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【美術館】江戸絵画の華

 2023年3月26日(日)、東京・日比谷の出光美術館に『江戸絵画の華』を観に行きました。展示は26日まででした。
 展示替え後の第二部でしたが、1月下旬に第一部に行っていたこともあり、通しで鑑賞することが出来ました。

■出光美術館とプライス・コレクションについて

 2019年、アメリカの美術コレクター、プライス夫妻のコレクション約190件を出光美術館が継承することになりました。図録の出光佐千子館長の文章によると、父上の出光佐三さんの美意識とそぐわないのではないかと心配されたことや、他方で佐三さんが共鳴し合うと感じられる部分があったこと、そして、プライス・コレクションが加わったことで、出光コレクションの厚みが増したことなどが、書かれていました。

プライス・コレクションにはどこか遊び心があって、それが不思議と、仙厓蒐集から始まった出光コレクションと響き合うのです。

図録、出光佐千子『幸福を感じる絵画ープライス・コレクションの魅力』

 私は、美術についてはそこまで詳しくありませんが、この文章を読んで、収集する人の「美意識」の違いを意識することが出来ました。特に、公営ではなく、私企業の美術館では、集める人の「美意識」の違いが現れるのかもしれません。

 以下では、各コーナーで印象に残った点を、少しだけメモします。

■第一部 若冲と江戸絵画(2023年1月7日(土)~2月12日(日))

(1)生きものの楽園 ー ようこそ、プライス・コレクションの世界へ

 生きものを描いた作品がプライス・コレクションには多かったようです。どの絵も凄かったです。一つだけメモします。
・伊藤若冲「鳥獣花木図屏風」
 白象やオランウータンなど、様々な動物達が描かれている有名な作品ですが、実際に観て驚きました。およそ1cm四方の法眼で区切られていました。その数は一隻分で約42800個。「升目描き」と呼ばれる手法だそうです。

(2)伊藤若冲の墨戯 ー 絵筆による冒険

 若冲の、彩色画ではなく紙本墨画を中心に展示されていました。筆遣い、墨の濃淡など、印象的でした。

(3)浮世と物語 ー 躍動をかたちに

 このコーナーは、結構、時間をかけて回りました。『伊勢物語』『住吉物語』『義経記』『源氏物語』などを題材にした屏風や短冊、絵巻などが展示されていました。
 特に『伊勢物語』については、簡単なものでよいから早めに読んでみて、絵画と各段を見比べてみたいです。

■第二部 京都画壇と江戸琳派(2023年2月21日(火)~3月26日(日))

(1)清遠な自然へ ー 円山応挙とその周辺

 「自然」を扱った絵画は、その題材や空白の取り方など、「物語」や「人物」を扱った絵画とはまた違った、静謐な魅力があるように思いました。

(2)京中、皆一手 ー 円山派の画家たち

応挙が世に出て、写生といふことのはやり出て、京中の絵が皆一手になったことじゃ

上田秋成『肝大小録』より

・円山応挙「虎図」など、様々な虎の絵が展示されていました。
・森狙仙「月下孤鹿図」
 解説によると、秋の野に妻を請う雄鹿の様子を詠んだ歌は、『万葉集』ななど、枚挙に暇がないそうです。
・森徹山「仏涅槃図」

(3)粋の系譜 ー 酒井抱一と鈴木其一、さらにその先へ

江戸時代はじめの京都に生まれ、華やかに展開した<琳派>の美術。19世紀の江戸の地において、洗練された洒脱な美意識によって琳派をよみがえらせたのが、酒井抱一(1761~1828)やその弟子の鈴木其一(1796~1858)でした。

図録より

 最後のコーナーで「粋」という言葉が出て来ましたが、九鬼周造の『「いき」の構造』が頭に浮かびました。まだ読んだことでなく恐縮です。冒頭にも書きました(ここでは日本人の)「美意識」については、もう少し自分の言葉で話すことが出来たり、自分の美意識を持てるようになりたいです。

■最後に

 江戸時代の絵画についての展示会でしたが、私のような初心者であればあるほど、こうした全体感や全体の流れが分かる展示はありがたいです。
 感想等についてあまり詳細な記載は出来なかったのですが、今回は図録を購入してきたので、後から振り返りながら、追記するかもしれません。
 江戸の絵画、日本の美術についても少しずつ、理解を深めていきたいと思います。

以上です。

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