
「家計の繰りまわしが下手だ」という嘆きから脱出するには?
1904年(明治37年)、羽仁もと子が考案した家計簿の特長は「費目ごとの記帳」と「予算がある」ことです。
羽仁もと子は家計簿考案の際に「簿記法などというようなむずかしいものでなく、誰にでも気楽につけられるようにいたしました」と、書き記し、家計簿をつけていると知らず知らずのうちに家庭経済がうまく回るようになると書いています。
家計予算はまた費目分けに出来ていなくてはいけません。ただ毎月どれだけで暮らしていくかだけでは、ある家では、つい食物のほうにかかりすぎたり、着物のほうに費用を出しすぎたり、家の中をつめて、交際その他の外形にはりすぎたり、また、月々あるだけの金で暮らしてはいくけれども、その暮らし方はだらしなく、よい着物を着るわけでもなく、おいしいものを食べもしないのに、ただ何となく使い果たして、経済が下手だ下手だと嘆いてばかりいるようなことになります。予算を副食物費、衣服費、何費何費と費目分けにして、それから何費にどれだけ使ったということがわかるような帳面のつけ方をしていれば、自分の家計の繰りまわしのよくないところがどこにあるか、不注意なところ下手なところを、予算と帳面があいまって、手にとるように指摘してくれるので、年一年合理的な、落ちのない、巧みな経済法を、一家のなかに打ち立てていくことができます。
百年余がたち、キャッシュレス時代の到来です。現金、電子マネー、クレジット、スマホ決済、銀行引き落とし、と私たちが日々使う「お財布」が多様化しました。
決済方法が多岐にわたっても、家計簿の上ではシンプルに支払った金額を費目ごとに記帳し、予算から差引きしていけば、家計を運営することができるんですね。