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映画「探偵マーロウ」2023年6月15日

リーアムニーソン主演 レイモンドチャンドラー原作者
 日比谷シャンテは昭和からの古い映画館。観客は多かった、ほぼ8割は埋まっていた。年配者が大半を占めていた。 
 ただ、消費するだけは嫌だと強く感じた。だから映画を見た感想を書いておこうと思う。
 まず、主演のリーアムニーソンと小説のマーロウでは年齢差があると感じた。小説の中のマーロウはもう少し若くバイタリティがあるイメージで、小説と映画の中の主人公とはかけ離れた印象を受けた。
 もっと質実剛健さというか男として女として人間としての律儀さ強さ正義感、バックボーン的なものが強調されていた方が小説のイメージに近かったと思うが仕方がない。
 小説の中のマーロウその人の価値観というかレイモンドチャンドラーの主人公への想いがそこにあると思うからだ。色々な世の中でのことで、個人の価値観、正義への想いが揺らぎ人としての誇り、ともすれば忘れてしまいそうになる矜持。そこを踏みとどまる強さ、誠実さ優しさそこをもっと強く演出するべきだった。そこがこの物語のチャンドラーのマーロウを通じて描きたい主題であるのだから。
 その部分をうまく飲み込めなっかった自分の感性が良くないだけなのかもしれないが、主人公に対する感動というか尊敬のようなものを強く得られなかったというのが自分のもった感想でした。
 しかし、派手なアクションはないけれども人が試される瞬間、設定、揺れ動く心理そこではっきりと示される意思、言葉、姿勢そういった小さなと一見思える人生の大事な瞬間に立ち向かうマーロウの人柄に人は感動し自らを反省し少しでも真っ当な生き方をしようと心を新たにすること。そうしたものをこの映画から受け止めることができたと思う。観客の心に漣が起こる事そうしたものが、映画に愛を感じ、映画からエネルギーをもらっている感覚が私には楽しい事だった。
 映画の中の各役者さんの心意気は大いに感じ取れた楽しそうに演じている女優や俳優陣、映画セットに衣装、1930年台の車両等楽しめる部分はいっぱいだった。
 映画作りへの情熱はしっかりと僕には届いていた。先の感想は持ったが、映画の素晴らしさエネルギーはいつの間にか私の錆始めた感受性に届いており心に感動が呼び覚まされていたのです。

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