五輪の男子バレーボールのこと
2012年8月12日(ロンドンオリンピック開催中)
オリンピックの競技の結果についてちょっと思うことがあって、昔のNumberのバレーボールの記事を思い出したのでファイリングしてあるNumberから探し出した。
1999年486/487号の「全日本男子バレーボール 3勝8敗が意味するもの」。
当時、シドニー五輪への切符を懸けたW杯で惨敗をした記事だ。
「1万2000人収容の東京・代々木競技場をパンパンに埋め尽くした観客からブーイングが起きても不思議でない試合内容だった。だが、観客の反応は違った。
正面玄関の周りに張り巡らされたコンクリートの塀には若い女性たちが岩のりのようにべったりと張り付いてる。いわゆる選手の出待ちというやつである。その数200人以上。選手がうなだれながら無言でバスに乗り込む姿に向かって、黄色い声が炸裂する。「きゃあ、加藤くーん」「健太郎、かっこいい」「竹内さん結婚してえー」加えてこんな声も「感動をありがとー」そんな光景を玄関先で見ていた寺廻(当時の代表監督)が力の無い声で呟いた。「これだもんな。本来なら生卵が飛んできたり、水をぶっかけられるシーンでしょ。もちろん僕が真っ先にその矛先を向けられていいんだけど、こんな環境の中で、選手たちにいくら口酸っぱく言ったって、切迫感を植え付けるのは難しいんだよ」
昔この記事を読んで、スポーツの見方として、表面だけから感じとる選手の頑張りとか、安易な賞賛は止めようと思った。
スポーツ観戦を純粋に楽しいものにするには、やはりその競技への理解と技術的な部分への知識が不可欠だと感じたからだ。
それがわかれば、勝利した理由もわかるし、負ければどの部分が足りなかったかを理解でき、選手たちの心情と近い感情になれると思った。それが応援というものだと思う。少なくとも、選手たちが負けて悔しくて唇を噛み締めているときに「感動をありがとう」といった外れな声を掛けることはないだろう。
そしてその競技のトップレベルの何が凄いのか、ということも見えてくる。
オリンピックは普段見たこと無いスポーツを応援する機会が多い。しかし、その競技についてのルールや観戦ポイントを知る機会が少なく、また、安易に個人のドラマにスポットを当てるマスコミにも原因はあると思う。それは主人公が敗退すればその競技を見る気も失せるというものだ。しかし、競技の本来の面白さがわかれば、日本人が出場していない競技だって愉しめるはず。
バレーボールに関しては、これほどまでに日本で注目されている競技なのに、未だにバレーボールの技術的な部分、相手の駆け引き、フォーメーション、サインプレーなどが知られていない。この記事にも書いてあるが、「空中の格闘技と呼ばれるバレーボールの驚異的な技術を選手から語れることが無いのが残念。この競技のポテンシャルを選手自ら貶めていること気付いて欲しい」と手厳しい。
男子バレーは1992年バルセロナ大会の6位以降、1996年アトランタ、2000年シドニー、2004年アテネ、で五輪予選敗退。2008年北京は出場するも5戦全敗で一次リーグ敗退。今回のロンドンも五輪最終予選で敗退している。