「ぜんぶ、やる」の呪いを超えろ! 7年目の言語化で挑んだHuuuuの価値を読んでくれ
2023年1月20日、株式会社Huuuuはおかげさまで設立6周年を迎えました。東京と長野を拠点にして、編集の大鉈を泥臭くブンブンと振り回しているんですが、あらためて「会社経営って大変じゃない?」と感じています。
こ、この感覚…経営者の孤独か??
こんな気持ちで仕事に向き合ってきた6年間でした。チームも増えて14名。拠点を増やして、好きな名前の旗を掲げて、全国を移動し続ける。
気づけば小売りのシンカイ、オフィススペースのMADO、スナックの夜風、出版事業の風旅出版など、編集プロダクションの領域を大きくはみ出るようなリアルの打ち手をやり続けています。
企画や切り口が頭に浮かんだら大体は実行する。後で「あ〜、なんで思いついて口にしちゃったんだろ…」と後悔することもキャパ的に増えてきていますが、できないことに向き合って「どうすりゃいいんだ?」のわからない状態は脳にとって純度の高い刺激なんですよね。めっちゃ大事。
MADOでイベント配信機材を揃えて、最低限のオンライン配信ができるようになったりだとか。夜風の飲食経営で仕入れのおもしろさ、お酒の原価設定、光熱費高騰のエグさも当事者として「わかる」が増えてくる。
もはやただの編集の会社じゃないのかもしれません。”やれることぜんぶやる”の呪いが、きっとおれたちを強くする。そして迷わせる。追い込まれる。
一方で「Huuuuにどんな仕事を相談すればいいのかわからない」「Huuuuはとがっているから、真面目な仕事やってくれなさそう」「とにかく全国移動で柿次郎が疲弊して忙しそう」といったパブリックイメージもできあがってきました。SNSが持つ利便性は、時に極端な鏡ともなる。
会社の規模が大きくなって人件費が跳ね上がり、不景気と資源高騰の影響を実生活で受け続ける現実において、この印象は単純にもったいない。好きなことをやるために売上確保は欠かせません。主体的な仕事づくりのチャンスを生んでいくぞ〜〜〜。
SNSの露出で増幅し続ける情報は平面として受け取られてしまう。人間だって、組織だって、複雑でややこしい立体で存在しているじゃないですか。
いろんな側面がある。いろんな価値観がある。泥臭く磨き続けた会社の理念・思想がもしかしたら複雑な立体鉱物みたいになっていくかもしれない。
たとえば炭素だけでできているダイヤモンド。地球のプレートによる圧力とマグマの高熱を何万年も受け続けて生まれるそうです。元素はひとつなのに。すごいよ、ダイヤモンド。
人類も社会や文化の影響を受け続けて変化してきました。これは組織のアイデンティティにも通ずるところがあるんじゃないかと思っています。
複雑な物事に向き合うからこそ、Huuuuは捉えにくい存在になってしまう。まだまだ短い時間軸ですが、五感で得た現実の情報圧によって芯が少しずつ硬くなってきてるかもしれません。
結果、くすんだダイヤモンドのように見られていたらおもしろいなーと。「なんかあいつら独特の鈍い輝き放ってねーか?」「おれたちの知らないこと見てきてんじゃねーか?」こんな期待が仕事のオファーに繋がっていくのが理想です。
必要なのは「思想」。次は思想に基づいた「スタイル」です。
このふたつを固めるために6年かかったといっても過言ではありません。目的としての「Doing」から在り方としての「Being」へ。
というわけで、Huuuuがどんな会社でどんな存在意義を掲げたのか。わかりやすさとわかりにくさの狭間で何をやっていきたいのか。一年かけて言語化しました。
友光だんご、日向コイケにこの作業を任せたのがポイント。今までのように自分だけで決める世界からの脱却です。
今回は、そんな背景をベースにつくった会社資料を私なりに解釈してお伝えする記事です。3年後振り返ったら重要な作業になってるんじゃないかと思っています。
最後に貼り付けた資料も合わせてぜひ。具体的な実績も紹介しています。よかったらじっくり目を通してみてください。
Huuuuはどういう会社なのか
全国を旅する編集チーム。自分たちがやりたいことでもあるし、フーテンの寅さんみたいに土地の人たちと交流をしながら、同時代性で起きている現象を掴みに行っています。
私が考える企画の肝は、”人々が起こす現象を掴む”こと。
その現象から仮説を導き出す。有名な誰かに話を聞けばおもしろいわけじゃない。ただその土地の話を聞けばいいわけでもない。あらゆる対比の中で見えてくる小さな差異、同時多発的に生まれる感情の芽吹きを生身で触れに行くことで、ならではの企画が生まれます。だから旅をする。
パーパス=実践者を増やす
ビジョン=誰もが利他の心を持ち、自ら問いを持ち生きる
ミッション=人生のわからない、を増やす
バリュー=社会の現実に触れて、人間本来の生き方を再提案する
本来、大企業がやるような社内文化の言語化に挑みました。2020年に企業理念として「人生のわからない、を増やす」を発表しましたが、パーパス、ビジョン、バリューを考え抜くことによって社内文化の共有、迷ったときに立ち止まれる指針になればいいなぁと。
教育視点でも実践することが一番の学びじゃないですか。実践すれば想像力が生まれて、異なった世界の人たちの何かが見えてくる。
その繰り返しの中で問いが生まれて、行動力の源泉となる好奇心がこんこんと湧き続けます。社会の現実に触れる機会が増えて、誰かのために利他的に振る舞えるようにもなる。理想論かもしれませんが、ローカル取材を8年続けてきた私なりの実感でもあります。
Huuuuの存在意義、社会の中で見出す役割はここにある。この7年目だからこそ向き合えた言語化が、どんな影響を及ぼすのか。きっと大きな組織と仕事をするときにこそ生きてくるんじゃないかと思います。
突然ですがここから生物に例えます
●Huuuuは横歩きのカニである
最短距離の移動はつまらない。高速道路は便利だけれど、下道を走った方が楽しいじゃないですか。正解があまりにも見えている世の中において、主体的な遠回りはより価値が生まれるはず。
生き方と仕事のやり方に余白がなければ、不確実性の高い移動や決断はやりづらいかもしれません。そもそも人間性は余白がないと育たないと思うんですよね。ここのジレンマは誰しも抱えているだろうなぁ。
もし誰かに「無駄」「遠回り」「めんどくさい」「意味わからん」と言われた時点で私たちの勝ちだと思うようにしています。
泥臭く遠回りした道の中にこそ新たな価値(おもしろ宝石)が落ちているんだから、拾い集めた方が楽しい。そもそも寄り道はダイナミックで、面白がる感性が磨かれる。泡吹くくらいの横歩き。
おれたちゃカニです。
●Huuuuは価値を各地に運ぶミツバチである
地球の生態系はミツバチが担っているのは有名な話ですよね。植物の受粉に欠かせない「花粉の運び屋(ポリネーター)」。全国を旅する編集者は土地土地で得た情報や文化を運び続けています。
ときにはローカル to ローカルで人を引き合わせたりもするし、クリエイターが集中している東京の友だちを旅に誘って、地方取材ツアーに同行してもらうのもコロナ以前はよくやっていました。
いわゆるアテンド的な役割も含まれているかもしれません。
Huuuuがやっていることは、SNSで目にするアウトプットだけじゃないんです。そのプロセスで本来やらなくてもいいことを好き好んで詰め込む。意味わからんイベント企画をやるのも同じです。
友人の家業である山形・赤湯温泉『山形座 瀧波』を貸し切って、先輩や知人を全国からかき集める新年会を2020年1月に主催しました。そこにたまたま桐生でアウトドアショップ『パーヴェイヤーズ』を経営しているコバさんと発酵デザイナーの小倉ヒラクくんが仲良くなって。
ちょうどコバさんがビール醸造プロジェクトを始める手前で、ヒラクくんに「いい醸造家いないかな?」と相談したのがきっかけで「FARCRY BREWING」が誕生。麹を使ったビール醸造の第一人者・阿久澤健志さんをつないだのはヒラクくんで、結果よくわからん新年会が生んだご縁というだけなんですけどね。
好きな土地で好きな人を集めて、ただ遊んで酒を飲む。この繰り返しがいろんな価値(花粉)を運び続けることになる。移動距離と移動回数に比例してこの循環が生まれるのは、日本全体を面白くするために必要な役割なんじゃないかと思っています。
だから、おれたちゃミツバチ。
●Huuuuとは大人の背中を見せるゴリラである
パーパスを「実践者を増やす」に設定したぐらいなので、かっこいい背中を見せたいと常日頃思っています。若者に「いろんな大人がいるよ!こんな仕事もあるよ!こんな生き方もできるんだよ!」ってのを伝えたい。
群れのゴリラのリーダーのみがシルバーバックになれる。そんな野生の機能を解釈して、人間だって背中を示す重要性が高まっているんじゃないか?
会社の代表は等しくシルバーバックのゴリラです。群れを率いて先頭をウホりながら進んでいくのが社長なんですよね。勝手にそう捉えています。
自分たちの背中だけでなく、ローカル含めた広い領域でかっこいい背中を探し当てるのもHuuuuの特技です。
ゴリラ的なBeingを可視化する記事制作には自負がある。まずは手を動かす。足を動かす。精神性と身体性を4WDみたいに駆動させて、実践する過程を言葉や文章で伝えていくこと自体、大人の役目だとも思うんですよね。
もちろん手当り次第やればいいってわけじゃない。自分の人生やお金をBETすることでしか生まれない責任感を尊重したい。最後は己次第。成功も失敗も、実践の経験値がなければ判断できない領域が想像以上に広がっています。
そもそも圧倒的に突き抜けたアウトプットをつくりだせるのは一握り。凡人は本能的な危機感を研ぎ澄ますことの方が生存率を上げられるはずです。
そのために長期的な成長曲線をイメージ。主体的な実践のみが、想定外のレベルアップを叶えてくれると思うんですよね。
いきなり飛躍しますが、実践してない机上の空論だけでメシ食ってるコンサルを見極める方法は「あなたはゴリラですか?」の質問に尽きます。
もっとかっこいいゴリラの実践者を増やしたい。行き先がわからない不安な子ゴリラを引き連れて、未知なる世界を乗り越えていきましょう。ときにはドラミングで威嚇して、仲間に警戒心を伝える。
そう、おれたちゃゴリラ。
●Huuuuとは媒介者として行動変容を促すキノコである
キノコ…。
受託の制作会社として決められたことを「あーはいはい」と形にして納品……みたいな仕事はあまりやっていません。根本的な解決、よりよいものにするための提案は怠りたくないし、おもしろいと思えるラインを互いに探り合うためのコミュニケーションは向き合っていきたい。
ジモコロの記事はまさに妥協なき産物というか。記事を読んだ人たちの行動変容につながることを目指しています。
PVも大事だけれど、たった1人の人生が変わってしまうような影響力が時折生まれる。境界線や枠組み、思い込みや常識を取っ払って、「こうした方がいいんじゃないですか」を繰り返し問いていきたいです。
急なキノコのメタファーですが、キノコは森のネットワークを司る必要性の塊です。菌類は窒素やリン、カリウムなどの養分や水分を吸収し、菌根を介して植物に運びます。
逆に植物は菌類に光合成で得た糖類を分け与える。共生のネットワークがお見事。互いに利己的な動きをしながらも、必要なものを分け与えるアクションは、まさにHuuuuが目指す在り方です。
カニ、ミツバチ、ゴリラの役割で得たものをキノコ(菌類)として目に見えない世界で渡していく。なんかキノコっぽいでしょ? 大丈夫?伝わってる??
自然界の価値観と経済的な必要性を理解して、真ん中に立つ。
それは東京で得た利益を長野のシンカイやMADO、夜風に循環する。ローカルの空白、町に住む人たちが求めるものを感じ取って、編集視点で埋めていきたい。相互関係の信頼を分け与えることは、全国取材で学んだ重要な要素です。
やっぱり、おれたちゃキノコでもある!
実際、どんなことやってるの?
この図解がとても意味を持つと思うんですが、アウトプットの領域が広がり続けています。
当初は「オウンドメディアの編集業務」がメインだったはずが、人前で話したり司会したり、熱狂的な音楽フェスに出店したり、そこで得た感性をスライドさせて自ら実店舗を持ち始めたり……でも、全部自分の純然とした「やりたい」から生まれたものばかり。選択と集中の概念がありません。
どういう現象をHuuuuは事業として起こしているのか? ここの言語化が今回の会社資料の肝になると思っています。
なぜなら、不確実性の高い混乱を極めた新しい時代において「ただ単に記事を作れます」「広告を打ちましょう」「芸能人やインフルエンサーを起用しましょう」のDoでは未来にたどり着かないからです。
枠の話ばっかしてると感性とシナプスが詰まる。Beとして「どういう状態を目指すのか?」を事業として捉えること、その解釈と実践の提案ができるのがHuuuuの武器です。
・まだ発見されていない価値を言語化・再定義する
・新たな価値を越境しながら運ぶ
・土地に根付き、実践する
・知的好奇心を追求する
これらのキーワードを目にして「そう!これがしたい!!」と思った方はぜひ仕事のご相談お待ちしています。向かうべき方向を示して、旗を振るためには欠かせない役割だと感じてもらえたら幸いです。
100年に一度レベルの時代の転換期を迎えている2023年、根本的な思想から寄り添う仕事を創り出さないとマジで残らんな、と。必死のパッチ。ここで油断したら文化が死ぬ。そのためには上記4つの事業を全部意識して、実践していかないといけないんじゃないか?
風が吹けば飛ぶような小さい会社Huuuuとしても、仕事の上流に食い込んで根本的な価値観を揺らしにいかなければ生き残れません。やるしかねぇを心に秘めて、若者にやっちまいなと言い切っていきたいですね。
さいごに
社会に必要とされる静かな革命の萌芽は、精神的辺境の果てにある崖先に咲いている気がしてなりません。
コンテンツ制作はもちろん、メディアの立ち上げ、会社の理念を言語化する作業、そこからパンフレットやZINEの出版もできる。
店舗プロデュース、イベント企画、企業研修、商品開発、Podcast制作、孤独が深くなる社長の壁打ち相手、ざっくりした相談を抱えて雑談を持ち寄る飲み会などなど、このnoteを読んで「おもしろそう」と思った人は気軽にご連絡ください。
自分発信で作り出すことは昨年充分にやりきったので、今年はテンション上がるようなオファーがほしいです。できるかできないかは二の次。不確かな期待を込めたオファーこそ、私自身がカニ、ミツバチ、ゴリラ、キノコにトランフォームするスイッチなんだとこの文章を書きながら確信しました。
会社資料はこちら。具体的な実績や記事内で紹介しきれなかったスライドも入っています。右下のダウンロードボタンを押せば直接保存も可能。ぜひこの会社資料をベースに、Huuuuへのご相談お待ちしています。
会社資料制作でどんな影響が生まれたのか? Podcast『風の穴ラジオ』で、友光だんご&望月重太朗と一緒に話しました。
あとあと振り返ったら会社の節目なタイミングになりそうな予感がバチクソある。風の2ndシーズン始まってます。
あとシンプルに感想を教えてほしいです!たのんます!