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「ソイレント・グリーン」再上映にあたって
そういや、17日から「ソイレント・グリーン」(1973年)がデジタル・リマスター版で再上映されてるらしい。
なんで、また?
もう、人間がいっぱい…… 50年前に描かれた"地球の未来予想図"に生存している我々は、 本当の地球の姿を知っているのか? 謎の合成食品”ソイレント・グリーン”を渇望し配給所に押し寄せる人間を、 巨大ショベルカーがなぎ倒し、掬い上げる衝撃映像! 『ソイレント・グリーン 《デジタル・リマスター版》』 5.17(金)より、シネマート新宿ほか全国順次ロードショー https://soylent-green2024.com/
どうせなら、2年前に再上映すればよかったのに。時代設定が2022年の話だから。
みんなマスクをしている、というのも、コロナ期間中にぴったりであった。
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それもあって、わたしは2年前に、この映画についてnoteに書いた。
私はこの映画を、リアルタイムで中学生の時に見た。
「猿の惑星」のチャールトン・ヘストンが出る映画で、「猿の惑星」と同じく、最後にびっくりの仕掛けがある、という触れ込みだったと思う。
映画館で見て、深く印象に残った映画の1つだ。食糧危機と格差拡大で荒れ果てた未来ーーそれが2022年という設定だったのだ。
われわれの世代(いま60代)以上は、封切時に劇場で見て、忘れられないインパクトを与えられた人が多いと思う。
とくに、劇中の「安楽死」のシーンは、いま自分の死を考える歳になると、再び思い出すことがある。そのことも、以前に書いた。
ベートーベンの田園を聞きながら安楽死する老人を演じたのは、エドワード・G・ロビンソンで、皮肉なことに、本作が実際に遺作になりました(映画公開時には亡くなっていた。享年79)。
フィルム・ノワール時代の名悪役として知られたエドワード・G・ロビンソンですが、われわれの世代では、この映画で記憶している人が多いのではないでしょうか。
私も子供のころ、この映画を劇場で見て、「田園」のシーンは忘れられませんでした。
この映画の原作タイトルは「人間がいっぱい Make Room! Make Room!」。
このころは皆「人口爆発」の心配ばかりしていた。アイザック・アシモフなんかも、エッセーで「人口爆発をなんとかしろ!」と叫んでいた。
「少子化」なんてことが起こるとは思っていなかった。
それは、この映画の予測が外れた部分ですね。
もちろん現在も、国によっては人口爆発しており、世界人口は増えていますが。でも、心配しすぎて人口を抑制しすぎた後悔もあるはず。
いっぽう、公害がいちばんひどかった時代なので、環境破壊への問題意識は鋭く、それは現代から見ても当たっていた。
同時代には、公害の怪物「ヘドラ」がゴジラと対決していた(「ゴジラ対ヘドラ」1971年)。
生野菜が稀少になってーーというこの映画のシーンは、いまも他人事ではない。
もっとも、いま野菜が食えないのは物価高のせいだが、根本ではつながっているからね。