(連載小説)「患者の裏切り~岡部警部補シリーズ~」第1話(全3話)
とある日の事だった。昼間・間島総合病院の副院長兼外科部長である男性・桃田雄二は研究室にいた。
彼は優秀な外科医であり、過去に大物芸能人や政治家の手術担当するほどの名医である。しかし、裏ではお金目当てとしてわざと政治家などの手術を担当している、とても腹黒い男だ。
今は、他国で流行っているウィルスに対応すべき、新しいワクチン研究をしており、これを医学会で発表する予定だ。そのため研究をまさにしている途中だった。
「この成分を、ここに合わせてと」
すると看護師である女性・宮田真紀が防護服を着て入ってきた。
「先生」
呼ばれたため研究を中止して、振り向いた。
「なんだ?」
少し不機嫌そうに言う。それもそのはず、もうすぐで研究が新境地に入るところだったため、少し邪魔されたと思い言った一言だった。
すると宮田が
「あっ長田さんがお呼びです」
長田茂三は、政治家で内閣官房副長官務めている中年の大物だ。心臓の疾患を持っており心臓バイパスの手術のため、この病院に入院していた、担当医は当然桃田だ。
何の用だ。その心が胸を駆け巡る。金なら最初の診断の時に貰ったはずだ。確かに官房副長官もあってか、相当な金を自分に渡してきたため、少し嬉しい気分になっていた。まさか金返せか?前にも野党の副代表の手術を担当した時も、金を返せと言われて、腹が立ち無理やり転院を進めた過去がある。そんなことがあれば、また転院を考えさせる口実を考えなけばと思っていた。
しばらくして、長田の病室に向かい、ノックして中に入る。
「失礼します。桃田です」
すると長田はベッドで横になりながら、隣にいる第一秘書と話をしていた。
「長田先生」
長田は桃田の存在に気付き、驚きながら
「おっ桃田先生、いらっしゃったんですか」
桃田は少し不機嫌になりながら
「調子はどうですか?」
「今は、少し大丈夫ですよ」
桃田は笑顔で言った長田に近づき
「で、私をお呼びだそうで」
長田が少し苦い顔をして、隣にいた第一秘書に部屋から出るように言った。秘書が部屋から出ると
「桃田先生。お金の件ですが」
桃田が傍にあった椅子に座り
「副長官。お金なら受け取ったはずですが」
「その件じゃない。ここの病院改修費の件だ」
それは去年に長田と知り合った際、ここの病院を拡大工事をするための、改修費を長田から極秘で支援を受けるという話だ。いわゆる賄賂だ。これがバレれば、長田どころか提案した桃田まで、逮捕の危険性があることだ。
「あぁそのことですか」
「あの件だが、悪いが無かったことにしてもらいたい」
「は?」
今さら何を言い出すんだこのおっさんは、実は既に支援を受けるということで、工事会社や役所などに予約や届け出をしたため、今さら引き返すことは出来ないのだ。
少し桃田はキレ気味になり
「突然何を言い出すんですか」
「私もリスクをこれ以上背負いたくないんだ。もしかしたら逮捕されるだぞ。そんな恐怖をこれ以上味わいたくない」
意外と小心者だなこの副長官はと思いながら、少し怒りが爆発するのを堪えながら
「もう引き返しは出来ないんですよ。あなただってそのリスク込みで引き受けてくれたじゃないですか」
「でも、悪いが手を引く」
一向に気持ちは固いようだ。そしたら後は方法は一つ、殺すしかないと思っていた。
研究室を戻るとすぐに、様々な薬が入っている棚の中から、一つの薬を手に取った。それはストリキニーネ、猛毒薬だった。
夜中・丁度当直だった桃田は一人外科部長室で仕事をしていた。するとノック音が聞こえて返事をすると、看護師の宮田が入ってきた。
「先生」
「どうした?こんな遅くに」
すると宮田が笑顔で
「私も、当直なんです。ちょっと顔出したくて」
実はこの二人は愛人関係になっており、既に不貞関係になっていたが、この病院では一切その関係を当然隠しており、下手な行動は慎んでいたのだ。
桃田は普通の笑顔で
「そうなんだ。あっそうだ」
「はい?」
桃田は席から立ち上がり、宮田に近づき
「研究室に大事な資料を忘れたんだ。「新型ワクチンの効果と危険性」という資料だから持ってきてくれないか。私じゃ手が離せなくてね」
「分かりました」
そのまま宮田は部屋を後にして行った。研究室までは往復で6分。
そのまま桃田は急いで、ストリキニーネと注射器を持って、長田の病室に向かい、入るとそのまま点滴にストリキニーネを注入した。そして急いで自分の部屋に戻る。時間は5分。間に合ったと、少し息を整えて、椅子に座っていると、宮田が戻ってきた。
「これですか?」
確かにこれだった。桃田は笑顔で
「本当にありがとう」
と例を言うと、宮田は部屋から出ていった。桃田は全ての行動が終わったため、少しホッとして笑顔になっていた。
これで桃田雄二の完全犯罪は完璧なはずだった。
~第1話終わり~
どうも~柿崎零華です!!
始めてnoteで推理小説書いてみました!!
結構得意かも(笑)
少し期間を空けながらも、更新していく予定なのでよろしくお願いいたします。
また次回お楽しみに!!
柿崎零華でした!!