いわゆる 歴史の教科書に
“ほんとうのこと”は
どれほどあるのだろう。
支配のための力を
掌握したい者たちは、
都合のいいように
記録を書き換え
時には 抹消さえしてきた。
事実や背景を知ること、
知ろうとすることまでもが
命懸けの時代があった。
口伝―。
“そのまま”を、
信頼できる人に託していく。
先人たちの
伝え残したい気持ち、
何としてでも
“ほんとうに大切なこと”を
未来へ繋げたいという
強い気持ちが伝わってきて、
胸が熱くなる。
時を経て…
今の時代だからこそ
聞くことのできる、
一族の末裔の渡会美枝子さんが
3歳から口伝されてこられた
海人族のお話を、
言葉を超えた表現として、
一音一音を大切に奏でられている
光晴さんの“音(響き)”と
祈りそのものである
妙香さんの“舞”、
そして 美枝子さんの
語りと唄とで構成された
『海人族の星の記憶』。
美枝子さんは、
聴きに来られた方が持ち帰って
それぞれ感じたことを
分かち合っていただけたら…
という想いで、
大切に手渡しできる範囲で
口伝えされていらっしゃいます。
芸能の起こりも
ここにあるのかもしれない。
目にはみえないもの。
多くの方々が生き方を
確認されているという物語。
守り続けてこられた方々への感謝と、
必要な場所・人へと
これからも届いてゆくことを願って―。