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#18ぶどう山椒の夜明け「産地を支える若き営農指導員」

ぶどう山椒の収穫が始まった5月初旬。この時期の収穫物は「実山椒」と呼ばれ、ちりめん山椒や佃煮などに用いられます。

2018年、関西へ上陸した大型台風を契機に、和歌山県有田川町の山椒生産量は激減し、産地の回復が急がれています。


栽培に関する指導・相談役として産地を駆け回る、ありだ農業協同組合 中西 祐稀(なかにし ゆうき) 営農指導員(30)にお話しを伺いました。

「私の役割は農家の栽培技術の向上をもって、所得を増やしてもらうこと」と話す。その業務は生育調査、出荷・施肥・農薬指導、病気対策等多岐にわたり、栽培に関わるほぼ全てをカバーされています。

また、山椒は栽培方法が確立されていないこともあり、中西さんは既存の技術を伝えることに留まらず、他の果樹の栽培技術を山椒に応用できないか、自ら山椒を育て、試験されるなど一点一画もゆるがせにしません。


「栽培効率をあげる技術はあるものの、農家が受け入れるかは別問題だ」と中西さん。新しい技術を伝えても、理解の不足や心理的なハードルから従来どおりの栽培方法を維持する人が圧倒的に多いのだとか。

そのため、中西さんは「同じ山椒農家であっても、後継者の有無、生産量、栽培面積等それぞれ違うため、その人の状況やニーズに沿った指導を心がけている」と話す。農家との丁寧なやりとりが信頼関係をつくり、新しい技術の定着につながるのだとか。


最後に「今後も農家一人ひとりに寄り添い、よりよい技術を伝えていくことが、産地全体をベースアップさせるものだと理解している。今後も安定的な生産量が見込める産地づくりを目指す」と展望を語ってくれました。

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