【Netflix】「嘘と料理と殺人と」つばさの党的「恥知らず」
【概略】
嘘と料理と殺人と: "カチョポの帝王"と呼ばれた男
Cooking Up Murder: Uncovering the Story of César Román
2024 | 年齢制限:13+ | 1シーズン | ドキュメンタリー
スペインの有名シェフが関与する殺人事件を検証するドキュメンタリー。捜査が進むに連れ、その成功の裏に隠された数々の秘密と身分偽装の事実が暴かれていく。
(Netflix公式サイトより)
予告編
【評価】
5月10日に世界公開されたスペイン産ドキュメンタリー。45分×3回。
ぜんぜん関係ないんだけどさ(実は関係あるんだけど)、ガサ入れされた「つばさの党」の選挙妨害、ひどかったね。
ひどいっていうか、見苦しかったね。
小さい政党をつくって、目立とうとする男たち。なんなんだろうね、あれ。
立花孝志が、自分も被害者みたいな顔で解説してたけど、立花から始まったトレンドなんじゃないの。
格別の政治信念があるわけではなく、ただ目立ちたいだけで政治活動をする人たち。
NHKつぶれないじゃないか。何やってんだよ。
で、このNetflixの新ドキュメンタリーで取り上げられているこの男。
殺人罪に問われた、元料理店経営のスペイン人、セサル・ロマンという男。
この男も同じなんですよ。料理店経営の前は、政治活動家でした。
最初は右翼系のファランヘ党っていう、比較的大きな政党に入って活発に活動してたんだけど。
でも、なかなか党内で出世しないので、とにかく自分が目立ちたいセサルは、次々と政党を変わる。
そして、次第に極右系の党とか、小さい党にばかり入るようになる。
小さい党のほうが、自分が目立つからね。
頭はよく、弁舌さわやかで、コミュ力抜群。精力的で、どこでも一定は目立つ。
堂々と、自信満々に話すので、みんな一度は注目する。
でも、すぐに政治信念のなさがバレて、信任を失う。
最後は、カネとかで問題を起こしてクビになる、というパターン。
「あいつには政治信念がない。権力と称賛を求めているだけ。承認欲求だけの男だ」
と、かれを知る人に言われている。
こういう男って、なんなんだろうね。
詐欺師というわけではない。カネをもうけるのが目的ではない。
目的は、目立つこと。「権力と称賛」を求めている。
だから、ある意味、すごい働き者。勉強家でもあり、なんなら努力家といってもいい。
そうなんだけど、何か根本的なものが欠けている。
その男が、40代半ばになって、「料理人」として有名になる。
マドリードで「カチョポの帝王」として。
カチョポというのは、牛肉のカツ。チーズを牛肉で巻いて揚げた、スペインの名物料理ですね。
その料理のコンクールで優勝した、という触れ込み。
わが家はスペイン料理の名門で代々料理人、などと吹聴していた。
でも、コンクールも、経歴も、インチキだとのちにバレる。
でも、とにかく一時は、「カチョポの帝王」として、マスコミの注目を浴び、やっと承認欲求が満たされた。
そこで、すぐに調子に乗り過ぎて、カネの問題を起こし、次にオンナと問題を起こして、ついには殺人事件を起こす。
「カチョポの帝王」になったのが2016年、事件が起きたのが2018年。短い天下でした。
でも、そういう男だから、警察につかまっても、黙ってはいられない。
一生懸命法律を勉強して、なんとか抜け穴はないかと探し、裁判では無罪を主張。
「闇の勢力が自分をハメた」という壮大な陰謀論で、自己弁護論を展開した。
自己正当化の屁理屈だけは次から次へと思いつく。
まあ、そういうドキュメンタリー。
面白いですよ。最近のNetflixのドキュメンタリーのなかでも、出来がいいほうです。
そして、こういう男って、どこにでもいるんだな、とわかる。
この男は、152センチと低身長で、同じ低身長のわたしとしては、応援したい対象なんだけどね。
かれは、低身長にもかかわらず、得意のコミュ能力でどんな環境にも入り込み、女にもモテた。
でも、こういう結果になってしまっては、低身長ゆえのコンプレックスで「権力」を求めた、という悪しき偏見を助長する。残念な低身長です。
この男は、生き方によっては、成功者になれたはずです。
なにが欠けていたのか。
ドキュメンタリーの最後のほうで、的を射た評言があった。
「かれは、自分の人生で、一度も『恥ずかしい』と感じたことがない。そういう男だ」
と。
そう、「恥」の感覚を知らない。
「恥」というものを知らないから、はたから見れば、なぜそんな厚かましいことができるのか、とあきれられる。
だけど、かれには、自分のどこがおかしいのかわからない。「恥」という感覚がないから。
要するに「恥知らず」。
恥知らずたちが、スペインでも日本でも、増殖中です。
<参考>
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?