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お人好しかよジュエル!/【感想】『リチャード・ジュエル』
主演がポール・ウォルター・ハウザーということで、一部の映画ファンからは喜びをもって迎えられた本作。
なぜなら『アイ、トーニャ』でパラノイアのダメニートを演じて僕たちの心をイーグルキャッチ。続く『ブラック・クランズマン』でまたしてもどうしようもないKKKメンバーとして登場。「口先だけのやつ」というキャラを強烈に印象付けたポール・ウォルター・ハウザー(PWH)が満を持しての主演!これは見に行かないと!と劇場に駆けつけました。
オリンピック開催中のアトランタの公園で皆がマカレナを踊り狂う中、警備員だったリチャード・ジュエルが不審物を見つける。その不審物は爆弾で、会場にいた人々を緊急避難させた。直後爆発が起きるが、被害は最小限に止まった。このことで一躍英雄となったリチャード・ジュエルだったが、過去の素行から自作自演と疑われFBIの捜査対象となってしまう。加熱する報道と犯人に仕立て上げたいFBIの間に入る弁護士のブライアント(サム・ロックウェル)とジュエルの長く苦しい戦いが始まる。という話。
警察官(司法機関)に憧れるリチャード・ジュエルという、信頼ならざるキャラクターをポール・ウォルター・ハウザーが演じるものだから、見ているこちらは途中まで何を信じてよいのやら状態で不安しかない。弁護士のサム・ロックウェルでさえ、確信が持てない。そこに輪をかけてジュエルは司法機関に過分なリスペクトをしているものだから全面協力しようとFBIの策略に自ら進んでかかってしまう。お人好しかよジュエル!
そんなジュエルのお人好し(すこし天然)をわかっていて優しい声で罠に誘い込もうとするFBIの陰険さに本当に腹が立ちます。
しかし報道被害と司法機関の強引な捜査など、シリアスな話になりそうなところでコメディ的な笑い(主にジュエルの天然)が散りばめられて見ていて飽きないのはうまいなぁと。PWH様様です。
イーストウッドは過去作を通じて「完全に正しい」人間を描かない。本作でも主人公ジュエルは完璧に正しい人間ではなく、叩けばホコリがでるような人間だ。しかしホコリが出ない人間なんてこの世に存在するだろうか。現在は真っ当に暮らしていても過去に遡れば一つや二つ脛に傷があるのが普通ではないだろうか。報道も司法機関も一個人を怪しいと思えば追求し「犯人である可能性」に近づける方法はいくらでもあることを本作では教えてくれます。我が身を守るのは仲の良い弁護士を持つことだなと思った(笑)
鑑賞日:2020年1月22日
「アメリカン・スナイパー」の巨匠クリント・イーストウッドが、1996年のアトランタ爆破テロ事件の真実を描いたサスペンスドラマ。96年、五輪開催中のアトランタで、警備員のリチャード・ジュエルが、公園で不審なバッグを発見する。その中身は、無数の釘が仕込まれたパイプ爆弾だった。多くの人々の命を救い一時は英雄視されるジュエルだったが、その裏でFBIはジュエルを第一容疑者として捜査を開始。それを現地の新聞社とテレビ局が実名報道したことで、ジュエルを取り巻く状況は一転。FBIは徹底的な捜査を行い、メディアによる連日の加熱報道で、ジュエルの人格は全国民の前で貶められていく。そんな状況に異を唱えるべく、ジュエルと旧知の弁護士ブライアントが立ち上がる。ジュエルの母ボビも息子の無実を訴え続けるが……。主人公リチャード・ジュエルを「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」のポール・ウォルター・ハウザー、母ボビを「ミザリー」のキャシー・ベイツ、弁護士ブライアントを「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェルがそれぞれ演じる。
公開日:2020年1月17日
2019年製作/131分/G/アメリカ
原題:Richard Jewell
配給:ワーナー・ブラザース映画
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