーボーの影響も受けたとあり、確かにアールヌーボーっぽい花の描き方でした。シーレが描くと独特で惹きつけられます。
●『森の中(《祈り》のための習作)』 アルビン・エッガー=リンツ
今回の展覧会に行かれた方が、素敵だと言っているのを何回か見かけましたが、私もとても好きでした。ただ、林立する木を描いているだけなのに、あんなに引き込まれるのか・・・?色合いといい、木の配置などがとてもいいのでしょうか?
●『キンセンカ』 コロマン・モーザー
元気になる色合いで、好きな絵でした。花は身近な題材でたくさんの画家が描いていますが、キンセンカにおいては、コロマンのより素敵な絵を見たことないです。
●『ほおずきの実のある自画像』 エゴン・シーレ
ついに初対面。実物は思ってたより、小さかったのです。斜めに生意気そうな視線をこちらに送るシーレとほおずきの配置といい、一度見ると目をそらせなくなります。洋服の筆のタッチも不思議で、絵を描かない私からするとどういう動きで描かれているのか謎でした。
●『しゃがむ二人の女』 エゴン・シーレ
未完の作となってしまったシーレの最後の作品。華やかな背景と女性のなんとも言えない表情が印象的。
第9章の風景画では、写真撮影ができました。
第13章で裸体を展示しているのですが、黒い背景と照明のせいで作品が浮かび上がって見えてなんとも幻想的。描く裸体は、女性でも身体がゴツゴツしているし、色合いもあわせてなんだか痛々しい感じがしています。
シーレはスペイン風邪、今で言うとインフルエンザで、28歳という若さで亡くなってしまい、本当に残念です。コロナ禍がようやく終わり、なんとか生き延びた今の状況とも重なり、哀しくなりました。
短い人生だったけれど、天才には変わりないし、予言通り、遠く海を渡った日本でも展覧会が開かれています。