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「爆外伝VI」!? 幻のビーダガンアーマーについて考察(妄想)してみた

それは2022年の年明け早々のことだった。あるホビー界隈の方のツイートが私のTLに回ってきたが、その内容に私は衝撃を受けた。

商業向けカタログに燦然と輝く「爆外伝VI」と「ビーダガンアーマー」の文字。ボンバーマンビーダマン爆外伝シリーズにまさかのVIが企画されていたとは…たった1枚の画像ではあるが、妄想が色々止まらず、爆外伝VIに対して思いを馳せたり、当時を振り返ってみたりの色々を書き出してみた。そんな記事です。

ボンバーマンビーダマン爆外伝シリーズ

この記事をわざわざ読んでくれるような人には今更説明不要だが、おさらいという形で。元はビデオゲーム「ボンバーマン」シリーズのキャラクターから、ビーダマを発射できる機構を持った玩具「ビーダマン」シリーズのうち、ビーダマンそのものに生命と意思をもたせてストーリー展開したのが「ボンバーマンビーダマン爆外伝」シリーズだ。元から辿ると派生の派生という立ち位置になる。

爆外伝シリーズはさらにⅠからVまでローマ数字で区切られた商品展開と物語が分かれている。それぞれうっすらとした繋がりがあったりなかったりだ。最初は説明書に物語が表記される程度だったが、シリーズを追うごとにメディアミックスが行われ、IIIからVまではアニメ化した(IIIはIVの前座で2回放送分で終了、ダイジェストのようにまとめられていた)。筆者は今のところII~Vまでが守備範囲である。Ⅰの商品展開や物語もどこかのタイミングで履修したいのだが…

爆外伝IVとVについては、1998年から2000年までの間に、1年間ずつアニメが放送された。日曜日の朝が毎週楽しみだったのを今でも覚えている。IVとVの商品展開の主軸はビーダマンの機構をロボットデザインに落とし込んだ「ビーダアーマー」だ。競技特化したスパビーと比べ、ビーダマ発射の威力は少なめな代わりに、変形機構や合体要素が売りになっているのが特徴である。私の知る範囲では近所の子供達にもそこそこ好評だった。しかし、爆外伝Vの展開終了後、続報無くシリーズ展開が終わってしまった。

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   ↑ 爆外伝IVよりビーダアーマーのホワイトゲイル、
     爆外伝VよりVビーダアーマーのジークホワイター。
     等身は低いがヒロイックなデザインでカッコいい。

ビーダガンアーマーはアニメに出てくる謎のアーマーの正体?

さて、この爆外伝VIのビーダガンアーマー。実は全く表に出てきていないわけではなかったようだ。当時の爆外伝Vのアニメに遡る。

爆外伝Vのアニメは全50話で、47話から謎のアーマーが登場する。本作のラスボス的な立ち位置であるキングベーダーは46話で倒されており、物語の最後の山を超えているタイミングだ。第47話~第50話の4回分で、行方不明になったボーダーランド国王(ヒロインであるあかボン姫の父親)を探し、救出して物語は完結する。この謎のアーマーは爆外伝Vの主人公側最終形態の合体Vビーダアーマー「ビーダキャリバー」よりも後にアニメに登場し、現実の商品ラインナップには存在せず、劇中で名前も明かされなかった。最終話でアーマーの搭乗者がくろボンであることが判明した程度である。

今回判明した爆外伝VIの新商品のデザインと見比べると、恐らく今回のビーダガンアーマーだろうと推察される。カタログスケジュールにも「爆外伝Vにてビーダガンアーマー登場!」と記載されているので既定路線だったようだ。約20年越しに謎のビーダアーマーの正体が判明したのである。

ビーダガンアーマーで提供したかった「遊び」はなんだろうか?

爆外伝VIのビーダガンアーマーは2つ形態を持つようだ。一つはVビーダアーマーと同様に二足歩行ロボットタイプのアーマーモード、もう一つが今回目玉であっただろうガンモードだ。

ガンモードでもビーダマが発射出来るだけでなく、プラ玉で「より勢いのある発射遊びが楽しめる」と記載されている。プラ玉発射は爆外伝シリーズには今まで無かったものだ。

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 (↑ビービーダマンはサイズが小さすぎるしノーカンということで)

当時ビーダマンで遊んだ人なら知っていると思うが、ビーダマは重いので腕の高さで発射しても思ったより飛距離が短い。より軽いプラ玉で飛距離を長く出来るということだろう。爆外伝シリーズではスパビーと異なり、玩具としてのビーダマの「威力」「飛距離」という部分はこれまでは重視されなかった。

ガンモードでどう遊ぶのか。撃ち合うのか、射的のような使い方のどちらが前提なのか考えると、恐らく後者ではないかと思う。スパビーの競技だと撃ち合いにしても、ビーダマン自体は競技用フィールドに接地した状態で発射する。ところが、ビーダガンアーマーのガンモードはデザイン的に接地を前提にしていない(と思う)。プラ玉で飛距離を伸ばす想定ならなおさらだ。

ビーダガンアーマーは色違いの2種が出る予定だったらしい。アニメでくろボンが乗っていたということは、ラインナップの1種はくろボンだったのだろうか。となるともう1体は爆外伝シリーズで主役を張り続けたしろボンなのではないかと考えるのが自然だが、私はそうじゃなかった可能性を考えている。理由としては3つある。

1つ目:商品の色が銀&黒と書いてある。くろボンとしろボンの2種なら、セオリー通りならしろボンカラーを優先するのではないか。(VIから主人公はくろボンです、とかもありえなくはないが。)

2つ目:A-1、A-2のデザインが同一で、カラーリングだけが異なる。ビーダアーマーはカラーリングだけが違うモデルは、商品バリエーションとして存在してはいても、ストーリー中には登場しなかった。しろボンとくろボンであれば、少しぐらい(せめて頭部だけでも)変えるんじゃないだろうか。

3つ目:アニメで謎のアーマーの搭乗者の正体がわかるシーン。ここに掲載することは難しいので各自確認してほしいのだが、シーンではヘルメットを脱ぎ、くろボンであることが判明する。このヘルメット、ビーダガンアーマーが「爆外伝VI」で想定されていた主人公の頭部でも通るようなデザインをしている。(大分妄想が強くなってきた)

カタログ画像を見直すと、商品内容物の欄にはこのように書いている。「本体・ビーダマ・ビス・シール・取説」。おや、プラ玉は?ここまで書いておいてプラ玉が同梱されていないということは別売想定だったのだろうか。

爆外伝VIの物語があるとしたらどんなものになっていた?

もう完全な妄想なのだが、物語にするとしたら2パターンを想像している。

1つ目は、「ビーダマンタイプのキャラが、ガンモードとアーマーモードを使い分ける」。これだと物語は爆外伝シリーズのこれまでと同じく、ビーダマンキャラの世界観だけで完結する。ビーダガンアーマーはその場合、手のひらサイズのガンモードからアーマーモードに変形するときにサイズが変わる、といった設定になるのだろうか。

2つ目は「ボンバーマンタイプのキャラと、人間がバディを組む」。最近でそのフォーマットを使ったのは「ガールガンレディ」とか?人間世界に手のひらサイズのビーダマンキャラとビーダガンアーマーが登場するという感じになるだろう。アーマーモードではビーダマンキャラが自律的に戦闘し、ガンモードでは人間が使って戦う。そんな物語になりそうだ。

とはいえ、カタログ画像のスケジュール欄を見るにメディアミックスは元から予定されてなかったようにも読み取れる。

爆外伝VIは何故実現しなかったのだろう?

アニメ企画はあったのだろうか?
爆外伝Vの次に、実際に放送された番組は「ニャニがニャンだーニャンダーかめん」だ。カテゴリとしてはロボットアニメでもホビーアニメでもなく、玩具とのメディアミックス番組ではなかった。さらにその次は「激闘!クラッシュギアTURBO」。こちらはホビーアニメだが旧タカラではなくバンダイの玩具である。ちなみにニャンダーかめんもクラッシュギアもサンライズが制作している。この枠の制作会社やスポンサーが爆外伝Vを区切りに変わっていたらしい。


ちなみに、アニメ爆外伝は日曜日の朝に放送されていたが、最初のほんの数回分の放送だけは土曜日の夕方に放送されていた。枠を移動しているのだ。そして、枠移動前のアニメ爆外伝の前番組は「勇者王ガオガイガー」。勇者シリーズだった。サンライズである。だからどうした。


スパビーと競合?

ガンモードを見る限り、やはり競技性・対戦性を取り込んだ遊びが提供されるように思えるが、競技性・対戦性のあるビーダマンだと真っ先にスーパービーダマンと競合する。時期的には爆外伝Vの放送下期がPI-EXビーダマンシリーズ、爆外伝Vの放送終了半年後がRビーダマンシリーズの開始である。この辺りではギミックや競技性・対戦性はあらかた成熟していた。アニメもない状態での差別化は難しかったのではないだろうか。

終わりに:オチはない

爆外伝VI、ビーダガンアーマーはなかなかおもしろいコンセプトではあったが、今回判明した情報をこねくり回した限りでは独自性は見出すことは出来なかった。とはいえ、爆外伝が好きだった身としては企画がポシャってしまったことを残念に思う。

爆外伝だけでなく、スパビーの最終シリーズE-Unitでイメージデザインが出たものの発売に至らなかったパーツがあるように、ボツ企画というものはいくつも転がっているのだろう。

あの頃の人気ホビーだったベイブレードもミニ四駆も復活してるし、爆外伝だって復活してもいいのよ?

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