香港の名匠・ジョニー・トーが危ない! 中国が抑圧か
香港を代表する名監督ジョニー・トー氏が、ベルリン映画祭で中国批判ととれる発言をし、中国で彼のサイトが閉鎖されるなどの影響が出ている。中国で彼の映画が上映されなくなる可能性もあるという。
中国大陸では、杜監督が第73回ベルリン国際映画祭に際して不正な発言をしたとして、今後は杜監督の9作品が(中国大陸では)上映されない可能性があると論じる記事も発表された。(recordchina)
ジョニー・トー監督は、審査員として参加したベルリン映画祭の記者会見で16日、以下のように述べた。
「全体主義が出現して人々が自由を失った時、映画館はいつも、真っ先に影響を受ける。多くの地域でそうだった。(独裁者は)必ず、文化を停止させる」
トー監督は、発言の途中で、「香港は」と言いかけてから、微笑みを浮かべて、
「いや、申し訳ない。(香港だけではなく)世界において自由を勝ち取ろうとする国と人々は、映画を支持するべきだと思う。映画はあなたのために声を上げるからだ」
と述べた。
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私は昨年の5月、Netflixのジョニー・トーのドキュメント「あくなき挑戦 ジョニー・トーが見た映画の世界」を紹介する記事で、以下のように書いた。
ジョニー・トーは、1990年代後半から2000年代にかけて、集中的に傑作をたくさん生み出した。「ヒーロー・ネバー・ダイ」「過ぎゆく時の中で」「ミッション 非情の掟」「暗戦」「PTU」「マッスル・モンク」「ブレイキング・ニュース」「エレクション」「MAD探偵」「スリ」「エグザイル 絆」「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」・・・
このドキュメンタリーが撮られた2010年代から、トー監督は中国本土に進出し、以前の多作ぶりが見られなくなった。
まだ60歳代で、老け込む年ではない。事情はわからないが、香港や中国の政治的事情にくわえ、映画撮影をめぐる環境変化が影響しているかもしれない。
https://www.netflix.com/jp/title/80996345
恐れていたことが、現実になりつつある気がする。
ジョニー・トー監督を守るとともに、かつての香港映画の栄光を取り戻す、何らかの動きが、世界の映画界で起きてほしい。