サイド攻撃における6つの役割
1. 本記事の目的
まずは本記事の目的から。以下の2つのことを目的とする。
①サイド攻撃における各選手の役割を明確にすることによって、複雑な崩しの局面における選手のプレー選択の迷いを無くすこと
②指導者の方が自チームにおけるサイド攻撃のトレーニング時に落とし込みたいことを明確にすること
まず1つ目は選手目線の目的から。ゴール前の崩しの局面はサッカーのゲームの中においても特に複雑性が高く、それ故プレー選択の一瞬の迷いがゴールの確率を大きく下げてしまう。
「自分がいま、どのような役割を果たすべきなのか?」
「どのようなポジションを取って、どのような狙いを持てばいいのか?」
それが整理されるだけで、ピッチ上のプレーに好影響を与えると私は考える。本記事は指導者の方はもちろんのこと、現役でプレーされている選手の皆様にもメリットのある記事となっている。
次に2つ目は指導者目線の目的。トレーニングにおける落とし込みをスムーズにするためだ。崩しの局面において重要とされるプレーの原則に「創造性」というものがあるが、「創造性」とは0から1を生み出すものではないと私は断言する。
「創造性」とはあくまで、チーム内で共通認識の持たれているプレーイメージを、試合中のある状況において瞬時に判断し、適切に選択することで相手を攻略することである。つまり、崩しの局面における役割の整理はその一助を担うと言える。
よりゴール前でのプレーの成功率を上げたい選手の方。
そして、ゴール前のトレーニングにおいて何を落とし込むべきか迷っている指導者の方。
本記事がそのような方々へ何か1つでも気付きを与えられたら幸いである。
2. サイド攻撃の目的とは?
まずは解説に先立ち、サイド攻撃について軽く整理しておこう。
サイド攻撃の定義を私は以下のように考える。
ポケット侵入 or クロスから得点を奪うこと
平たく言えばサイドを起点にした攻撃がサイド攻撃であるが、定義の中に「どのように得点を奪うのか」の狙いを含ませたいという意図で、あえて手段を限定するような定義をした。
後に詳しく述べるが、「ポケット侵入」と「クロス」は相互に影響し合っている。サイドを起点とした攻撃において優先順位が高いのはクロスからの得点であるが、それを防ぐために相手のDFがプレスに出てくれば、さらにゴールに近い位置に新たなスペースが生まれる。そのスペースの攻略を目指すために、チームとして各ポジションの選手に適切な役割を与える必要がある。
3. サイド攻撃における6つの役割
前置きはこれくらいにして、ここからいよいよサイド攻撃における6つの役割を解説していく。全体像は以下の通りだ。
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