歴史的朝米首脳会談に際して
2018年6月12日、シンガポール共和国にて歴史的な朝米首脳会談が開催され、両首脳が共同声明にサインした。全世界が注目するなか行われたこの会談において、両国は新たな関係を築いていくことを全世界の前で約束したのだ。
日本では、共同声明の中身が曖昧だとか、会談に実益がないとか、ほとんどヤジとしか思えない浅はかで幼稚なコメントしか聞かれないが、実質においてこの会談は、世界史に刻まれると言っても過言ではない、まさに歴史的会談であった。
なによりも注目すべき点は、朝鮮民主主義人民共和国とアメリカ合衆国が敵対国家であるという事実だ。70年もの長い間、対峙し続けてきた。要するに、停戦状態であった。いつ戦争が起こってもおかしくない状態で、一切の交流もしてこなかったのがまさに朝米関係なのだ。実際、毎年、大規模な米韓軍事合同練習が行われ、その都度、戦時状態に陥っていたのが朝鮮半島の実態なのだ。そのような意味でこの会談は、敵対国家の首脳同士が、新しい未来のため、友好関係を築いていくスタートラインに立った歴史的な瞬間であるのだ。
次に、注目すべき点は、アメリカ合衆国が朝鮮民主主義人民共和国を大国として尊重したという点だ。実際、両国の国力の差はあまりにも明白だ。アメリカは世界唯一超大国。経済的にも政治的にも世界の覇権を握っている。アメリカに荒がることができる国は正直、地球上にて探すことは難しい。経済大国日本も政治的にはアメリカの言いなり。決して本音はいえない。日本だけではない。世界がそうなのだ。そのような中、お世辞でも経済力が大きいとは言えない朝鮮が、アメリカと対等に、いや、より正確に言えば、朝鮮に有利に、会談を行った。言い換えれば、アメリカは朝鮮を核保有国と認め、れっきとした政治大国として尊重したのである。これは妄想ではない。その証人たちはまさに全世界の人々である。
確かに、朝鮮の若きリーダーは、2013年3月から2018年4月までの5年間に、世紀的課題に取り組み、見事に、前人未到の結果にコミットした。経済建設と核武力建設の並進路線を戦略的路線とし、一度は緩めたベルトを再びきつく締めるよう、人民たちを鼓舞した。未来を信じる信念なしには下せない決断であった。朝鮮は幾多の試練を自強力で乗り越え、その結果、並進路線の偉大な勝利を全世界に布告するに至ったのである。朝鮮半島は平和体制構築の着実なプロセスに突入したのだ。今回行われた会談はまだ除幕に過ぎないが、朝鮮半島を含め、世界の平和と安全という人類史的課題を解決しうる大きな一歩である。
しかしながら、余談は許されない。アメリカの本性は軍産複合体。いつまた軍事的緊張を人為的に作り出し、富を獲得しようと悪事を働くかわからない。そのような意味でも全世界の監視が必要だ。朝米首脳会談を見守る世界の人々の思いは、崇高な理念となり、必ずや、歴史的一歩を着実な歩へと転化させることであろう。そのような時代的成熟こそ、シンガポール朝米首脳会談の歴史的意義であると言えよう。