#22 ぶどう山椒の夜明け「次世代への引き継ぎ」
江戸時代に見出された「ぶどう山椒」。遠井村(現 和歌山県有田川町遠井区)はその発祥地で、産地の礎を築いた場所でもあります。さらに、弘法大師空海が真言密教の聖地を探し求め、同村を訪れたとの伝承も存在します。知る人ぞ知る同村の文化を守り、次世代に継承しようとするのが白藤勝俊(しらふじ かつとし)さんです。
同村は山椒栽培が盛んに行われていましたが、高齢化による離農や険しい山間地のため転入者がほとんどないことから、総人口はわずか34人。うち80歳以上が半数を占めており、長らく自然消滅の危機に晒されています。
同村の再興を目指し、白藤さんを中心とする地元有志メンバーが8月26日に「toi story(トイストーリー)」を開催。第4回目を迎えた同イベントでは、同村に伝わる弘法大師伝説等のガイド、村人によって守られてきた神社や街道の清掃などで賑わいます。
今回の参加者は26人あり、なかには山椒農家を目指して移住した20代女性や、地元小中学生7人の参加がありました。
白藤さんは「これまで次の世代を担う若者に同村の文化を伝えることを目指して活動してきた。それが叶って嬉(うれ)しい」と笑顔で話す。
白藤さんのご祖父は、産地にはじめて山椒の生産組合を立ち上げられた人物で、販路開拓、栽培研究等にも尽力され、今に至る大産地の礎を築かれた功績から、山椒の神様と呼ばれていたそうです。
幼少期からその偉大な背中を見てきた白藤さんの産地や村を守ろうとする想いは強い。また、その想いは白藤さんから次の世代へと引き継がれようとしています。
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