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奈良県立医科大学医学部の小論文と面接の予想とあと1週間でできること
2024年度 前期試験における小論文・面接の傾向
小論文の傾向
2024年度より、奈良県立医科大学医学部医学科の一般選抜(前期日程)の二次試験は、従来の学科試験を廃止し、小論文と面接のみで実施されました。この年の小論文試験は120分の制限時間で行われ、医療分野に限らない幅広いテーマから課題文が提示されました。受験生は与えられた文章等を読み、自身の考えを論述する形式です。実際に出題された内容は社会問題や医療に関連したテーマで、受験生は現代的な課題に対して自分の意見や解決策を論じることが求められました。小論文では論理的思考力や着想力・構想力、説明力・表現力が重視され、単なる知識ではなく考察の筋道の明確さが評価されました。また、答案の出来が特に優れている場合には基準点に加点し、不十分な場合は減点するといった評価の仕組みが採用され、回答の質によって得点が上下する特徴もありました。
面接の傾向
面接では、個別面接形式(受験生1人に対し面接官2人)でおよそ6分程度という短時間の対話が行われました。質問内容はオーソドックスで、志望理由や大学で学びたいこと、将来の医師像などが中心です。面接に先立ち、受験生は「面接シート」と呼ばれる用紙に自分の経歴や自己PR(部活動経験や自身の長所など)を記入し、面接官はそれを参照しながら質問を投げかけました。面接の雰囲気は穏やかで、圧迫的な質問は特になく、面接官も笑顔で接するなどリラックスして話せるよう配慮されていたようです。面接の目的は、受験生の人柄やコミュニケーション能力、医師志望としての適性(熱意や倫理観など)を確認することにあります。配点上は面接に点数は付されませんが、大学のアドミッションポリシーに照らして明らかに適性を欠くと判断された場合には、たとえ他の成績が良くても不合格となる可能性があります。ただし、2024年度の受験報告では特段変わった質問はなく、自分の動機や考えを落ち着いて述べれば問題なくクリアできる内容でした。
2025年度 入試の予想
小論文の予想
2025年度も前年度と同様に、広い分野からの課題文をもとに小論文を書かせる形式が継続すると考えられます。出題テーマは年度によって異なりますが、医学部の試験であることから、社会性と科学的思考を問うような内容が選ばれるでしょう。具体的なテーマ例として、例えば次のようなものが考えられます。
医療提供体制の課題(例:医師の働き方改革による長時間労働是正や、医師不足・偏在の解消策)
医療とテクノロジーの進展(例:AI・ロボットの医療応用と倫理、安全性の問題)
公衆衛生上の問題(例:新興感染症への備えと社会の対応、予防医療の重要性)
超高齢社会における医療(例:高齢者の医療と介護の両立、地域包括ケアのあり方)
これらは一例ですが、いずれの場合も問われるのは、提示された資料やテーマに対する論理的な考察力と明確な文章表現力です。2025年度も知識そのものよりも、自分の意見を構築して筋道立てて説明する力が重視されるでしょう。したがって、日頃から医学・医療に関するニュースや社会問題に関心を持ち、自分なりの考えを整理しておくと、本番でも対応しやすくなります。文章構成の面でも、序論・本論・結論を意識して論旨を展開する力が引き続き重要となるでしょう。
面接の予想
面接に関しても、大きな変更はなく従来通りの個人面接が行われると予想されます。質問内容も基本的には志望動機や医師を志す理由、大学での目標、自身の強み・弱みなど、2024年度に準じたオーソドックスなものが中心でしょう。ただ、大学側が重視する「広い視野で未解決の課題に取り組もうとする資質」を確認するため、受験生の関心のある医療問題について軽く尋ねられる可能性もあります。たとえば「最近気になった医療や科学のニュースはありますか?」といった質問が加わるかもしれません。その場合でも難しく考えすぎず、自分が日頃感じていることを素直に話せば大丈夫です。基本的には穏やかな雰囲気である点は変わらないと考えられるので、笑顔でハキハキと受け答えし、自分の熱意や人柄をしっかり伝えることが引き続き重要になります。特別な奇問対策をする必要はなく、これまで準備してきた志望理由や自己PRを再確認し、どんな質問にも落ち着いて答えられるようにして臨むと良いでしょう。
共通テストボーダー付近の受験生が直前1週間でできる対策
共通テストのボーダーライン(合格最低点)に届くか届かないかという成績の場合、二次試験(小論文・面接)でできる限り高評価を得ることが重要です。奈良県立医科大学では小論文で優秀な答案に加点がつく制度もあるため、内容次第では共通テストの不足分を補える可能性があります。また、面接でも好印象を与えることで合否判定にプラスに働くでしょう。直前の1週間で集中的に取り組むべきポイントを、小論文と面接に分けて以下に挙げます。
小論文対策(直前1週間)
医学部の小論文で頻出のテーマをいくつか押さえておきましょう。例えば「医師不足」「高齢化社会と医療」「医療技術の進歩と倫理」「患者とのコミュニケーション」などが挙げられます。これらのテーマについて、自分なりの意見や解決策を簡単に整理しておくと、本番で関連する話題が出ても対応しやすくなります。
可能であれば、本番を想定して小論文の練習をしてみてください。過去問や予想されるテーマで序論・本論・結論の構成を意識しながら、制限時間の半分程度でも構いませんので書いてみると良いでしょう。書いたものは時間を置いて読み返し、論理の飛躍や主張のブレがないかチェックします。余裕があれば学校の先生などに見てもらい、アドバイスをもらうのも効果的です。
直前期は新しい知識を詰め込むよりも、今持っている知識と考えを整理することが大切です。新聞記事やニュースなどで最新の医療・社会問題に目を通し、「なぜその問題が起きているのか」「自分ならどう解決したいか」を一言でいいので考えてみてください。そうした下準備があると、当日の小論文で初めて見るテーマでも落ち着いて取り組めます。
表現面では、漢字の間違いや字数の極端な不足がないよう留意しましょう。時間配分も重要ですので、試験開始直後に軽く全体の構成をメモに書き出してから書き始めるイメージトレーニングをしておくと安心です。また、前日は十分な睡眠をとり、当日は頭が冴えた状態で臨めるよう体調を整えてください。
面接対策(直前1週間)
奈良県立医科大学を志望する理由や、医師になりたい動機を改めて言語化しておきましょう。ただ「医師になりたい」だけでなく、なぜ本学なのか(地域医療への関心や、奈良県で学びたい理由など)も含めて具体的に述べられるように準備します。
自身の経歴を振り返り、面接でアピールできるエピソードを整理しましょう。高校時代の部活動・委員会活動やボランティア経験などで得た学び、苦労したこととその克服など、質問されやすいポイントについてあらかじめ考えておきます。「自分の長所・短所」「周囲からどう見られているか」なども聞かれることがあるので、簡潔に答えられるようにしておくと安心です。
可能であれば家族や友人に協力してもらい、模擬面接を1〜2回行ってみてください。想定質問に対して即答できなくても落ち着いて考えて答える練習になります。声の大きさや表情、姿勢もフィードバックしてもらい、本番では明るくはきはきと話せるよう意識しましょう。
時事的な話題にも目を通し、「最近気になる医療ニュース」について自分なりの意見を持っておくと良いでしょう。たとえば「医師の働き方改革」や「AIの医療への活用」など、自分が興味を持ったテーマで構いませんので、1つエピソードを話せるよう準備しておくと、関連する質問が出ても慌てずに済みます。
当日は緊張するかもしれませんが、開始前に深呼吸して落ち着くことを心がけてください。質問をよく聞き、一つひとつ丁寧に答えれば大丈夫です。面接官に対しては最初と最後にきちんと挨拶し、感謝の気持ちを伝えるなど、基本的なマナーも忘れないようにしましょう。
合格は共通テストの点数だけで決定されるわけではありません。小論文の内容はもちろん、面接での応答や態度も合否を決定する重要な要素です。あと1週間で可能な対策は全て行なって、万全の状態で入試が迎えられるようにしましょう。