家計簿記帳というと、お金に縛られるようだと感じる方もいるのではないでしょうか。また、家計簿をつけたところで、お金が増えるわけでもないし、と思う方もいるようです。
羽仁もと子は、収入の少ない家計であっても「豊かな心で生活できる」と言っています。その「ココロ」は??
ここで、羽仁もと子が繰り返し言っていることは、物質的な豊かさではなく、どんな家計でも、豊かな気持ちで暮らすことができるということですね。その基盤となるのは、月々の生活費を『家計簿』によって把握し、夫婦で家計を共有するだけでなく、家族にもオープンにしていること。そのうえで、臨時の収入があったり、予算が余った時などは気前よく使う。さらに、一部を社会のために使うことをすすめています。
私たちの限りない欲望が前面に出てしまうと、いつも足りない足りない! という気持ちになるという指摘、ドキッとします。収入の中で何を優先して家計を組み立てるか考えることで、それぞれの欲望に優先順位がつき、本当に必要なものが何か見えてくるのかもしれませんね。
羽仁もと子とは、どんな人?
1873年、青森県八戸生まれ。1897年、報知新聞社に校正係として入社。その後、日本初の女性記者として、洞察力と情感にあるれる記事を書く。同じ新聞社で、新進気鋭の記者だった吉一と結婚。1903年4月3日、2人は「婦人之友」の前身、「家庭之友」を創刊。創刊号の発売前日には長女が誕生し、自分たちの家庭が直面する疑問や課題を誌面に取り上げ、読者に呼びかけ響き合っていった。1930年に読者の集まり「全国友の会」が誕生した。最晩年まで婦人之友巻頭に友への手紙を書きつづけ、そのほとんどが著作集全21巻に収録されている。
婦人之友では、2021年1月号より、森まゆみ氏による「羽仁もと子とその時代」を連載中です。