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【追悼】キム・セロン (なぜ韓国人はよく自殺するのか)
女優のキム・セロンさんが死去した。(中略)キム・セロンさんは16日午後、ソウル・城東区(ソンドング)の自宅で死亡したことが確認された。キム・セロンさんは自宅を訪問した友人によって発見された。警察は詳しい経緯を調査中の状況だ。
2000年生まれのキム・セロンさんは2001年に雑誌『アンファン』のモデルとしてデビューした。9歳だった2009年に映画『冬の小鳥』で演技を始めた。李滄東(イ・チャンドン)監督が演出を手掛けた韓仏合作映画『冬の小鳥』でキム・セロンさんは父親に捨てられ施設に預けられたジニ役を演じた。映画はカンヌ国際映画祭の招待を受け、韓国最年少女優としてカンヌのレッドカーペットを踏んだりもした。
翌年には映画『アジョシ』で本格的に大衆に顔と名前を知らせた。
(中央日報日本語版 2025/2/17)
ニュースを見たとき、キム・セロン? ・・どっかで聞いたような、と、すぐに彼女のことを思い出せなかった。
写真を見ても、あまり見覚えがなかった。
「冬の小鳥」の彼女だとわかり、まさか彼女が・・と驚いた。子役時代とは顔が変わっていたのだ。
遺書は発見されてないが、状況から警察は自殺と見ている。
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「冬の小鳥」のキム・セロンは、2000年代に入ってから、韓国映画で最も脚光を浴びた子役であり、最も印象的なデビューを飾った女優だったと思う。
孤児院に「捨てられた」女の子の孤独と怒りを、きわめて鮮烈に演じた。私も当時は大いに感動して、韓国にはすごい才能がいるものだと思った。
なお、上の記事には誤記(誤訳?)がある。「冬の小鳥」の監督はウニー・ルコントであり、イ・チャンドンではない。イ・チャンドンはプロデューサーの一人である。(イ・チャンドンは「オアシス」などの監督で韓国文化観光部長官も務めた)
その後、上記の記事のとおり、「アジョシ」(2010)のようなヒット作に出て、広く知られるようになった。
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私は、ぺ・ドゥナと共演した「私の少女」(2014)も忘れがたい。これもイ・チャンドンのプロデュースで(監督はチョン・ジュリ)、ぺ・ドゥナとキム・セロンは、どちらも複数の映画賞を受賞した。
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離島に赴任した警察官(ぺ・ドゥナ)が、継父に虐待されていた14歳の少女(キム・セロン)を保護するが、それがあらぬ疑いを招いてしまう、という話だった。
これなどは、キム・セロンという女優を前提として作られたような映画だった。
でも、率直に言って、キム・セロンの演技やイメージは、どの映画でも最初の「冬の小鳥」を超えていない、と感じた。
むしろ「冬の小鳥」のイメージに引きずられている、と思ったのも事実だ。
その後、私はキム・セロンのことを忘れていた。
キム・セロンは、その後もマ・ドンソク主演の「守護教師」(2018)などに出ていたが、2022年に飲酒運転で逮捕され、不遇をかこっていたようだ。
ネットでの中傷に悩んでいた、という、最近どこの国でもよく聞く話が伝わっている。
でも、何にしても、まだ24歳である。
韓国の芸能人、K-Popのアイドルや役者には、自殺者が多い印象がある。
昨日、キム・セロンの自殺をきっかけとして、韓国人YouTuberのJINさんが「韓国は自死率が高い理由」という動画をアップしていた。
韓国は自死率が高い理由|KPOPアイドルや有名俳優まで相次ぐ韓国社会の闇(韓国JIN 2025/2/22)
そもそも、芸能人に限らず、韓国は自殺率が高く、2000年代に入って日本の自殺率も抜いて、OECD加盟国中最悪となっている。
JINさんは、背景に経済格差や社会保障の貧困があるという。
韓国の芸能界に関しては、競争の厳しさから「完璧主義」の傾向が強く、少しの失敗も許されないストレスがあるという。キム・セロンさんの場合も、飲酒運転でつかまったことで将来を悲観し、また違約金などの発生で経済的に追い詰められていた可能性がある。
ネットでの中傷が原因だとも、最近よく言われる。
ただ、SNSの普及で自殺が増えたという証拠は乏しいのではないか、と私は思う。昔から芸能人の自殺は多い。最近、自殺の話は、すぐSNS規制の話に結びつくから、そこは慎重であるべきだ。
自殺率と関係が深いのは、やはり経済要因だ。日本の場合でも失業率と明らかに関係がある。韓国の場合は1997年のアジア通貨危機から自殺が増えた。
それに、韓国の自殺率を引き上げているのは、どちらかというと高齢者の自殺である。(ついでに言えば、少子化も日本より加速している)
それはともかく、自殺によって、出演作を見るのがつらくなる。それが、つらい。
私は「バンジージャンプする」(2001)という韓国映画が好きで、DVDも買ったのだが、主演女優のイ・ウンジュが2005年に自殺したため、何か見るのがためらわれるようになった。
ク・ハラの自殺で、KARAのビデオを見るのがつらくなったのと同じ。
こういう思いを、私は子供の頃から味わっている。
いちばん最初の例は、テレビドラマ「図々しい奴」(1963〜)の主役、丸井太郎の自殺だ。
「図々しい奴」は、最高視聴率45%を突破した大人気ドラマだった。その破天荒な主人公を演じた丸井太郎は、大部屋俳優から大役をつかんだ。20代後半でのブレークだった。
私はこの丸井太郎が大好きだったのだが、1967年、31歳で自殺してしまった。「図々しい奴」以降の不遇に悩んでいたという。
「図々しい奴」は、私が人生で最初に好きになったテレビドラマだったのに、丸井の自殺で、何か思い出すのもつらい記憶になった。
自殺者を責めるわけにはいかないが、死後にも作品は残る。それを見た者の記憶にずっと残る・・そのことも考えて、思いとどまってもらうわけにはいかないだろうか。
キム・セロン出演作の「隣人 The Neighbors」(2014年)が、現在AmazonPrimeVideoで、会員ならタダで見られます。
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キム・セロンは一人二役の活躍をしている。
私はこの映画のDVDも持っているが、追悼のつもりで、アマプラで先ほどまで見ていた。
以前は好きな映画だったのに、内容が陰惨なスリラーだということもあり、気持ちは落ち込むばかりだ。
<参考>