小池百合子と日本マスコミの「共犯性」
(以下、敬称略)
記事にならない部分
天気がよくなったので、冬のあいだに溜まった贅肉を落とそうと、急に運動をはじめたら、腰を痛めてもうた・・
自分が年寄りであることを忘れると、こういうことになる。
きのうも天気がよかったが、なんだかしょんぼりして、一日中YouTubeを見ていた。
そしたら、「小池都知事の経歴詐称疑惑を告発した小島敏郎氏の会見」というのをやっていた。
外国特派員協会でのその会見を、ぼーっと全部見てしまった。
「法廷ですべてを明らかにする」小池都知事の経歴詐称疑惑を告発した小島敏郎氏が会見(videonewscom 4月17日)
この会見は、さっそく朝日や産経の記事になっていた。
だけど、会見の肝心な部分が、記事になっていないのではないかと思う。
小池はなぜ「外国人記者クラブ」を恐れたか
それは、4年前の都知事選前、小池百合子は、郷原信郎と黒木亮がおこなった、外国特派員協会での記者会見を、なぜ恐れたか、という点だ。
当時、郷原と黒木は、小池の学歴疑惑を追及していた。
今回の「小島告発」のポイントのひとつは、その郷原らの会見までに、小池百合子が「卒業証明書」を急いで準備したようすが、メールのやり取りなどに残っていて、それを小島氏が明らかにしたことだ。
郷原らの会見は2020年6月9日におこなわれた。
その前日の夜9時20分に、小池は、
「明日の4時から郷原と黒木亮が外国記者クラブで記者会見とのこと。その前に全部済ませます」
とメールしていたという。
そして、実際に、小池の卒業を証明するというカイロ大学の声明は、会見の直前、午後2時9分にフェイスブックにアップされた。
黒木亮が、こう書いている。
FCCJでの会見で、質疑応答セッションが始まると、日本在住のあるアラブ人ジャーナリストが真っ先に手を挙げ、事前にプリントアウトしたカイロ大学の声明文の全文を時間をかけて読み上げ、「この声明文についてどう思うか?」と訊いてきたのだ。
声明文がエジプト大使館のフェイスブックにアップされたのが午後2時9分で、郷原氏と筆者の記者会見が始まったのは午後4時である。声明文のことは外部に特に告知されていなかったので、小池氏側から知らされない限り、そのような早いタイミングで声明に気づき、それをプリントアウトし、FCCJまで移動し、満を持して質問するということはまず考えられない。
2020年6月9日の記者会見のようす↓
きのうの記者会見の質疑応答では、郷原信郎が出てきて、以下のように小島に聞いた。
この外国特派員クラブでの会見を、小池さんがとくに気にしていたことについて、何か思い当たることはありますか。
それにたいして、小島はこう答えている。
なかなか言いにくいですけどね。
いまの記者クラブ、内閣記者会もそうですし、都庁クラブもそうですけれども、質問する人を当てるのは、内閣側だったり、知事ですよね。いやな質問は受けない、ってことになると、いやな質問をすると、次は当てられない、ってことになりますよね。
私は役所のほうにおり、ずっと聞いてたんですけど、残念ながら、いわゆるプレスへの対応も、いやな質問は受けない、聞かない、それを最初に指名しない、というようなガバナンス、支配がおこなわれているということが、ひとつの原因ではないか、と。
多くの人が外国人記者クラブを選ぶのは、そういうことがない、ということだ、と。
これは、日本の記者に対しても、あるいは記者クラブに対しても、私は絶望しているとともに、大きく期待しています。なんとか、そういう忖度とか、恐れることなく、ジャーナリストとして質問をしていただきたい、と。大いに期待しております。
(上の動画で1:07:00あたり)
ずいぶんと、役人的な、婉曲な表現になっているが。
要するに、
「都庁クラブは、コントロールできるけど、外国人記者クラブはコントロールできないから、なにか対策しなければならない」
と、小池は考えたのだろう、ということだ。
日本のマスコミは、自分の思惑どおりに動く、と小池に思われている。
それが浮き彫りにされたこの部分が、きのうの会見でいちばん面白かった。
この小島の発言に、我が意を得たのだろう。そのあと、東京新聞の望月記者が出てきて、例によっての要領を得ない質問ながら、
先週の都知事会見での追及も弱かった。これをどう思うか。
と小島に聞き、日本のマスコミの問題をあらためて強調させていた。
しかし、これらの部分は、たぶん日本の新聞記事にならないだろう。
小池百合子と桜井よしこ
日本外国特派員協会(FCCJ)のことは、一般にどのように認知されているのだろう。
われわれは、「外人記者クラブ」と通称していた。
わたしは、1980年代から90年代にかけて、このガイジン記者クラブによく出入りしていた。
ちょうど「ジャパン・アズ・ナンバーワン」のころで、世界中から、日本の経済の秘密を探ろうと、記者たちが集まっていた。
外国人記者クラブに、活気があった時代だ。
当時はまだ有楽町の「電気ビルヂング」にあった(現在は、いろいろあって、二重橋ビルに移っている)。
きのうの会見を見ていても、小池百合子のことより、外国人記者クラブの思い出がいろいろよみがえってきて、追憶にふけっていた。老人だから。
それで、思い出したのが、桜井よしこのことだ。
桜井よしこというと、いまは右派論客の重鎮、という感じだが、もともとは外国人記者クラブの一員だった。
彼女は、「クリスチャン・サイエンス・モニター」の東京支局員だった。いまやすっかり忘れられているかもしれないが。
クリスチャン・サイエンス・モニターは、名前のとおり、キリスト教の一派がつくった新聞だが、宗教紙ではない。
当時はアメリカの一流紙のひとつで、とくに海外報道に定評があり、ピューリツアー賞をよくとっていた。
ただし、その後、経営危機になり、いまはデジタル版しか存在しないようだ。
桜井は、クリスチャン・サイエンス・モニターの東京支局が閉鎖された後、「アジア新聞財団(PFA)」というところでジャーナリスト活動を続ける。このPFAについては、わたしはよく知らない。
わたしが憶えているのは、外国人記者クラブに、桜井の写真が額に入って飾られていたことだ。
彼女は過去のクラブ役員のひとりで、たしか会計担当だったと思う。
ただ、わたしが外国人記者クラブに出入りしていたころには、彼女はすでに記者をやめており、日テレのニュースキャスターになっていた。
虚業の共犯者
考えてみると、桜井よしこと、小池百合子の経歴は、似ている。
1945年生まれの桜井よしこは、ハワイ大学を出て、ジャーナリストを経てニュースキャスターになった。
1952年生まれの小池百合子は、カイロ大学を出たか出ないかして、やはりニュースキャスターになった。
外国の大学卒業という、その「国際性」を売り物に、ニュースキャスターになる、というキャリアパス。
小池百合子は、桜井よしこのキャリアを真似て、そのあとを追っていたのかもしれない。
しかし、桜井は、キャスターになる前、ちゃんとジャーナリストをしていた。
小池のキャスターになる前の肩書は、「アラビア語通訳」である。まず、そこからして怪しいのだ。
もし、カイロ大学をまともに出ていないとすれば、小池がニュースキャスターになるまでのキャリアは、あってないようなものだということになる。
その彼女が、ニュースキャスターになることで、「何者か」になる。
となれば、彼女をニュースキャスターにしたテレビ局も、「経歴偽造」の共犯者ではないか。
ショーンKの例もあるとおり、「ニュースキャスター」という職業は、キャリアがなくても、あるように見せかけられる、虚業だと感じる。
そういえば、うち(神奈川県)のAVセックス知事も、フジテレビのキャスター出身だ。いやだ、いやだ・・
カイロ大学の卒業だけでなく、彼女がテレビのキャスターになった経緯を含めて、日本のマスコミの「共犯性」が問われなければならない。
小池百合子を生んだのは、日本のマスコミである。
どうせ、日本のマスコミ、都庁クラブに任せていては、らちが明かない。
とくに都庁クラブは、colabo問題にからめて以前に書いたとおり、むかしからいちばんダメな記者クラブである。
こうすればいいのではないか。
桜井よしこに、小池百合子を、外国人記者クラブに呼びだしてもらい、外国人記者だけで質問攻めにすればよい。
それで、真相が明らかになり、すべて片がつくと思う。
本当は、外国人記者クラブの思い出を書こうとしたのだが、話が逸れてしまったので、このへんで。
それにしても、むかしも今も、日本のマスコミはなめられっぱなしである。外国人記者から、笑われっぱなしである。
しゃんとせい! と退職老人は言いたい。
<参考>
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