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『聴くことから始まるダンス』遊行編vol.8 即興ダンスフィールドワークLOG :

プロモーション映像2を公開しました。
https://youtu.be/uiTjlyHvISM

Thanks/アキラさん クミコさん ユウカさん 藤田邸跡公園の職員さん アスカさん レラさん Hadi フクちゃん

フィールドワーク同行者も募集しています。
年齢性別ダンス経験不問。
問い合わせなど kakioproject@gmail.com



34.「「パッヘルベルのカノン」

バロック時代のドイツの作曲家ヨハン・パッヘルベルの室内楽曲 
1680~90年頃?

ルートPaM
えげつないタンジェント(角度)。強烈な勾配である。
坂を見上げていた。そのうえには神社がある、そしてさらにその先が、
今日向かいたい、諏訪山(すわやま)山頂のビーナスブリッジ。
9/5日、神戸へ。
JR元町駅を降り、西口を出て北に歩く、先日訪れた相楽園を左手にして、そのまま山手の方へ登ると、諏訪山の麓にある諏訪山公園下に出る。
そこにある交番横の石の鳥居から、坂を見上げていた。
これは諏訪神社(すわじんじゃ)へむかう参道である。
この参道を通り神社を経由するルートで、ビーナスブリッジへ向かう。

このような強烈な坂を登るのは何時ぶりだろう?
そして、暑い、と一人でつぶやいた。夏に暑いって今までの人生で何度発声したろう、一夏100日として、一日平均最低2回ほど、きちんと喋れるようになって50年くらいだろうか、100×2×50=1万回。
なんだ、そんなものか。しかし、あつい、さむいなど、人が生きていて何度も言う言葉は、感覚に沿ってできていて、洗練されているのか言いやすい、だからますますどんどん言ってしまう。
とにかく、生きているうちは、ありがたく言おうと思う。

石造りの一の鳥居から住宅街の中の坂道を登り、両側に巨大なお稲荷さんが座す朱色の二の鳥居へ、そしてさらに坂を上り、三の鳥居へ、そこから坂道は石段に変わった。
一旦、ここで、へたり込み水を飲み、坂をふらふらと聴いて踊った。
そして喘ぎながら、一歩一歩石段を登り、四の鳥居へ、その辺でやっと諏訪神社の社殿が見えた。
一礼して鳥居をくぐり、手水舎(てみずしゃ、ちょうずしゃ)で水を求めたが、水は、ぽつん、、、ぽつん、、とそんな悠久な趣、勢いだったので、
手をほんのちょっと湿らす事しか叶わず、
ほとんどパントマイムのように、手を洗い、口を濯いだ。

ダンスメモ:
坂、好きですか?
坂を登ると、すぐに心臓もバクバクするし、また踊ったりなんかすると、すごい力でぐんぐんに身体を持っていかれる。
坂はすごい、ただ、坂なだけなのに。
でも、ということは、地面が水平でも、このぐんぐんな力は働いていて、それが垂直に落ち、また体の構造がそのような状況に適し形成されているだけで、力自体はいつもぐんぐんに働いているわけです。
このぐんぐんな力をどう利用するか関係するか、これは私が踊る際、いつもトップクラスに重要な案件です。
そういう意味では、即興ダンスといっても地球の振り付けを踊っているともいえるし、また、踊ることは、巨大な自然を思い知る為の一つの方法と思ったりする時もあります。

35.「カットアウト」1948-1958

アメリカの抽象画家ジャクソン・ポロックの絵画 

ルートPaM/
諏訪神社は、神戸の華僑の方々も厚く信仰する稲荷神社である。
立派な拝殿と他にも沢山の社があり、
また、モダン、いかつい、でかい、珍しい、そんないろんな種類のお稲荷様が居らっしゃる。
しかしとにかくこの神社のお稲荷さん達は、皆シュッとして格好がいい。

神社内だけでなく周辺にも、小さな社や石や碑などの神々が、密集するように無数に並んでいる。
神社の裏手には大師道(だいしどう)と呼ばれる山道があり、それがさらに山上にある太龍寺(だいりゅうじ)や再度公園(ふたたびこうえん)へ繋がる。
この神社は、どこか大陸風というか、神社を寺で例えるのは変だが、京都の寺でなく奈良の寺のような濃厚な空気感で、雑多だけど爽やかで気が良い。ざっくりとポップにいうとパワースポット。
そんなちょっと普通ではない様子や存在感も感じられて、神妙な気持ちになった。
社務所にいたおばあちゃんに、踊っていいかと尋ねると、
どこでも好きに踊んなせえ、と。
拝殿にかかっていた、日めくりカレンダーの今日の言葉は、
「例え小さな約束でも、そこには、大きな信頼が掛かっている」であった。
門の手前、手水舎と百度石のあたりで踊った。
カラスが、ざわついていた。

36.「水とうの中で、チーズにばけたヤギのちち」

出典:学研まんがひみつシリーズ15『発明・発見のひみつ』旧版(絶版)
監修/大森実 矢部一郎 学習研究社

ルートPaM/
諏訪神社から、舗装されているが幅が狭い道を少し歩くと、ちょっとした登山道になって、そのままこの道を何度かくねりながらまた登ると、いよいよこの辺で体温がピークになって、汗や涙や涎や小水、そんな、なんやかやの液体が、出てるんだかどうなのかもうどうでもいい、ほどの身体状態精神状態になった。
やばい、熱中症も怖い、ので水をちびちび飲み飲み、休み休み、移動した。
もう、帰りたい、もう、帰りたい。と歩いていると、くねる空色ブルーの歩道橋が、真上、頭上に急に現れた。
これを渡るとビーナスブリッジか、え、ブリッジって橋、あ、橋って歩道橋?これか?この歩道橋がビーナスブリッジ?
これが果たしてビーナスブリッジだった。
とにかく着いたねえと、ほっとして、景色など眺めながら、
くねる橋をうねり渡り進むとビーナステラスという展望台に着いた。
想像してたよりこじんまりした空間だったが、到着したことが嬉しかった。
この日は営業してなかったようだが、レストランも併設している。
見下ろすような自動販売機でCCレモンという飲み物を買って飲んだ。
登山中であろう男性がこのテラスに立ちよったが、彼はすぐに去った。
平日の昼間である、私の他に、人はいない。
そういえばここにあるという「愛の鍵」というモニュメント、恋人達が愛を誓い南京錠を取りつけるというオブジェクト作品が、ない。
おかしいな、子供の遊具しかない、と思ってたら、それだった。
それが愛の鍵のモニュメントだった。
サイズが想像と違った。いつも恐ろしいのは、思い込みである。
ちなみにこのモニュメントに付けられた恋人達の愛のしるしの南京錠は、定期的に取り外し、溶かして、ハート型のクローバーの葉の形に再鋳造され、この広場の地面に、4枚組で埋め込み、四葉のクローバーにする。

明治7年、この諏訪山でフランスの観測隊が金星を観測したことから、
「金星台」と呼ばれる丘ができて、これにちなみここが、ビーナスブリッジやビーナステラスと名付けられ、ビーナスは愛と美の女神だから愛の鍵のモニュメントが発想され設置された、そんなこの場所の事が、クミコさんを経由して、私へ。そしてここに今、私はいる。
歴史はこういうふうに動く。事の次第。
諏訪山は標高160メートル、この展望台から神戸市街地が一望できる。
夜景が特に人気という。

ダンスメモ:
進むことで何かが溢れこぼれ落ちて、
溢れこぼれ落ちることで、進むことができる。
いつの頃のものかも定かではないような、なんでもないような記憶が、
突然、脈絡なく、一瞬だけフラッシュバックするように浮かぶ、そんなことがありますが、
あれは、その記憶の消滅前の最後の輝きなのではないだろうか。
未来への、ひと推し、推進力として、最後にひときわ輝く。
私は、このような溢れこぼれ落ちるものとしてのダンスを踊りたい。

37.「平々凡々と素っ頓、狂おしのビュー」

映像:https://youtu.be/d1ehDhdF7js
ルートPaM/
テラスで踊った。
帰りはバスを目当てにしていたが、
バス停はあったが平日の運行はなかった。仕方がないから歩いて、大師道をくだり、また諏訪神社を経由し、帰宅。

vol.9へ続く→


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