社外取締役からみたナンバーナインの特異性
ナンバーナインについて
漫画のデジタル配信サービスを中心として「漫画家さんが漫画を描き続けるために必要な環境を創り出す」をテーマとして漫画家さんに必要なサービスを展開しています。
メインの漫画のデジタル配信サービスは、現在契約いただいている作家の数は約1,300名以上、お預かり作品数は約2,200以上となっています。(こちらはは2021年10月末時点での数字です)
ナンバーナインのサービスについての詳細は下記のWEBサイトに記載されております。
・サービスサイト
・コーポレートサイト
社外取締役としての関わり方
株式会社ナンバーナインは、マンガHONZというレビューサイトの仲間が立ち上げたスタートアップ企業であり、経営層とはかれこれ5年以上の付き合いになります(本当に長い付き合いになりました)
立ち上げ直後のタイミングで、エンジェル投資的に株主として参画し、株主として外側から支援をしており、そのような関係が数年続きましたが、私が2021年11月より、電通を辞めたタイミングで、社外取締役に就任させていただきました。
そのナンバーナイン自体も、下記の記事にあるように、INCLUSIVE株式会社の資本傘下に入り、新たなステージへと進みます。
この記事では、長年の友人関係、あるいは株主として、そして現在は社外取締役として関わっている身として、ナンバーナインの特異性についてまとめたいと思っています。
特異性①:漫画市場の盛り上がりとそこに対するポジショニング
「スタートアップは伸びている市場を狙え」といいますが、漫画市場は過去これまでない成長期にあります。電子書籍市場は実は漫画が牽引しているのですが、電子書籍市場の伸びとともに、漫画の電子書籍配信が急拡大しています。コロナによるイエナカ消費もこの後押しをすることになりました。
すでに紙の漫画全盛期の時代の市場規模を超えており、漫画市場が新しい市場へと変化をしているのは明らかです。
コミック市場長期推移(出典:出版科学研究所)
この市場変化を捉えて、あらゆるIT企業が漫画アプリ市場に参入し、マーケティング・広告費用が現在も大量に投下されています。私も電通時代にいくつかの電子書籍サービスに関わった経験がありますが、多くの企業はTVCMを中心に広告費に投資しています。
ナンバーナイン社は、漫画アプリ会社ではなく、漫画家さんから預かった漫画を、数多くの漫画アプリ/サービスに対して配信する事業をしており、あらゆるアプリなどで漫画が読まれれば売り上げが上がっていくため、この市場全体の盛り上がりをとらえて成長をしていきました。
また、近年のさらなる変化として、WEBTOONと呼ばれる「縦読み漫画」の登場があります。
日本は横読み型の漫画が基本なのですが、横読み漫画は実は慣れないと読みにくく、縦読み漫画は上から下に進んでいくため誰にでも読みやすいという特徴があります。また、スマホという縦長のハード自体も、縦読みで漫画を読むことにおいても向いています。
数年前に登場した縦読み漫画は、漫画アプリ「ピッコマ」を中心に市場に普及していき、そこに新たな可能性を感じた多くの企業が参入を表明しています。
新しい波である縦読み漫画の盛り上がりに際して、ナンバーナイン社も縦読みオリジナル漫画へ注力していき、ヒット作を作り出すことを目指しています。
漫画市場全体が伸びていること、縦読み漫画というポテンシャルが高いところに注力すると意思決定したことがナンバーナイン社のスタートアップとしての特異性だと思っています。
特異性②:泥臭いところに参入障壁がある。
新規事業を始める際に重要なのは、差別優位性があるか、参入障壁が高いか、既存事業とのシナジーがあるかなどの要素があると思いますが、
差別優位性=参入障壁が生じる部分
だと、そのビジネスは強い、と考えています。
ナンバーナイン社は漫画の電子書籍配信において、漫画家さんから漫画の原稿(紙でも、電子でも)を預かり、電子書籍として配信できる形の形式データを作る必要があります。
これはかなり手間のかかる作業であり、この作業体制を整えなければ預かった漫画の原稿を漫画アプリに配信できず、ひいてはナンバーナイン社が利益を上げることができません。
そのための制作体制を整えるのですが、ナンバーナインは十分な制作体制を構築するために、宮崎支社を作りました。すでに宮崎で10人以上も採用し、地方の雇用も創出しながら、電子書籍配信体制を作り上げました。
普通であればAIでできないか、システムでできないかと検討し、やめてしまう、あるいは不十分な形で実施していくと考えます。しかし、漫画家さんの満足度を考えると丁寧に人力でやったほうが良いという意思決定のもと、生産体制を整えており、これが漫画家さんからの評価につながっています。
一見、非効率な意思決定をすることでそこが参入障壁となり、さらには競合が増えた後においても差別優位性にもつながっています。この点はマーケターとして素晴らしいなと思っています。
漫画家ファーストというのが掛け声なのですが、ナンバーナイン社は、そこからさらに漫画家さんに必要なサービスを展開しています。確定申告サービス、マネジメントなどを展開し、仮に価格勝負になったとしても、選ばれる理由を作り続けています。
その最たる例が、去年の12月に実施した「漫画家ミライ会議」です。漫画家さんのためのイベントであり、現役の漫画家さんや編集者が登壇し、大漫画時代をどのように生き抜くかのディスカッションがおこなわれました。
2020年が初回で、昨年で2回目なのですが、漫画家さんを中心とした1000人以上もの方が2日間のセッションを聞いてくれました。
漫画家さんのために情報共有の場を設けていくことも『漫画家ファースト』というミッションを掲げているナンバーナイン社の特異性を表しています。
特異性③:漫画が大好きで集まるグルーブ感
スタートアップの最重要事項は、一にも二にも、採用です。
ナンバーナインは漫画の会社であり、役員陣を中心に社員も漫画が好き過ぎる人たちで構成されています(飲み会での会話は本当に漫画です)。また、現役の漫画作家さんなどもチームに入ってもらっているなど、漫画が大好きなメンバー、漫画で生計を立てているメンバーが集まっています。
ミッション、ビジョン、バリュー も漫画家が好きな人が集まっているからこその言葉で定義されています。
あらゆる企業が、採用が難しいと言っている中で、「漫画が好き」というビジネスマンは実はかなり多く、「漫画に関わることができる」、「有名な漫画家さんに会うことができる」、「漫画家さんと仕事ができる」という環境は、なかなか得難い環境であり、それが採用における強みになっています。
私はマーケターとして、パーパスやミッション・ビジョン・バリューを規定していく仕事もしていますが、「漫画」という共通点、好きなものがあることは採用において非常に強く、スタートアップとしての差別優位性にもつながっていることを感じます。
ナンバーナインは絶賛採用拡大中
最後の特異性は採用の話になりましたが、ナンバーナイン社は2022年さらに新しいチャレンジをしていきます。そのためにメンバーを大きく募集しています。
ナンバーナインでは、現在Wantedlyさんを中心に様々なポジションで求人を行っているので、少しでも興味をお持ちいただけたら、ぜひお気軽にご応募いただけますと幸いです。