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漢字の歴史 その7 楷書

甲骨文→金文→篆書→隷書→草書・行書・・・・
甲骨文は「天帝(神)との対話」(=占卜)のための文字、金文は「政治のため」の文字、篆書、隷書は「政治国家のため」の文字となりました。甲骨文字は獣骨に刻まれ、金文は青銅器に鋳込まれたり刻され、篆書は石に刻され、隷書は石碑に刻されました。章草・草書・行書は漢の時代に隷書の早書きによる簡略化が進み発生しました。当時、正書体(国が定める書体)である隷書は公式的・儀礼的なもの(公文書・石碑の書)に、日常的には章草・草書・行書が多く用いられました。それぞれについては漢字の歴史「その1甲骨文」、「その2金文」、「その3篆書」「その4隷書」「その5草書」「その6行書」をご覧ください。

楷書は隷書から変化し、後漢末に発生し唐時代に黄金期を迎えました。
楷書は三国時代には正書体となりました。
楷書は三国時代から初唐時代へと時代が進むにつれて洗練されていきます。三国時代の鍾繇(しょうよう)の楷書は古朴で、北魏時代の鄭道昭(ていどうしょう)の楷書は厳しく剛健で、初唐時代の欧陽詢(おうようじゅん)・虞世南(ぐせいなん)・褚遂良(ちょすいりょう)(初唐の三大家)の楷書は整斉で気品があり、中唐時代の顔真卿(がんしんけい)の楷書は重厚で力強いのが特徴です。
唐時代に楷書は頂点に達し、その後、唐代の書跡に及ぶものはなく、永く後世の範となっています。また、楷書の後、新しい書体は生まれていません。


楷書の特徴
点画や形が分かりやすい
篆書・隷書のように複雑ではない
草書・行書のように、点画を連続させたり、省かない
篆書・隷書・草書・行書よりも書きやすく、読みやすい

漢字の歴史を7回にわたって書いてきました。
漢字は「神との対話」から始まり「政治のため」、「政治国家のため」と変化し、「日常的に使う伝達のため」のものと変わっていきました。それと同時に書体も甲骨文→金文→篆書→隷書→草書・行書→楷書と新しいものが生みだされました。
楷書から行書・草書が生まれたと思われることが多いのですが、実は三書体共に隷書から生みだされたことがお分かりいただけたかと思います。
どの書体もとても魅力的です。
漢字の歴史を思い浮かべながら、書店・図書館などの書道コーナーで本を手に取っていただき、それぞれの書体を鑑賞していただければと思います。

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