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平野歩夢よりも転んでから、スノボは苦手と言え。
スノボにきている。二年のブランクがあったにも関わらず、それなりに滑れている自分を褒めてやりたい。そしてそれどころか、二年前まではできなかったことができるようになっていた。だからもっともっと褒めてやりたい。
ぼくができるようになったのは、つま先でブレーキをかける方の滑り方だ。(伝わるか?)二年前はそれがずっとできなくて、基本的に踵でブレーキをかけることしかできなかったから、左右どちらに進むにせよ、ぼくの前面は進行方向を向いていた。そしてそれがすこし不恰好だったのだ。
だから今日まで。てっきりぼくにはスノボの才能がからっきしだと思っていたが、どうやら一般人レベルにはあるのかもしれない。
スノボの才能がある人。そう言われてまず連想するのは平野歩夢だ。彼はまだまだ若いのにも関わらず、オリンピアンでメダリスト。スノボの才能があるに決まっている人だ。けれど、そんな彼とぼく。どちらがこれまでの人生でよりたくさんスノボで転んだかと聞かれると、それは平野歩夢かもしれない。
もちろん、そもそもの練習量は違う。だけれど、自分よりも才能があると思っている人が、自分よりも多く転んでいるという事実は、ぼくが才能の有無を嘆くことのアホらしさを教えてくれる。メダリストよりもたくさん転んでいないのに、自分はスノボの才能がないと思うこと。それはとても傲慢な態度だと思った。何事においても、才能の有無を嘆くなら、せめてその道のトップよりもたくさんの失敗を経験しなければダメだ。