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モバイルバッテリーの岸政彦
物をなくすことが多い。
iPhoneはそこらへんにポンと置いてしまって忘れるし、ポケットに入れた口紅やリップクリームはいつのまにかいなくなっていて何本買ったかわからない。
最近だと、モバイルバッテリーが散歩にでかけてしまって困っている。可愛い子には旅をさせよというけど、帰ってくる気配はない。
わたしのiPhoneはケーブルの差し込み口が壊れていて、MagSafe(くっつけて充電するやつ)でしか充
こころのなかに空席の椅子を置く ー『プリズン・サークル』の上映イベントから
舞台上に椅子が6脚置かれている。
登壇者が緊張した面持ちで座るなか、そこには誰も座っていない空席の椅子があった。
「自分がここに座っているつもり聴いてください」
打越正行さんは、そう語り、アフタートークがはじまった。
2月。厚手のコートとマフラーで着こむなか、東京・町田市にある和光大学人間科学科の主催で映画『プリズン・サークル』の上映イベントがおこなわれた。
『プリズン・サークル』
浮標を見つけて、2023年
近所は新築戸建の建設ラッシュ。この一年で10軒くらいの立派な一軒家が解体されて、新しい家になった。築35-50年くらいの家が並ぶエリアだから、高齢になって家を売るひとが多いんだと思う。
一軒家が取り壊されたあとは、ほぼすべて二軒の3階建戸建になった。千鳥の大悟が、相席食堂かなんかの番組で「太2と細3」って言ってたっけ。妙に印象に残っていて、3階建戸建を見るたびに、心のなかで「細3」って唱えてい
ミモザへの視線ーー「壁をこえて対話するために」
築38年の家で暮らしている。
2年前に引っ越してきたのだが、そのときにはすでに庭の木が数本枯れていた。木にも寿命があるんだな〜と実感する。シロアリの巣になってしまうと困るので、がんばって根元から引き抜くことにした。
数ヶ月に及ぶ格闘の末、木はすっぽりと抜けた。
しかし今度は困ったことに、道ゆく人の視線が気になるようになってしまった。庭の隣は空き地になっていて、その奥に道路がある。その道路と家の床
ダイニングテーブルと暗闇
23歳まで過ごした実家を思い起こすとき、真っ先に思い出すのはダイニングテーブル付近の光景だった。
そのテーブルには、大量の書類が置いてあった。
レシート、ファックス、葉書、ダイレクトメール。さまざまな種類の紙が、山のように積み重なって机を覆い隠している。下にいくほど年単位で古くなり、地層のようになっていた。テーブルの下にも紙がたくさんあって、足を伸ばすことはできない。
天板には、ほんの少しの余白