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たかしまくん

 私には弟が2人いる。
 下の弟が生まれる時、私の母の実母(私からしたらおばあちゃん)はもう他界していたので、母は小学生か年長さんの私を京都に居させて、1歳下の上の弟(Tとします)を東京の姉(私からしたら叔母)に預けた。その時のTが体験した話。

 Tは叔母家族が住んでいる団地の公園でよく遊んでいたが、いつしか『たかしまくん』と言う友達が出来たと叔母に話していた。
 T「今日はたかしまくんと隠れんぼして遊んでん。」
 T「今日はなー。たかしまくんと滑り台のところでお話ししててん。」
 T「今日はなー。たかしまくんと砂場で遊んだで。」
 叔母「そうか。友達ができてよかったね。」
  (ん…?たかしまくんってお名前の子居ないんだけどな。)

 当時平成の始めはクレヨンしんちゃんの世界みたいな感じで、保育園幼稚園くらいの子も公園で親の付き添いなしで遊びに行く事がよくあった。叔母が付いていない時にたかしまくんと遊んでいたらしい。それにご近所さんとの交流が現在と比べて濃くて、近所の子供達の名前と顔は知っている。やはりたかしまくんは弟Tの想像上の友達だろう。それが叔母と母の見解だ。

 少し切ないが寂しかったり環境の変化に戸惑いがあり、心の拠り所を求めた結果、想像上の友達を作って遊んでいたようだ。

 高校生になって、この話を聞いた私はTに「たかしまくんって覚えてるん?」と聞いてみた。
 するとTは
 T「覚えてるで。ずっと遊んでた。」
 私「へー!いつまで見えてたん?」
 T「京都に帰って来た時に夢に出て来て、(もうTと遊べなくなった。バイバイ)って言ってから会えなくなった。」
私「へー。最期に挨拶しに来てくれたんや。そんな事ってほんまにあるんやな。」

 結局たかしまくんはTが作り出したイマジナリーフレンドで、彼が必要無くなったので会えなくなってしまったのか。若しくはほんのりたかしまくん幽霊説も考えられる。たかしまくんは東京のとある団地の公園に憑いている地縛霊で物理的距離が離れてしまったため見えなくなったとか。

 実は私はたかしまくん幽霊説を推している。オカルトファンという私の属性のせいもあるのだが、どうしようもない違和感が拭えないからだ。


果たして幼稚園生が自分の友達を『たかしまくん』と名付けるかどうか、だ。


終わり

 

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