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革靴
革靴は定期的にメンテナンスをしなければいけない。
革靴のメンテナンスには汚れ落としだけでなく専用のクリームを塗る。まず靴の埃や汚れをブラシや布で落とす。隅々までブラシをかけておくと良い。次に、新しくクリームを塗る前に、既に塗られているクリームを落とす。そのために専用のクリーナーを使って磨く。布にクリーナーの液を垂らし、丁寧に磨く。汚れが落ちて布に移るから、きっと達成感を得られる。その次にはクリームを少量とって塗り広げる。靴のクリームが一か所に固まらないようにブラッシングをする。最後に専用の布で磨く。グローブ型の布もある。防水スプレーを使う場合にはこの後にかける。防水スプレーは薄く塗らないと汚くなってしまうので注意が必要だ。防水スプレーは水だけでなく油などの汚れも防いでくれるので、できればかけた方がいい。私は仕上がりを気にする時にはかけないこともあるけれど。
週に一度は革靴のメンテナンスをすると良い。靴の手入れは慣れてくればそれほど時間はかからない。靴が目に見えて綺麗になるので楽しい。一仕事終えた気分になれる。
「でも、それでも、面倒な時があるでしょう」
それはあるかもしれない。一度メンテナンスを始めれば数分で終わる作業でも、そのためにメンテナンスセットを出したり、後片付けをしたり、というのが億劫になることはある。1週間に1度といっても、週末に予定があったりするとメンテナンスの時間を確保することが難しい。そういう時はたしかに、ある。
「そんな時には、うさぎを使うんだ」
君は微笑んで1匹のうさぎを手にとった。うさぎは君の手の中でおとなしく寛いでいる。とてもよく馴れたうさぎ。
うさぎを抱えて玄関に行く君の後についていく。
「うさぎを塗ればいいんだよ」
よくわからない。唐突にうさぎを手渡されて、呆然とする。うさぎは温かい。もぞもぞと動いているが、こちらに体を預けているのがわかる。愛おしい。
「貸してごらん」
うさぎを君に返す。君はうさぎを少し薄汚れた革靴に乗せて、いや被せて、力を込めて擦り付ける。
「うさぎは溶けるんだ」
うさぎはたしかにバターのように溶けて革靴を覆う。君は溶けかけたうさぎを使って手際よく革靴を磨いていく。あっという間に一足の革靴が綺麗なツヤのある状態に戻った。うさぎはもうそこにいない。跡形もなく溶けてしまった。
「うさぎのことなら心配はいらない。すぐに戻ってくるよ」
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