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【文楽】良弁杉由来(ろうべんすぎのゆらい)

2023年1月9日(月・祝)、大阪の国立文楽劇場で、初春文楽公演を観ました。前日から大阪に来ており、最後に第一部の良弁杉由来を鑑賞しました。(以下、ネタバレあり)

■簡単なあらすじ
・幼子を鷲に連れ去られた母親が、子どもを探し続け、再び巡り会う物語です。
・良弁僧正の出自について、説話集『宝物集』等に、幼い時に鷲にさらわれたことが記されているようです。昨日、児童向けの『今昔物語集』を読み終えたのですが、そこにも鷲が幼子を連れ去る話があり、今回の良弁杉と重なる所がありました。
・今回は、良弁僧正の1250年御遠忌にあたっての上演。

■母・渚の方について
・再会を喜びつつも、東大寺で最も偉い僧となった良弁を前に、(気がふれて)乞食非人となった我が身の姿を詫びて、良弁の輿に乗ることを遠慮したり、故郷の志賀の里へ帰ろうと「さらばさらば」という姿に、胸を打たれました。
・30年もの間、気がふれるような形で我が子を探す姿に、親が子を思う気持ちを考えさせられました。

■「二月堂の段」について
・「切」をつとめられた竹本千歳太夫の語りが凄かったです。最高位を「切語り」というのですね。三味線は豊澤富助さんでした。三味線の音が止む場面が何度かあり、特に、母である渚の方と息子の良弁僧正が再開し、抱擁を交わす場面は、場の空気が最高に高まり、拍手が鳴りました。
これまで、人形遣いに目が行くことが多かったのですが、今回は太夫や三味線に目が行きました。
・東大寺、二月堂、良弁杉、そして石山寺や茶の産地の志賀の里なども、訪ねてみたいと思いました。

■メモ
・焼野の雉子(きぎす)夜の鶴。
→(住んでいる野を焼かれたキジが自分の命にかえてもその子を救おうとし、また、寒い夜に鶴が自分の羽でその子を暖めるところから)親が子を思う情け深いことのたとえ。

以上です。

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