大学バレーという経験 その3
私はサッカーJ2ブラウブリッツ秋田の中の育成のためのバレーボールクラブの代表兼指導者をしています。
自分のバレーボールで得た経験や、子育て、クラブでの指導をもとに気づいたことなどを綴っています。
先輩後輩という上下関係が厳しかった昭和の時代。
私の頃はまだまだ厳しさが残っていて、特にうちの大学は厳しかったように感じてました。
(注)現在ではもう理不尽な上下関係がなくなっているのは当然のことで、先日も大学の練習を見に行ったら、私たちの時代とは違い、下級生たちの明るい表情や雰囲気を実感しました。
嬉しかったです。
本当に良い時代になりました!
さて、私の昭和の思い出話に戻ります。
あれは確か大学1年生の冬頃だったか、頼りにしていた4年生はもう引退していました。
いつものように練習中の手際が悪いということで、練習後に二つ上の先輩たちに集合させられ説教されていました。
すると突然、ある先輩が私個人に向けての攻撃が始まったのです。
プレーには全く関係のない、ほんのささいな出来事に対してでしたが、かなり感情的になっていたのがわかりました
私自身はそんなにも怒られることをした覚えがなかったので、「この先輩はなんでこんなに私を怒るんだろう⁇」って、途中から理解できないという感情が湧いてきました。
その人はただただ私への個人的な不満をぶちまけているかのような感じでした。
その頃は既に以前にはなかった負けん気の強さは少しは育ってきていたのですが…。
その時はどうにも「見返してやる!」という感情にはなれず、「はぁ、なんだこれ…バレーと全然関係ないことばかりだ」「あーもう嫌だ…限界だ」
私の中で何かが「プツン」と切れた瞬間でした。
そんな感情のまま寮に帰り、気がついたら公衆電話から母に電話していました。
泣きながら「もう辞めて秋田に帰りたい」そう伝えました。
母にしてみればどれだけ驚いたかわかりません。
中学や高校でもどんなに怒られても殴られても「辞めたい」と言ったことがない私がそんな言葉を初めて言ったのです。
その時母から出た言葉は…
「お前が辞めたいなんてよっぽどなんだろう。今まで頑張ってきたし、もういいからすぐに辞めて帰っておいで!」
実はその言葉を聞いて逆にびっくりしました。
昔から何かにつけて「お前が悪いからだ!」「弱いからだ!」って、キツイ言葉を言われて育ったんですもの。
そんな母からの「辞めてもいい」という言葉を聞いた時、なぜか急にスーッと冷静になりました。
そして一番最初に考えたのは「辞めるって言ったら私一体どうなっちゃうんだろう」でした。
そして少し沈黙した後に出た言葉が「やっぱりもう少し頑張ってみるよ」でした。
ただ、どうやらそのあとうちの両親が心配して高校の先生に相談したらしく。
どんなことがあっても「辞めたい」と言ったことがないあの子が辞めたいなんてと、先生も心配したそう。
そこからさらに高校の先生から大学の先生に連絡があったようで…。
そこで驚き、大激怒したのは大学の先生でした。
日頃から、「君らは大学生なのだから、殴られたり怒られたりしながら、やらされるのは違うよ!」
「自ら進んで考えて行動しようよ!」
と先生は口を酸っぱくして伝えていらっしゃいました。
(この言葉は指導者になった今でも、私が常に意識している言葉です。青山学院駅伝部の原監督さんも同じことをおっしゃってますね!)
それなのに練習の現場ではそんな悪しき習慣が根強く残っていたんですから、先生が怒るのも当然です。
すぐに先輩たち全員が集合させられ、「後輩たちを理不尽に怒ったり、締め上げるような真似はニ度とするな!」
「そんなことで先輩らしさを発揮するなんて恥ずかしいと思わないのか!」
「今後そんなことが僕の耳に入ったら問答無用で辞めてもらうから!」
この言葉はかなり影響力がありました。
その日を境に先輩たちからの理不尽な攻撃は穏やかになったのでした。
あ、ただしプレーに対してはこれ以降もちゃんと厳しかったです…ありがたいことに。
大学トップを目指すチームとしては当たり前のことです!
そして私は自分の経験から、自分が上級生になったら後輩たちには自分がされて嫌だったことは絶対にしないと心から誓いました。
さて、実際はどうなっていったでしょう⁈
〈続く〉
※先にも書きましたが、このお話は私が学生だった35年以上も前のことです。
今の学生は全く違う雰囲気でやっています。
だからこそリーグ戦でも上位に入る大学になってるんですね。
是非皆さんにも東京女子体育大学を応援していただきたいです。
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